週刊文春デジタル
「1993 恋をした oh 君に夢中 普通の女と思っていたけど Love 人違い oh そうじゃないよ」
バイトをしていた雀荘の有線放送からいつもこの曲が流れていた1993年の夏の日、正社員の先輩から、「お前はいいよな、大学に行けば可愛い女の子いっぱいいるんだろ?」と言われた。それが、私にはどうもピンと来なかった。
なぜなら、学校に行ってキャンパスを見渡してみても、化粧もろくにしないでジャージみたいな服を着ている女子学生ばかりだったから。私は神奈川県の本厚木にある「森の里」という、駅からバスに乗り換え、更に30分も行った先にある、自然に囲まれた青山学院の教養キャンパス(現在は移転済み)に通っていた。都心の学校に通う女子と比較すると、当時の私には芋っぽく見えていた。
ところが、である。3年生に進級し、ようやく大学名の通り青山キャンパスに通うようになったある日のこと、私はひとり学食に座り、何気なく行き交う人たちを眺めていて驚いた。キョロキョロと目移りしてしまうほど、美女がたくさんいたのだ。なんでなんだろう。いや、考えるまでもない。登場人物は同じはずである。
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