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西山隆行氏:トランプ政権への期待とリスク
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西山隆行氏:トランプ政権への期待とリスク

2016-11-16 20:00

    マル激!メールマガジン 2016年11月16日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第814回(2016年11月12日)
    トランプ政権への期待とリスク
    ゲスト:西山隆行氏(成蹊大学法学部教授)
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     大方の予想を裏切ってドナルド・トランプが2016年のアメリカ大統領選挙を制した。
     公職経験も軍歴も皆無の、まったくのワシントンのアウトサイダーであり政治の素人でもある大穴の候補が、これ以上ないというほどワシントンでの華々しい経歴を誇る大本命のヒラリー・クリントンを破っての、まさかの勝利だった。
     トランプ政権がアメリカをどう変えるかについては今のところまったくの未知数であり、リスク要因も多い。しかし、選挙の結果を見る限り、アメリカに大きな地殻変動が起きたというよりも、クリントンの明確な戦略ミスがトランプの当選を許したという側面が大きいと言わざるを得ない。
     クリントン陣営がなぜラストベルトの有権者の動向を見誤ったかについては、マイケル・ムーアが指摘するような「没落したアメリカ中間層の怒り」の激しさを過少評価していたことは明らかだ。本来は伝統的な民主党支持者である彼らの不安や不満を汲み上げられなかったクリントン陣営の戦略ミスが、結局は命取りになった。
     一方、トランプはそんなクリントンの戦略ミスを尻目に、見事な選挙戦を戦い抜いた。すべてが戦略的な意図に基づくものではなかったかもしれないが、数々の暴言や下半身にまつわるスキャンダルなどメディアが泣いて喜びそうなネタをコンスタントに提供することで、メディアのエアタイム(放送時間=露出)を確保し、有権者の注目を自分だけに集中させつつ、党の予備選で左派のバーニー・サンダースの攻勢に晒されたクリントンが左に引っ張られることで、大きく空いた中間層に訴える政策をしっかりと用意するなど、一見粗野に見える言動や行動とは対照的とも言える緻密な選挙戦を展開した。
     前例の無い新しいタイプの大統領となるトランプが、既成の常識にとらわれない破壊力で、閉塞状態に陥ったワシントンの政治を根っこから変えてくれるかもしれないという期待がある一方で、すべてが未知数のトランプ政権にはリスクも大きい。
     トランプ政権下のアメリカでもっとも大きな影響を受ける可能性があるのは移民政策になるだろうと、アメリカの移民政策に詳しい西山隆行成蹊大学教授は指摘する。選挙戦でトランプは、移民によってアメリカの職が奪われているとして、メキシコ国境に万里の長城を建てると公言した。また、イスラム教信者の入国を禁止するとも公言している。
     そもそもトランプを支持したプアホワイトと呼ばれる白人の低所得層は、アメリカにおける白人の割合がヒスパニックやアジア系に押され少数派に転落することに危機感を抱いている人々だ。彼らの不安や不満に訴えることで当選を果たしたトランプ政権は移民政策に何らかの変更を加えないわけにはいかない。これは先進国が軒並み少子化と人口減少に見舞われる中で、移民を受け入れることで経済的な力を維持してきたアメリカという国の性格、ひいては国のあり方を根本から変える可能性があると西山氏は言う。
     トランプはなぜ勝てたのか。トランプ政権はどのような政権になるのか。トランプの下でアメリカは移民国家の旗を降ろすのか。西山氏とともに、大統領選挙の結果とトランプの公約を検証しつつ、今後のアメリカの方向性をジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・選挙戦を分けた「中道」への配慮
    ・嫌われたヒラリーと、選挙制度の問題
    ・トランプの政策は、どこまで実現するか
    ・トランプ政権の注目点 「閣僚の顔ぶれ」と「グローバル化を安定させる知恵」
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