-
春日太一の木曜邦画劇場 第552回「近衛十四郎が、盲目だが凄腕の破戒僧を人間臭さとともに魅せる!」『悪坊主侠客伝』
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
先週も述べたように、数多くある配信プラットフォームの中でも旧作邦画のラインナップにおいては、U-NEXTが圧倒的だ。ソフト化どころか名画座でも長らくお目にかかれなかったようなレアな作品が並んでいるので、そのリストを眺めていると一本ごとに「ええっ、これもあるの!」と驚愕してしまう。 今回取り上げる『悪...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第551回「U‐NEXTにあった幕末動乱劇。笠原和夫脚本で人物造形が見事!」『祇園の暗殺者』
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
近年、さまざまな動画配信プラットフォームで、映画を気軽に観られるようになった。中でも旧作邦画に関しては、U-NEXTが圧倒的だ。 未だにソフト化されていなかったり、衛星の専門チャンネルや名画座でもあまりかからなかったり――という、「え、こんな作品も配信されているのか!」とビックリするようなレア映画が目...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第550回「予告編でネタバレなどお構いなし。角川映画は観たくなる理由がある!」『野性の証明』
コメ0 週刊文春デジタル 8ヶ月前
かつての角川映画は、予告編が感動的で、一本の映画を観たような満足を得られた。 その大きな仕掛けとしては、主題歌と映像とのミュージックビデオ的な組み合わせというのがあるという点を前回述べたのだが、実はその映像のチョイスも重要だったりする。 昨今は「ネタバレ」といって、映画の内容が事前に漏れること...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第549回「荒むNYと桃源郷のような日本で黒人青年の想いを対極的に映し出す」『人間の証明』
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
今回は『人間の証明』を取り上げる。 この七月に亡くなった作家・森村誠一の同名小説を原作にした作品で、角川映画の第二弾として製作された。劇場、テレビ、音楽、出版と、メディアをフル活用した大宣伝を展開、その興行的な成功により、以降の角川映画のビジネスモデルの礎となった。 そして、これも後の角川映画...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第548回「基地の街を生きる三人の若者。学生運動とは無縁の無為からの破滅」『俺たちの荒野』
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
一九六〇年代から七〇年代にかけては、安保闘争との距離感が若者にとっての重要なテーマになっていた。 そのため、この時期に作られた青春映画も、多くがその影響を受けた内容になっている。そして、作品の舞台として米軍基地の周辺が使われることが少なくなかった。 今回取り上げる『俺たちの荒野』も、そんな一本だ。
-
春日太一の木曜邦画劇場 第547回「南樺太の女性電話交換手を襲う、『終戦後』に起きた悲しき実話」『樺太1945年夏 氷雪
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
一九四五年八月十五日の「終戦」を境に「平和」が訪れたわけではない。外地に暮らす人々にとって、無事に日本の本土に戻れるかどうかが、また新たな困難となっていた。 今回取り上げる『樺太1945年夏 氷雪の門』は、それを描いた傑作である。 題材は実際の悲劇だ。それは、「終戦」にもかかわらず軍事行動を続けた...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第546回「抗戦派による宮城事件。困窮する庶民の描写が彼らの狂気を照らす」『日本敗れず』
コメ0 週刊文春デジタル 9ヶ月前
今年も、八月十五日が近づいてきた。それは、日本にとっての「敗戦の日」だ。 教科書的には「ポツダム宣言を受諾して無条件降伏した」と表現されるが、それで片づけられる話ではなかった。史上最大の戦争が終わるのだから、簡単に済むはずがない。 そこで今回と次回は、戦争を終わらせることの困難さを描いた作品を...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第545回「大奥エロティック絵巻と思いきや切なさと空しさがズシリ圧し掛かる」『大奥浮世風呂』
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
前回に引き続き、東映京都出身のベテラン・関本郁夫監督について述べていきたい。 関本作品の大きな特徴は、重苦しい読後感だ。実質的なデビュー作となった前回の『女番長(スケバン) 玉突き遊び』もそうだが、関本の撮った映画は、東映の同ジャンル作品に比べ、暗くて苦い印象を与える。そのため、表向きはエロテ...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第544回「不良少女グループの大乱闘! 水上ボートチェイス! 銃撃戦!」『女番長 玉突き遊び』
