マル激!メールマガジン 2016年11月9日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第813回(2016年11月5日)
貧困問題の根っこにある老人の貧困という難題
ゲスト:藤田孝典氏(NPO法人ホットプラス代表理事)
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若者の貧困や子供の貧困が取り沙汰される時、決まって「悠々自適な年金生活を送る老人たちが、社会保障財源を食いつぶしている」ことにその原因の一端があると指摘されることが多い。しかし、現実には老人の貧困が、深刻の度合いを増しているという。
今日本の65歳以上の人口は約3400万人。少なくともその2割に当たる約700万人が、生活保護水準以下の貧困状態にあるという。貧困老人の数は実際は1000万を超えるとの推計もある。生活保護基準は首都圏では1か月あたりの収入が概ね13万円以下を意味するが、国民年金からは満額でも6万5000円程度しか支給されないため、老後を国民年金のみに依存する独り暮らしの老人の多くが、この所得水準がクリアできていないのだという。
昨年、著書「下流老人」を著わしたNPO法人ホットプラス代表理事の藤田孝典氏は「下流老人」に共通する条件として3つの「ない」が存在すると指摘する。それは「収入が少ない」「貯蓄がない」「つながりがない」の3つの「ない」だ。
年金のみに依存している老人の多くは収入が少なく、貯蓄を削って生活するしかない。しかし、平均寿命が男女ともに80歳を超える今日、貯蓄はいずれ底を突くことは目に見えている。しかも貧困老人の多くは、家族や地域とのつながりを失って孤立している場合が多いという。埼玉県で困窮支援のNPOを運営する藤田氏の下にも、毎年500人を超える人々が貧困の相談に訪れるが、その約半数が高齢者だという。
老人が貧困に陥る原因は様々だが、中には現役時代に大企業に勤務し、十分な蓄えと年金がありながら、自身の病気や子供の引きこもりなど、想定外の原因で貧困に陥るケースも少なくないという。その意味で、いつ誰が「下流老人」に陥ってもおかしくないのだと藤田氏は言う。
藤田氏は「日本人の多くが、困っている人を見ても助ける必要性を感じなくなっている」ところに、貧困対策が進まない原因があるのではないかと指摘するが、実際、この問題は根深く、その解決も容易ではなさそうだ。
自らが主宰するNPOで日夜、生活困窮者を支援する活動に従事している藤田氏に、深刻化する高齢者の貧困の実態と解決のための可能性を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
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今週の論点
・「下流老人」の厳しい実態
・高齢者が困窮する背景にあるものとは
・あまりに非合理な「自己責任論」
・若い世代のさらなる苦境と、芽生え始めた「希望」
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