今月から、お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんによる新連載が始まります! 高佐さんが日々の日常で経験した、くすりと笑える瞬間を書き留める本連載。第1回は、ルノアールで繰り広げられた、「咳払い」をめぐるささやかな戦いについてお届けします。
みなさまはじめまして。ザ・ギースの高佐です。PLANETSのインターネットラジオ「オールフリー高田馬場」をご視聴頂いていた方はもしかしたらご存知かもしれませんが、ほとんどの方がはじめましてかと思います。ザ・ギースというお笑いコンビで活動している芸人です。「毒に冒された堺雅人」みたいな顔をしている方です。
去年の暮れ、PLANETS代表の宇野常寛さんから「エッセイを書かないか?」というお話を頂きました。エッセイなど、生まれてこのかた一度も書いたことがなく、そもそもエッセイとコラムの違いすら分かっていない僕が軽々と引き受けていいものかと悩んでいたのですが、宇野さんの「高佐くんなら書けるよ」というありがたい言葉と、僕のマネージャーの「名指しでエッセイをお願いされるなんて奇跡に近いですよ」という言葉に僕自身軽く舞い上がってしまい、「よろしくお願いします」とつい返答してしまったのでした。特にメッセージ性や、みなさまの知識になるような内容ではないので、他の方々の文章の箸休め的に読んでいただければと思います。
タイトルは、宇野さんが見に来てくれたギース単独ライブで行なった「誰にでもできる簡単な仕事」というネタから名付けることにしました。
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僕は芸人という仕事柄、喫茶店に行くことが多い。ネタを考えたり、本を読んだり、舞台の台本を覚えたり、行く理由は様々だ。最近は自身の配信動画の編集をすることもあり、ほとんど毎日どこかしらの喫茶店に行く。と言うと聞こえはいいが、実際はスマホゲームに手を出してしまい、作業そっちのけで、気付いたら蛍の光が流れてるということもしょっちゅうだ。喫茶店でパソコンを開いてるだけで仕事をした気になってるただの愚か者だ。
基本、家でもできる作業ばかりなのだが、家だとすぐにテレビを見てしまったり、ベッドに寝っ転がっていつの間にか寝てしまったりするので、体がその感覚を覚えてしまっているのか、家で仕事しようと思っても全くスイッチが入らない。そんなわけで今日も正月だというのにわざわざやってるかどうか電話で確認してまで、新宿のルノアールまで足を運び、スマホゲームの魔の手から逃れながら、この原稿をカタカタ書いている。
喫茶店は、当たり前だが人が集まる場所だ。会話してる人たちもいれば、僕と同じように何かの作業をしている人、動画を見てる人、ゲームをしてる人など様々だ。そんな人が集まる場所に何時間も身を置いていると、ふとした瞬間に周りの人の仕草が気になってくる。
【新刊】宇野常寛の新著『遅いインターネット』2月20日発売!
インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げた一方、その弊害がさまざまな場面で現出しています。世界の分断、排外主義の台頭、そしてポピュリズムによる民主主義の暴走は、「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例といえます。インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには今何が必要なのか、提言します。
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