理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.13】
『2度のスタディーグループ設立と挫折。そして、、、』
復帰して初めて受講したセミナーがイエテボリ大学DHブリギッタのPMTCセミナーでした。そこではじめて北欧の予防に対する考え方を知りました。そもそもスウェーデンには、ゆりかごから墓場まで、国の制度があります。歯科に関しては、幼少期にむし歯や歯周病について定期的な歯科受診と教育があり、日本の疾病に使用する保険制度とは全く異なります。
そんな予防先進国のセミナーは、私にはカルチャーショックでした。『私は歯科衛生士として何をして、何を学んできたのだろか?』と、今までの歯科衛生士人生を全否定されたように思いました。これをきっかけに歯科衛生士専門誌を購読したり、積極的にセミナーに参加したり、行動していきました。
しかし正社員と違い、扶養を外して働く私にはセミナーに参加するにも限界がありました。当時は秋田市に住んでいましたから、新幹線代やセミナー受講費用を自分で負担していました。高額な自己負担を「将来のための投資」と考えても、子どもの教育費の方が優先度は高かったのです。それでも『勉強したい、知識が欲しい』という貪欲から、職場の仲間、歯科衛生士会の仲間に声をかけて、スタディーグループを立ち上げました。
はじめの勉強会のテーマは『PMTC』でした。スタディーグループの名前を考え、勉強会案内書を作成し、仲間に配りました。会場の手配もしました。念の為、非常勤で働いていた院長に、スタディーグループの発足と第一回目の勉強会を企画中であることを報告しました。すると思いもしない言葉を言われたのでした。『あなたが開催するスタディーグループ中で何を話すんだ?間違った情報はないのか?あなたのスタディーグループには誰が来んだ?うちの歯科医院に恥をかかせるような発言、行動はしないでともらいたい』私はこの言葉を聞いて身体中熱くなりました。悔しくて悔しくて、ただ勉強したいだけなのに、こんなことまでも制限されるなんてと、涙が出ていました。
それでも何とか開催にまでこぎつけ、スタディーグループを2ヶ月に1回、1年間継続しました。途中でメンバーが退職したり、出産で参加できなくなったりし、継続が難しくなりました。何より、収益のないスタディーグループを一人で継続させるには、余りにも私の負担が大きすぎました。この頃から『いつか歯科衛生士教育に携わる会社を作りたい』と会社設立を夢描きはじめていました。
フリーランスになってから、2度目のスタディーグループ『ステキに歯科衛生士』を友人と二人で立ち上げました。今度はセミナー受講費も頂き、ボランティアにならないように活動して行きました。当時このようなスタディーグループは珍しく、興味関心のある歯科衛生士が近隣から集まってくるようになりました。上手く行っているように思えましたが、それも束の間でした。2011.3.11、日本中を脅かした東日本大震災で、私のフリーランス歯科衛生士としての働き方も大きな影響を受けたのでした。2度目のスタディーグループも継続は難しくなりました。
『どんな時でも自立して生きていけるようになりたい』という強い思いと、『勉強したい』『自立したい』という気持ちが、今の私を作り出しています。そんな強い願いが叶い、2011年8月、株式会社スマイル・フォー・ユーを設立したのです。
まだまだ勉強不足ではありますが、私の知識と経験を多くの歯科衛生士と共有できればと考えています。この思いが『勉強したい』と思っている衛生士に届くことを願っています。
~素敵な私たちでありますように~
長岐 祐子
臨床に役立つ「患者教育」と「行動変容」
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