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常に目標を持っている、常に挑戦する心を持っている。那須大亮は今、その時を大切にして戦っている。だから常に周囲への感謝を忘れず、常にいろいろなものを感じ取っている。だからチームのため、サポーターのため、仲間のために死力を振りしぼる。魂のディフェンダーが語るレッズでの日々──

[浦和レッズマガジン7月号掲載]

──今、浦和ではバックラインのセンター、リベロのポジションでプレーしています。

「リベロは居心地が良いです。ディフェンスラインの中央はずっとプレーしたいと思ってきたポジションですし、自分の良さが出るとも感じています。また高校時代からディフェンスラインをコントロールすることが好きでした。その意味では今のリベロのポジションは合っていると認識しています。ミシャが求めるリベロの役割は特殊ですが、それを実践する際に自分が様々なポジションでプレーしてきた経験が大きく影響していると感じます。サイドバック、ボランチでもプレーして、その時期に様々悩んだことが今に凝縮されて、このリベロでのプレーに生かされている。今の僕はとても充実しています。また若い頃よりも一試合に対する思いを強く感じています。埼玉スタジアムのような素晴らしいピッチに立ち、チーム、サポーターと喜びを分かち合えています。それは奇跡のようなこと。素晴らしい環境、素晴らしいチームでプレーできることに幸せを感じているんです。倒れるまでプレーする。優勝のために全力を尽くす。今はすべてが充実しているとともに、そのような境遇を与えてくれる周囲に感謝の気持ちしかないです」

──現在は最後尾でのラインコントロールに留意している所作もうかがえます。

「今のチームが良い戦い方をできているのは攻守においてチーム全体をコンパクトに保てているからだと思うんですね。それは守備面においても攻撃面においても良い影響を及ぼすと思います。前が戻れなかったら後ろが押し上げる。後ろが上げ切れなければ前が帰陣する。チーム全体のコントロールを適切に成せれば良い時間帯を作り上げられる。その意味ではラインコントロールは非常に重要ですよね。90分間バランスよくチームのコンパクトネスを保てれば相手にチャンスを与えることもないですし、自らは数多くの好機を生み出せる。チーム全体の位置は高くても低くてもいいのです。時間帯の中では相手の攻勢を受ける場面が必ずあります。そこではチーム全体が自陣に戻って守備ブロックを築き上げなければならない。逆に相手陣内へ攻め入って攻勢を仕掛ける際はチーム全体の位置を敵陣側へ寄せなければならない。ただし、チーム全体が帰陣するにしても引きすぎてはならない。一定の距離を保ちながら、チームバランスを適切に保ってコントロールしなければならないと思います」

──今、スタジアムでは常に那須選手のコーチングの声が響き渡っています。

「そうですか(笑)。試合中の何気ない声というのはお互いに助けられるんですよね。僕も横にいるマキやモリ、またサイドアタッカーのウガ(宇賀神友弥)がよく声を出してくれて、そのサポートを受けています。それは自分の支えにもなりますし、逆に僕が声を掛けることでチームメイトが元気になってくれたら嬉しいです。実際にお互いのコーチングの声によって助けられることは多々あります」

──実際、那須選手は誰に声を掛けることが多いですか?

「マキとモリですかね。近いポジションで、守備バランスを取らなければなりませんから。ふたりとはよく話し合っています。あとはボランチの阿部ちゃんや(柏木)陽介ですかね」

──個人的には、那須選手は森脇選手に「一旦ボールを戻せ!」と言っていることが多いような気がします(笑)

「(笑)。確かにそうかもしれませんね。またGKのシュウ(西川周作)にも頻繁に声掛けしています。シュウは技術があってひとつのキックで局面を変えてくれるので、逆にボールを預けた方が良い場合もあります。アイツのパス精度は抜群なので安心感もあります。ただ状況によってはシュウの視界が遮られている場面があった時に僕らのコーチングが重要になる場合もあります。セーフティにプレーすべき場合はシュウに『蹴ってくれ!』と指示することもありますね」