真打になって間もない頃の話。
 とある先輩と二人会のお仕事を頂き、都内の某会場に向かいました。楽屋口が分からなかったので正面から。机を出して予約チケットを並べて待機している受付の方に軽く会釈して、会場の扉を開けようとすると、
「あ、お客様、まだ開場前です」
 受付の方に止められました。
「すみません、柳家喬太郎です」
 改めて名乗ると、その受付の方、
「えー……柳家様ですね」
 チケットを探し始めました。そこにポスター貼ってあるのになぁ。
 のらりくらりと、受付の思い出であります。 
週刊文春デジタル