ごきげんよう、有料メルマガ評論家の渡辺文重です。今回の記事は「バイラルメディアについての考えを聞かせてください」という、読者の方からいただいた質問に対する回答となります。今回の質問は口頭でいただき、その場で回答をしたのですが、説明不足だったと思うので、あらためて記事にしました。質問はいつでも受け付けていますので、気軽に連絡くださればと思います。

yqw00461@gmail.com にメールを出した後、Twitterかfacebookで、その旨を連絡いただくことが一番確実です。



数か月前、とある会合にて、バイラルメディアが話題になりました。私は、「全文転載はアウトでしょう」とか「バイラルメディアの記事をRTしたり、いいね!したりしている人は痛いですよね。面倒なので注意などもしないですが……」みたいなことを話したのですが、正直、自分には関係のないメディアだと考えていました。

そうした中、10月21日(火)に阿佐ヶ谷ロフトAで行われたトークイベント「戦え! バイラルメディアの皆さん!」を観覧したのですが、やっと、問題の本質を理解するに至りました。

・戦え! バイラルメディアの皆さん!
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/27879

2014-10-21 18.29.37

私なりに、このイベントでの議論を総括すると、問題の本質は「バイラルメディアに金を払う企業がある」ということになると思います。「パクリ」はインターネットが始まる前から起きていた、いわば普遍的な問題なのですが、現在においては、「パクリ」がかりそめの称賛を得るための手段ではなく、金もうけの手段になっているのです。つまり、犯罪がビジネスとして成立している現状こそが、バイラルメディアの問題なのです。犯罪がばれなければ数億円もうかり、しかも、犯罪がばれても数百万円の罰金で済むと聞けば、小笠原諸島にサンゴの密漁船が大量にやって来るのと同じと説明すれば、分かりやすいでしょうか。

「戦え! バイラルメディアの皆さん!」が開催された翌週、ゲストとして登壇されたヨッピー氏によるバイラルメディア告発記事が注目を集めましたが、これはバイラルメディアをたたいてカッコイイと称賛されたいとか、そうしたレベルの話ではない、ということになります。

・悪質バイラルメディアにはどう対処すべき? BUZZNEWSをフルボッコにしてみた
http://special.smartguide.yahoo.co.jp/kawanagare/20141028.html
・ネット界の悪役はオレだ!
http://hagex.hatenadiary.jp/entry/2014/10/31/110848



今回の記事は「バイラルメディアについての考えを聞かせてください」という質問に関する回答なのですが、以上が、バイラルメディアに対する大まかな見解となります。ただし、こうした前提を踏まえた上で、今回のバイラルメディアに関する問題は、ユーザー側の課題も浮き彫りになったと考えています。

有料メルマガでは、これまで、わずかなタイトルのイメージだけで、「有料メルマガはダメだ」という論調が強くなったことがあります。例えば、家入一真氏の有料メルマガが、決められた日にちに配信を行われなかったことに関する騒動などが挙げられます。もちろん、バイラルメディアと有料メルマガは異なるビジネスモデルを採用しているのですが、「楽してもうけている」という批判は共通していたかと思います。最近では、常見陽平氏やイケダハヤト氏の撤退などにより、「有料メルマガはもうからない」がスタンダードになりつつありますが……。

有料メルマガに対する批判の多くは、「情報は無料が当たり前の時代に、記事を有料にするとは何事!」という言説に集約できると考えられます。他にも、「間違った情報の発信や人種差別的な発言を、こそこそやっている」という批判もありますが、この記事では、取りあえず「それは、いいじゃないか」としておきます。この記事における議論が散漫になりますし、間違った情報の発信や人種差別的な発言は堂々とやる方が問題ですから、こそこそする分には、むしろ、「大目に見ても良いのでは」ということです。

さて、「情報は無料が当たり前の時代に、記事を有料にするとは何事!」という指摘は、確かに、当を得ていると思います。実際、有料メルマガが苦戦している背景には、こうした価値観があることは否めないからです。しかし、読者の「情報は無料が当たり前」という感覚は、「バイラルメディア・キュレーションサイト・ネイティブアド」の三位一体が流行した背景にも存在していると考えられます。ぶっちゃけ、「情報は無料が当たり前」と考える読者たちは、クリエイター側のコストなどは考えていないのです。

先ほど、ヨッピー氏によるバイラルメディア告発記事が注目を集めたと記しましたが、実のところ、注目をしたのは、インターネットユーザーの中でも「意識が高い」数パーセントの人たちであり、その他大勢の人々は、今でもバイラルメディアをRTしたり、「いいね!」したりすることを続けているのです。

結論としては、今回のバイラルメディアに関する騒動を通じ、読者がクリエイター側のコストに目を向けるようになることで、すっかり冷え込んだ印象のある有料メルマガ業界が活気を取り戻してくれれば、非常にありがたい、ということになります。

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