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アニメーション監督の山本寛さんによる、アニメの深奥にある「意志」を浮き彫りにする連載の第10回。今回取り上げるのは、いまやアニメビジネスの定番の手法となった「聖地巡礼」ムーブメントについてです。エポックとなった『らき☆すた』から13年、地域に様々な恩恵と軋轢をもたらしてきたアニメ発のコンテンツツーリズムの成り立ちと現状、そして功罪について、仕掛け人の立場から振り返ります。

山本寛 アニメを愛するためのいくつかの方法
第10回 「聖地巡礼」とは~アニメは地域に何をもたらしたか?

「聖地巡礼」という言葉は、今やもう当たり前のように使われているように思える。
僕はこのテーマで既に10回近く講演をさせてもらっているが、しかし地方の一般市民に「聖地巡礼って宗教のことだと思ってる人?」と訊くと、お年寄りを中心にまだ手が上がる。

今回は数多い講演の経験から、改めてこの「聖地巡礼」の意義を問いたいと思う。
ただし、「聖地巡礼」の定義については、講演ならば最初に説明するところだが、この稿では省略させていただく。

2016年、「アニメツーリズム協会」が設立され、いよいよアニメ業界総出で「コンテンツツーリズム」=「聖地巡礼」を盛り上げようとしている、かのように思える。
『君の名は。』(2016)では、舞台とした岐阜県飛騨市で1年間だけで185億円もの経済効果をもたらしたのだから、ビッグビジネスのチャンスを狙うのも無理はない。


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