マル激!メールマガジン 2015年12月16日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第766回(2015年12月12日)
中間層が没落した国は衰退する運命にある
ゲスト:中原圭介氏(経済アナリスト)
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世界の歴史を振り返った時、空前の繁栄を享受した帝国がほどなく崩壊した背景には、必ずといっていいほど共通した出来事があった。中間層の没落である。古代ギリシアの民主政、ローマ帝国、唐王朝等々、いずれも中間層を没落させたことが衰退、そして滅亡の引き金になった。
経済を理解するためには歴史的視点が重要と語るエコノミストの中原圭介氏は、1980年代以降、アメリカが新自由主義的な政策に傾倒したことで、長らくアメリカの豊かさの象徴だった中間層の没落が始まり、もはやアメリカにはほとんど中間層が残っていないところまで状況は来ているという。そして、今、アメリカには上位1%が富を独占し、99%はほとんど豊かさを享受することができない究極の格差社会が現出している。
翻って日本はどうか。「アベノミクス」と銘打った政策で空前の金融緩和を図り、5割近い円安を実現したが、今のところその果実は大企業のみに集中し、国民の実質賃金は逓減傾向が続いている。これではGDPが多少増えたところで、大半の国民が豊かさを実感できないのも当然のことだ。日本でもアベノミクスの恩恵は、一部の大企業や金融資産を保有する富裕層に限られ、中間層はむしろ生活が苦しくなっているのだ。
中原氏は日本では格差や中間層の没落がアメリカほどは進んでいないため、今ならまだ間に合うと指摘する。そして日本経済を立て直すためには、果実が中間層まで回ってこない金融緩和や、財政の悪化を招く公共事業に依存する現在の経済政策から脱却し、成長が期待される分野に投資を集中させるしかないだろうという。
かつての帝国と同様に、中間層が没落したアメリカはこのまま転落していくことになるのか。日本もその轍を踏み続けるつもりなのか。日本が選択すべき道を、ゲストの中原圭介氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・中間層が没落すると、国が衰退する理由
・富の偏在と、アメリカに見える変化の兆し
・実行されない成長戦略
・正しい政策でも好転するには10年かかる
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■中間層が没落すると、国が衰退する理由
神保: 今回は経済がテーマです。経済に関しては「マル激としてどう料理すべきか」ということをつかみかねているところがあります。つまり、経済媒体的なことをやっても仕方がなく、そういうことは『ワールドビジネスサテライト』に任せておけばいい。宮台さん、マル激は経済に対してどうアプローチすべきだと考えますか?
宮台: おそらく二つの柱があります。一つは経済政策が「妥当であるか」ということの検証。そこで「誰にとって」「どういったタイムスパンで」という問題があるとわかってきました。それからもう一つは、まさに「経済回って社会回らず」というような問題です。つまり、経済を回すことと、社会を回すということが、必ずしもシンクロしない。例えば、社会に大きな穴があくと、そこを市場の働きで埋めることができるわけですが、その場合は、市場にそぐわないと社会の大穴に落ちて死んでいくことになる。このように、経済と社会の関係について考察するというのも、一つの重要な柱になります。
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