マル激!メールマガジン 2016年11月23日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第815回(2016年11月19日)
ドナルド・トランプという男
ゲスト:佐藤伸行氏(追手門学院大学経済学部教授)
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世界の目がたった一人の男に注がれている。ドナルド・J・トランプ。この男は果たして稀代の戦略家なのか、はたまた単なるナルシストの山師なのか。
大方の予想に反してドナルド・トランプの勝利に終わった大統領選挙から一週間が過ぎ、目下、世界は選挙戦中にトランプが語った数々の暴論に満ちた政策を本気が実行するかどうかを見極めようと、彼の一挙手一投足を固唾をのんで見守っているようだ。
トランプ政権下でメキシコ国境の壁の建設をはじめ、イスラム教徒の入国禁止などの移民政策の変更、同盟国に対する防衛負担の増額要求、保護主義の復活などの政策が実際に実行されれば、世界に大きな影響を与えることは必至だからだ。
目下、世界はトランプ政権の閣僚人事に注目しているようだ。それがトランプ政権の政策を占う上で重大なヒントを与えてくれると思われるからだ。
しかし、もう一つトランプ政権の行く末を占う上で重要な示唆を与える視点がある。それがドナルド・トランプという人間、そしてその一族の出自や彼自身の生い立ちなどを知ることだ。そこで今週のマル激では近著『ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢』でトランプの出自を詳しく紹介した追手門学院大学経済学部の佐藤伸行教授に、トランプの人物像について聞いた。
不動産事業者としては、1973年のマンハッタンの鉄道操作場跡地の再開発プロジェクトの成功を皮切りに、1980年のグランドハイアット・ホテルの改築、そして1983年に5番街に立てたトランプタワーなどでニューヨークの大型プロジェクトで次々と成功を収め、時の人に登りつめていく。しかし、不動産業以外で手を出した数多くのビジネスではことごとく失敗しているのも、ビジネスマンとしてのトランプの大きな特徴の一つだ。それでも不動産事業成功の儲けは莫大なようで、フォーブス誌などによると、現在の保有資産は日本円にして数千億はくだらないだろうという。
トランプの政治スタイルについて佐藤氏は、意識的に劇画の主人公を演じているのではないかと言う。常に鏡を見ながら仕事をするナルシストの顔を持つトランプが、意識的にレーガン元大統領を模倣していることはよく知られている。選挙スローガンのMake America Great Againもほぼ丸ごとレーガンのパクリだ。元俳優のレーガンも大統領選挙への出馬当初はメディアからことごとく馬鹿にされていた。しかし、いざ大統領になると強いリーダーシップを発揮し、歴史に残る名大統領になっている。
果たしてトランプがレーガンのように大化けする可能性はあるのか。それとも、大統領就任後も誇大妄想のナルシストぶりを発揮し、アメリカのみならず世界を大混乱に陥れることになるのか。トランプの家系や生い立ちに詳しい佐藤氏と、トランプの人物像とトランプ政権の行方について、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・トランプとレーガンの共通点
・祖父から“バロンくん”まで、トランプ一族の歴史
・安倍首相が早々に“尻尾を振った”ことのみっともなさと、今後への影響
・アメリカで民族紛争が起きる可能性
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