マル激!メールマガジン 2014年11月12日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第709回(2014年11月8日)
オバマ大敗の背後で暗躍する企業マネーとスーパーPACの実態
ゲスト:渡辺靖氏(慶應義塾大学環境情報学部教授)
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11月4日のアメリカ中間選挙ではオバマ大統領率いる民主党が大敗を喫した。今回の中間選挙では上院選、下院選、州知事選の3つの選挙が行われたが、民主党はいずれも大きく議席を減らした上に、上院でも過半数を失い、上下両院で少数党に転落した。
2008年にアメリカ政治史上初のアフリカ系大統領として熱狂的な支持を集めたオバマ大統領だが、医療制度改革をめぐり議会と対立し、外交面でもウクライナ情勢ではロシアに主導権を握られ、またイスラム国の台頭を許すなど、就任当時の期待とは裏腹にアメリカ国内では大統領としての指導力に大きな幻滅が広がっていることは事実だ。
アメリカ研究の専門家で、慶應義塾大学環境情報学部教授の渡辺靖氏は「そもそも大統領選が希望の選挙と言われるのに対して、中間選挙は失望の選挙と言われている」として、アメリカの中間選挙は伝統的に政権党に厳しい審判が下されることが多いことを指摘する。
しかし、それを考慮に入れても、オバマの不人気ぶりには隔世の感がある。なぜこうまでオバマ離れが進んでしまったのだろうか。今回の中間選挙は、史上最高となる約36億7千万ドル(約4163億円)の政治資金が投入された、アメリカ史上もっともお金のかかった中間選挙だった。実際、テレビコマーシャルだけでも9億ドル以上が費やされ、その大半が候補者や政党を中傷するネガティブキャンペーンに回ったと見られている。
アメリカでここまで巨額の資金が選挙に注ぎ込まれることになった背後に、2010年1月に下された最高裁の「シチズンズ・ユナイテッド判決」があった。これは保守系政治団体が、2010年当時大統領候補だったヒラリー・クリントン氏をこき下ろすテレビCMをケーブルテレビで流そうとしたところ、選挙管理委員会からストップがかかり、これを「表現の自由」への制約として訴えていたもの。政治資金への制限はこの表現の自由を制約するものとの判断の上に、事実上企業献金を制限した過去の法律に違憲判決を下したのだった。
「表現の自由」を根拠に企業に無制限の政治資金提供を認めたアメリカの選挙は、もはや一部の富裕層やグローバル企業がスーパーPACに無尽蔵の資金を注ぎ込み、大量の政治CMで大統領や対立候補を叩く、金権選挙の様相を呈し始めている。そのような中で戦われた中間選挙の結果を、単にオバマの指導力不足に起因するものとして片付けてしまっていいのだろうか。これから金権選挙がますます進む中で、アメリカの政治はどのように変質し、そして日本や世界の他の国にどのような影響を与えることになるのか。
アメリカ中間選挙の結果を検証しながら、その背後にあるアメリカ政治の変質とその影響について、アメリカウォッチャーの渡辺靖氏とともに、神保哲生と宮台真司が議論した。
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今週の論点
・米中間選挙の結果を受けて――オバマのCompetency(政権担当能力)
・政治資金を青天井にした「シチズンズ・ユナイテッド判決」とは
・アメリカの金権選挙は、世界にどう影響するか
・アメリカにおける保守とリベラルの断絶
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