スティーブ・アルビニが亡くなった。自分と同じ1962年7月生まれなので61歳。心臓発作だった。
 アルビニの名前にピンとこない人でも、80年代にディスクユニオンの常連だったなら、横山まさみち先生のマンガ『やる気まんまん』の、感じている女性の絵がデザインされたLPジャケットを見た覚えがあるだろう。あれはアルビニのバンド「ビッグ・ブラック」の、『Songs About Fucking(セックス・ソング集)』というミもフタもないタイトルのアルバムだった。
 日本のマンガが好きなアルビニが次に組んだバンドの名前は「レイプマン」。みやわき心太郎先生が繊細な筆致で描いた、今はもう許されない内容の劇画を引用していた。
 アルビニは見た目もオタクそのもの。小太りでメガネでいつも黒Tシャツの姿は、いかにもディスクユニオンと「まんがの森」をハシゴしてそうだった(俺も)。しかもライブでは、ギターを肩じゃなくて腰のベルトからぶら下げて、どうにもダサかった。 
週刊文春デジタル