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
東映京都撮影所の叩き上げのベテラン・関本郁夫監督が自伝本『映画監督放浪記』を出された。東映京都ならではの濃厚な人間模様はもちろん、フリーになってからの角川やにっかつ等のエピソードも満載で、五百頁超におよぶ重要な証言集となっている。 関本作品の最大の魅力は、荒々しいアクションだ。その才は『影の軍...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第543回「中島貞夫作品の中で渡瀬恒彦が動的燻りなら『静』は荒木一郎だ!」『現代やくざ 血桜
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
中島貞夫監督は、炸裂し切れずに燻る情念のドラマを描き続けてきた。そして前回述べたように、それを体現した俳優が渡瀬恒彦だった。 ただ中島作品、特に初期作で「燻り」を表現する上で実はもう一人、重要な演じ手がいる。それが荒木一郎だ。 渡瀬が中島作品で演じたのは、ギラつきながらもそのぶつけ所のない若者...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第542回「渡瀬恒彦演じるチンピラの最期は中島貞夫流『燻りの美学』の極み!」『鉄砲玉の美学』
コメ0 週刊文春デジタル 10ヶ月前
先月お亡くなりになった中島貞夫監督の作品の魅力は「燻り」にある。炸裂し切れずに燻る情念。一見するとギラギラと熱くも、最終的にはその闘いには空しさが去来する。そんな物語を描き続けた。 そして、中島ワールドを最も体現した役者が渡瀬恒彦だ。怒りや苛立ちを抱えながら、そのエネルギーをぶつける先がない。...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第541回「あっしには関わりのねえことで――。紋次郎はこうして生まれたのか!」『木枯し紋次郎』
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
前回に引き続き、先日お亡くなりになった中島貞夫監督の作品について述べる。 晩年の中島監督はドキュメンタリー映画『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』や二十年ぶりの長編映画となる『多十郎殉愛記』など、時代劇の魅力や技術を後世に伝えるべく精力的に製作を続けていた。一方、前回も述べたように若い頃は反ヒ...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第540回「詐欺、売春、強盗――倫理無用の愚連隊を中島貞夫が見せる!」『893愚連隊』
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
中島貞夫監督が亡くなった。 個人的にも、本当にお世話になった。「東映京都の賑やかなりし頃に活躍した、最後の生え抜き監督」として頼りになる取材源であったのはもちろん、監督が実行委員長を務めた映画祭の運営を手伝わせていただいた際には多くの薫陶を頂戴した。時代劇に関するドキュメント映画を撮られた際は...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第539回「テレビ時代劇で活躍した小野田監督の演出が本作にインパクトを与えた!」劇場版『鬼平
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
一話完結のテレビ時代劇の場合、毎回欠かさず上出来の脚本で撮れるとは限らない。 前回述べたように小野田嘉幹(よしき)監督はテレビ時代劇で長く活躍したが、プロデューサーたちは特にそうした際に彼を頼った。完成度の高くない脚本でも、小野田なら見応えのある作品に仕上げたからだ。 今回取り上げる劇場版『鬼...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第538回「『ワンピース』のように全編で暴れる正義漢や妖艶なリーダー、海賊団!」『女奴隷船』
コメ0 週刊文春デジタル 11ヶ月前
今年は池波正太郎生誕百年のアニバーサリーになる。 池波作品といえば、季節感や料理などを通じた江戸情緒で語られがちだが、アクションの魅力も忘れてはならない。仕掛人の殺し、剣豪同士の決闘、盗賊たちへの捕物――。これらの緊迫感あふれる描写が、読者の心を捉えてきた。 池波原作が映像作品においても長く重宝...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第537回「80年代の『何でもあり』感漂う奇想天外な仕事人チームの闘い」『必殺! ブラウン館の
コメ0 週刊文春デジタル 12ヶ月前
「必殺」は一九七二年に第一作『必殺仕掛人』がテレビ放送され、以降はシリーズとして長く愛されていった。 ただ、その間に内容は大きく変わっている。大まかに言えば、七〇年代はハードなドラマ展開だったのに対して、八〇年代になるとコミカルさを前面に出すようになったのだ。UFOが飛ぶ。エリマキトカゲが走る。スケ...
