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常に目標を持っている、常に挑戦する心を持っている。那須大亮は今、その時を大切にして戦っている。だから常に周囲への感謝を忘れず、常にいろいろなものを感じ取っている。だからチームのため、サポーターのため、仲間のために死力を振りしぼる。魂のディフェンダーが語るレッズでの日々──

[浦和レッズマガジン7月号掲載]

──ところで最近の那須選手は試合前、もしくは試合中にいくつかの儀式をしていますよね。

「はい(笑)」

──まず、試合開始直前に、チームスタッフに背中を叩かれてピッチへ駆け出しています。

「チームスタッフに背中を叩いてもらっているのですが、僕たち選手にとって日常的に裏方で働くスタッフの方々の力って本当に大きいんです。僕たちは常に彼らに支えられている。だから、そのような方々に背中を叩いてもらって、どれだけ自分が彼らに背中を押されているのか、支えられているのかを実感したいんです。だから、『一緒に闘っている』という意味合いも込めた儀式です。去年の途中から始めたんですけども、僕自身もあれで気合のスイッチが入るようになりました。とてもパワーをもらっています

──もうひとつ、ピッチ上で上を向き、両手を大きく広げる仕草をしますよね。サポーターの間では、あれは漫画『ドラゴンボール』の主人公が見せる『元気玉』の仕草ではないかと噂されているのですが。

「あれはですね(笑)、去年から自然に生まれた仕草なんですけどね。それもキャンプの練習試合で始めたんです。試合前に、『このチームで、このピッチに立てて、プレーができていることってすごい幸せなんじゃないか』と思ったんですね。それで空を見上げたらとても清々しくなってきて、『これはパワーをもらえそう』と思ったんです。それと、サポーターの皆が後ろで後押ししてくれていることを感じて『皆の思いも乗せて、ここで一緒に闘おう』という意思表示でもある。その流れで勝手に生まれた仕草で、今はいろいろな媒体で取り上げてくれていますよね。いやー、恥ずかしい(笑)」

──那須選手はご自身が得点した後も感情表現が豊かですよね。

「いやー、正直、得点直後は頭が真っ白になっています(笑)。自分で何をしたか、どんなポーズをしたかは覚えているのですが、感情をコントロールすることはできない(笑)。感情に任せてしまっています。また、ゴールした後のポーズはその都度違いますね。とりあえず拳を上げるのは一緒かな(笑)。力任せのポーズばかり。まあ、それが僕の感情表現の仕方なのでしょう」

──今シーズンはまだJリーグの1stステージが終盤戦に突入する段階です。今後の戦いに向けて大事なことはなんでしょう。

「今季は2ステージ制になったことで、ひとつのステージで同じ相手と一回しか対戦しません。その意味ではトーナメントと同じ位置付けで捉えています。無敗、連勝などは関係なく、すべての試合を決勝戦だと思っていて、その積み重ねの末にタイトルというものがあると思っています。1stステージの途中でもしステージ優勝が決まっても、年間勝ち点の順位を争う戦いは続いているわけですよね。また、最終的にシーズンの最後に訪れるチャンピオンシップで勝てるかがタイトルを獲得できるかどうかの境目になる。チャンピオンシップはまさに一発勝負で、そこで勝ち切れなければ栄冠を得ることができない。その意味で今季は目の前の試合、一試合、一試合を戦い抜く覚悟を持っています。常に勝負の懸かる試合を積み重ねることで、最もプレッシャーがかかるチャンピオンシップで実力を発揮する素地を作れる。そのためには日々の積み重ねが大事。それは今季だけでなく、僕が浦和に移籍してきた一昨年の2年間も含めてです。すべての成果を集約した上で、今季は目標であるタイトルを勝ち取りたいと思っています」