マル激!メールマガジン 2018年11月21日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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マル激トーク・オン・ディマンド 第919回(2018年11月17日)
これが国会をつまらなくしているカラクリだ
ゲスト:田中信一郎氏(千葉商科大学特別客員准教授)
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 何だか騙された気分だ。このところ国会では、片山さつき地方創生担当相だの桜田義孝五輪相だのが、やり玉に挙げられている。また、外国人労働者を大量に増やすことを目的とした入国管理法の改正案をめぐっても、法案の元となるデータの不備などが表面化し、久しぶりに国会が紛糾している。国会が賑やかなのはいいことだが、やっぱり何か物足りない。
 結局、日本の国会では与党政治家のスキャンダルや不規則発言などが、一番盛り上がる。また、法案関連では、法案の元になるデータの不備や法案自体に矛盾や問題があれば、一時的に野党が攻勢を強める時もあるが、結局最後は与党が数で押し切れば、大抵の法案は通ってしまう。優先順位の低い法案が継続審議になることはあっても、与党が閣法として提出した法案が廃案になることは滅多にない。これが議会制民主主義というものなのか。
 われわれは学校で、日本は国民が直接大統領を選ぶアメリカと異なり、国民は国会議員を選び、その国会が内閣総理大臣を指名する「議院内閣制」の国なので、第一義的には内閣は国会が監視することになっていると習ったはずだが、少数派の野党が与党に絡みつくことはあっても、「国会が内閣を監視する」ところは、おおよそ見た記憶がない。
 議院内閣制の基本中の基本ともいうべき、国会による内閣の監視が日本で機能していないのは、機能しないようにする仕組みが意図的に作られているからだと、政治学者の田中信一郎氏は指摘する。
 現在の日本のように与党と内閣が完全に一致してしまえば、議院内閣制はまともに機能しない。与党も一度は内閣総理大臣を選んでも、その内閣が国民との約束を果たしているかどうかを常に監視し、もし果たしていないと判断すれば、直ちに内閣総理大臣を交代させ、新しい内閣を作るのが、国会の、とりわけ国会の多数派の重要な機能であり責任のはずなのだが、現実がそうなっていないことは誰の目にも明らかだ。
 今さらこれを言ってどうなるものでもないが、どこの政党を支持しているにしても、政治権力を独占している自民党に投票しなかった有権者が7割強、実際に投票した人の間でも半分以上は自民党に投票していないにもかかわらず、その自民党が法律の制定過程も、行政の政策立案過程も独占している状態は、当然、有権者にとっては不満の材料となる。要するにそんな国会は、そんな政治が面白くないのは当然なのだ。
 他にも多様な人材の立候補を妨げている、世界一高額な供託金制度や、人海戦術を前提とする大組織に圧倒的に有利な選挙制度、選挙が近づくと突然選挙関連の報道が規制される公職選挙法の報道規制など、政治が出来レースだと感じてしまう材料が、日本ほど豊富に揃っている国は、恐らく先進国の中には他にないだろう。
 昨今、自民党は何やら独自の国会改革案なるものを用意しているらしいが、現在のような制度の中から出てきたいかなる改革案も、誰もまともに受け止めないのは当然のことだ。まずは、誰が見てもおかしい点から改革すべきではないか。
 民意が大きくデフォルメされてしまう現在の国会や選挙の制度の下では、まともに民主主義は機能しないし、国民が政治に関心を持ちにくい理由もそこにあると語る田中氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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今週の論点
・意外と押さえられていない、国会の教科書的説明
・プロレス以下の国会質問
・国会をつまらなくする公職選挙法
・野党に期待する、国政改革への道
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■意外と押さえられていない、国会の教科書的説明

神保: 今回は「日本の国会やばくね?」という話です。日本は議院内閣制なので、国会がやばいということは、日本の民主主義がやばい、ということだと思います。話題といえば片山さつき地方創生担当相、桜田義孝五輪相のことで、マル激でもずいぶん取り上げてきた移民、入管法改正についてもひどい状況です。

宮台: 繰り返すのも面倒になってきましたが、安倍内閣の特徴はお為ごかしだということです。