-
ツチヤの口車 第1333回 土屋賢二「冷蔵庫にモヤシがある」
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
冷蔵庫を開けると数日前に買ったモヤシがある。使わないと傷んでしまう。それではもったいない。モヤシを使う料理で知っているのは、野菜炒めと焼きそばだけだが、野菜炒めはおいしくできたことがない。焼きそばなら市販の焼きそばソースを使えば失敗しない。そこで麺、豚肉、ソース、人参、ピーマン、キャベツを買っ...
-
ツチヤの口車 第1332回 土屋賢二「父の職業」
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
子どものころ、ほとんど何も分かっていなかった。いまと同じである。 大人は確固とした世界観、倫理観をもち、明確な原理に基づいて行動していると子ども心に思っていた。そうでなければ、わたしにはどうでもいいように思えること(たとえば弟と将棋をするなど)に父がなぜ激怒したのか、説明できない。初めて訪れた...
-
ツチヤの口車 第1331回 土屋賢二「急がば転ぶ日々」
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
『急がば転ぶ日々』(文春文庫)が発売になる。 ツチヤ本の購買から遠ざかっていたため、「ツチヤ? だれそれ? 本? 何それ?」と言って認知症を疑われた人もいるだろう。 いまや、購買意欲を満たせなかったくやしさを、思う存分晴らすことができる。読書用、保存用、予備用、投資用、贈答用と、何冊でも買いたい...
-
ツチヤの口車 第1330回 土屋賢二「透明人間になりたい」
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
カッコをつけることほどカッコ悪いことはない。わたしはどんなことがあっても、カッコをつけていることを悟られないよう長年、細心の注意を払ってきた。 わたしから見ると最近の若者は理解を超えている。男が臆面もなくファッション誌を読み、脱毛し、パックし、メイクし、エステに行き、整形し、その上、散髪し、爪...
-
ツチヤの口車 第1329回 土屋賢二「大谷選手と瓜二つ」
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
大谷翔平選手はいまや世界のスーパースターである。疑問に思っていることを教え子に聞いた。「大谷選手のような並外れた能力の持ち主に憧れる気持ちは分かる。だが彼とは大違いなのに、まるで自分のことのように自慢する者がいるのはなぜだ?」「憧れの人との共通点を探してつながりたいからじゃないですか? 日本人...
-
ツチヤの口車 第1328回 土屋賢二「見る目が変わった」
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
いまお笑い芸人の行動が問題になっているが、それ以外にも近年、芸能界、スポーツ界の闇が次々に暴かれている。告発されているセクハラ、パワハラのひどさは目を覆うばかりだ。 こう感じるのは、わたしの見る目、わたしの価値観が変わったからだ。昔、子どもは当たり前のように親や教師に殴られ、後輩は先輩に殴られ...
-
ツチヤの口車 第1327回 土屋賢二「不便だったころ」
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
便利な世の中になったものだ。 人類は、動物の丈夫な皮膚を失うかわりに、気温に応じて細かく暖かさを変えられ、その上、ドブネズミからヒョウまで模様も変えられる衣服を発明した。 動物の鋭い聴覚を失うかわりに、必要に応じて補聴器から耳栓まで聴覚を調節できるようになった。視覚も、望遠鏡から顕微鏡まで、暗...
-
ツチヤの口車 第1326回 土屋賢二「三十五年前の自分へ」
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
お~い! 賢二! 七十九歳のお前だよ。こんなに長生きすることに驚いているだろうが、ここまで生きるのは、努力なしにできる数少ないことの一つだ(百歳の人に聞いても、「何もしていない」としか言わないだろう?)。なお、同じぐらい努力なしにできることは、死ぬことだ。 自分が歳をとるとは思ってもいないから...
-
ツチヤの口車 第1325回 土屋賢二「高齢者の創意工夫」
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
歳をとると心身が衰えてくるが、高齢者は簡単にはくじけない。創意工夫をこらして切り抜けている。 たしかに感覚は衰える(残念なことに、痛覚は衰えない)が、衰えた分は経験で補える。聴力が衰えても、相手の表情や口調から、過去の経験をもとに何を話しているか推測できる。わたしを叱っていないことが分かれば、...
-
ツチヤの口車 第1324回 土屋賢二「断り切れない男」
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
早熟な人はいるが、わたしは大器晩成タイプだ。なぜそう言えるかと言うと、これまで一度も芽が出なかったからだ。 花開くのがいつなのか、どんな大輪の花が開くのか、楽しみにしてきた。今年こそ花開くのではないかと待ち続けて六十五年になる。それなのにまだ萌芽も見られない。この調子でいくと、花開くまであとど...
-
ツチヤの口車 第1323回 土屋賢二「友人へのメール」
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
お変わりありませんか。残念ながら小生も変わりありません。 貴兄とは、年齢的には親子ほどの違いがあり、気品では貴公子と山賊ほどの違いがありますが、このままでは、二人手をたずさえて不幸の度を深めているような気がしてなりません。 悪い流れを変えようにも時間が足りません。先日正月を迎えたばかりなのに、...
-
ツチヤの口車 第1322回 土屋賢二「ツチヤ師の師走」
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
ツチヤ師に聞いた。――師走です。走るんですか?「走らない。教師は引退したから走る必要はない」――では走らないんですね。「わたしは必要がないからといって手を抜くような人間ではない。原則として毎日ウォーキングする」――歩いているんですね。「もちろん暴風雨の中を外出するほど杓子定規ではない。臨機応変に、寒...
-
ツチヤの口車 第1321回 土屋賢二「ゴキブリに敬意を」
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
多様性の時代と言われるが、人間には多様なものを平等に受け入れる度量がないと思う。 だれにも食べ物の好き嫌いはあるし(「好き嫌いがない」と豪語する人はわたしの妻の料理を食べてみるがよい)、異性の好き嫌いもある。たぶんこれは本能的なもので、動物にも食べ物や異性に対してはっきりした好き嫌いがある。 ...
-
ツチヤの口車 第1320回 土屋賢二「亀による政治」
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
亀甲羅政治を提唱するコラ・亀田氏に聞いた。――どんなご主張なんでしょうか。「政治は選択の連続だ。しかも昼食をそばにするかうどんにするかといった選択とは違う。国民の運命を握る選択ばかりだ。プーチンのような選択をしたら何万人もの人命が失われる。どうすれば正しい選択を下せるだろうか?」――あらゆるデータ...
-
ツチヤの口車 第1319回 土屋賢二「不可逆的グルメ道」
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
グルメを極め、「不可逆的グルメ道」を提唱しているニャン・猫田氏に話をうかがった。氏は他にもワン・犬田、モー・牛田などのペンネームをもっている。――早速ですが、「不可逆的グルメ道」ってどういうことなんでしょうか。「いま人々はあくことなくおいしい物を求めている。ラーメン一杯を食べるために博多まで飛行...
-
何気なく触れた言葉が自分の生き方で影響を与える時がある。心を豊かにする100の言葉』の一部
コメ5 孫崎享のつぶやき 129ヶ月前
何気なく触れた言葉が自分の生き方で影響を与える時がある。 『心を豊かにする100の言葉』(PHP)にそんなものがあるかもしれない。 幾つかを書き出してみた。バラカン:何もない人には失うものがないボブ・ディランの名曲『ライク・ア ローリング・ストーン』の歌詞の一節ですが、昔から頭を離れない言葉です...