-
9月14日の『平熱大陸』に関してお知らせとお詫び
コメ0 吉田豪の平熱大陸 19ヶ月前
いつも平熱大陸をご視聴ありがとうございます。9月14日の『平熱大陸』に関してお知らせとお詫びがございます。どうぞご一読いただければ幸いです。______________9月14日(水)放送の豪さんのチャンネル『平熱大陸』会員限定部分で東映YouTubeが話題になった際、春日太一氏関連の視聴者コメントが並ん...
-
「嵐の予感」2022年経済天気予報!(経済SP)【大人の放課後ラジオ#102】
コメ0 チャンネルからのお知らせ 30ヶ月前
2022年経済天気予報金余り、大格差相場から22年はアメリカの利上げで嵐の予感。世界の株式市場はマイナス20%のショックも。けれどオトラジ推薦のアメリカ株インデックスファンドは変わりません!嵐の時こそしっかりホールド台風一過には青空が待っている……衣良番組視聴はこちら↓「嵐の予感」2022年経済天気予報!(経済...
-
「この辺りで長年の相棒のアイロンを置こうと思います」 あるクリーニング屋の閉店の張り紙が静かな感動を呼ぶ
コメ0 【無料】ガジェット通信ブロマガ 74ヶ月前
2017年3月末時点でのクリーニング所施設数は99709軒と10万を割り込んでおり、毎年3000~4000軒のペースで減っていっています。そんな中、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がクリーニング店の閉店の張り紙の画像をツイート。その内容が感動を呼んでいま...続きを読?
-
「この辺りで長年の相棒のアイロンを置こうと思います」 あるクリーニング屋の閉店の張り紙が静かな感動を呼ぶ
コメ0 ガジェ通 74ヶ月前
2017年3月末時点でのクリーニング所施設数は99709軒と10万を割り込んでおり、毎年3000~4000軒のペースで減っていっています。そんな中、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がクリーニング店の閉店の張り紙の画像をツイート。その内容が感動を呼んでいま...続きを読?
-
「Jさん春日さんの映画学校」松山/広島
コメ0 杉作J太郎の現代芸術マガジン 97ヶ月前
いよいよ今週末!松山→広島奇跡の瀬戸内海2連荘!「Jさん春日さんの映画学校」5/21(土曜)20時松山シネマルナティック5/22(日曜)16時広島横川シネマ出演:杉作J太郎、春日太一世界の巨人!石井輝男監督の弟子筋としては兄弟となるふたりが石井輝男監督の魅力から、時代劇存亡の危機、映画の魅力、映画の魔力を語り...
-
町山・春日・杉作・ブラック 「日本映画のあかんやつら」
コメ0 杉作J太郎の現代芸術マガジン 128ヶ月前
町山・春日・杉作・ブラック 「日本映画のあかんやつら」 満員札止出演者 :町山智浩、春日太一、杉作J太郎、快楽亭ブラック 開催日時 :11月12日 19時00分 (補足: (開場:18:30)) ※当日券あります開催場所 :牛込箪笥区民ホール(大江戸線・牛込神楽坂) (地図を表示)木戸銭 :¥3,000内容 :ラジオデイズ・スペシャ...
-
荻上チキ責任編集 “α-Synodos” vol.130-131 本当の話をしよう
コメ0 荻上チキの αシノドス 131ヶ月前
━━━━━━━━━荻上チキ責任編集“α-Synodos”vol.130-131(2013/08/15)本当の話をしよう━━━━━━━━━★今号のトピックス1.対談/若田部昌澄×栗原裕一郎いろいろ変わっちゃったから、もう一度本当の経済の話をしよう――『本当の経済の話をしよう』刊行一周年記念2.対談/岡部宏生×葉真中顕ケアする、されるを超えて――ALS患者とミス...