マル激!メールマガジン 2014年9月3日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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マル激トーク・オン・ディマンド 第698回(2014年8月30日)
5金スペシャル
カシミール、パレスチナ、世界紛争の根っこにあるもの
ゲスト:伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院教授)
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 5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では世界で起きている武力紛争について、関連映画を参照しながら考えた。
 インド、パキスタンの国境付近に位置するカシミール地方は、住民の大半こそイスラム教徒だが多様な文化が混在している地域で、1947年にインドとパキスタンが独立して以来、常に二国間の紛争の種だった。インド、パキスタンの独立後も3次にわたる印パ戦争の舞台となり、局地的な武力衝突も後を絶たない。
 世界の紛争地で武装解除などの任務に携わり、カシミールも度々訪れている東京外国語大学大学院教授の伊勢崎賢治氏は、カシミール紛争に乗じてイスラム過激派がこの地に浸透して以来、カシミールは現代テロの起源であると言う。インドは陸軍の半分をカシミールに投入し、治安組織や現地警察勢力も加えると地域住民の実に5分の1にも相当する90万人の軍・警察・治安関係者によって、地域の安定を維持している状態だという。ここで取り上げた映画『アルターフ 復讐の名のもとに』は、カシミールが舞台のインド映画だ。家族を殺されたパシュトゥーン人の主人公と、彼を養子として育てるが実は彼の家族を殺した本人であるイスラム教徒の警察署長の、復讐を巡るアクション映画だ。そこにも怨念の連鎖とテロという、カシミール情勢の複雑さが垣間見える。
 今回の5金スペシャルで取り上げたもう1つの映画は、パレスチナ人ラッパーの活動を取り上げたドキュメンタリー映画『自由と壁とヒップホップ』だ。パレスチナ人ヒップホップグループ「DAM」が、パレスチナ特有の困難や制約の中で活動する姿を追ったこの作品は、イスラエルとの対立構図だけではなく、パレスチナ人同士にも存在する問題が描かれている。パレスチナ情勢は現在も短期間の停戦をはさみながら、イスラエル軍による空爆や、パレスチナ過激派によるテロが繰り返されているが、カシミールと同様に解決の糸口を見出すことが困難になっている。その他、世界にはカシミールやパレスチナのような地域紛争が無数にある。なぜ紛争はなくならないのか。冷戦というイデオロギー対立が終結した今、世界の紛争の根本にあるものは何なのか。ゲストの伊勢崎賢治氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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今週の論点
・3つの核保有国が地上戦を行うカシミールの現状
・モディ政権がイニシアティブを握る印パ情勢
・パレスチナ問題は宗教紛争ではない
・紛争の構造と日本の「平和主義」
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