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第200号 2016.11.8発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが見舞われたヘンテコな経験を疑似体験!?小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…今週も引き続きストーカーに関する考察を深めたい。なぜストーカーは、「執着」している相手に拒否されているのに、その「執着」を断ち切れないのか?それはやはり幼少時の親のしつけ方が影響するものだろう。「節度」「分相応」「分限をわきまえる」といったことを躾けられずに大人になり、ストーカーにまでなってしまった人には、どう対処すれば良いのか?
※小説「わたくしの人たち」…美魔女セミナー代表の西川麻央に誘われ、“普段なかなか会えない凄い方々”が集まるという食事会へ行ってみると、その集団は完全に類は友を呼んじゃってる状態!互いが互いに持ち上げ合い、自己顕示欲と承認願望と損得勘定に満ちた禍々しい空間は、どんどん“凄い”ことに…!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!自身の作品が実写化されるとしたらどう思う?日曜日にゴロゴロしていて、どこにも遊びに連れて行ってくれないパパを怒って!ストーカー被害に遭った際、どのように対処したの?人間はどうして色黒の人と色白の人がいるの?一人で映画鑑賞できる?芥川龍之介の作品は好き?「お尻」と「ヒップ」どっちが好き?やはり日本の左翼は滅ぼすべきでは!?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第197回「ストーカーには治療が必要」
2. しゃべらせてクリ!・第158回「愛の募金に協力してクリませ~!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭の小説「わたくしの人たち」・第6話「“凄い友達”の会」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第197回「ストーカーには治療が必要」

 今週も引き続きストーカーに関する考察を深めたい。あくまでも特定個人はサンプルであって、「公的」な問題に昇華させねばならない。

 先週号でわしは、ストーカーに対して、「なぜ絶対にその女に認められなければならないと思い込むのだろうか?あきらめればいいだけじゃないか。無駄な執着をやめればいいだけじゃないか」と書いた。
 正直に言って、わしには「執着」している相手に拒否されているのに、なぜその「執着」を断ち切れないのか、理解できないのだ。
 相手に興味がある、好意を持つなら、好かれるように努力すればいいし、それで相思相愛にならぬならば、諦めればいい。興味そのものをなくせばいいし、他の相手に興味を移せばいい。
 もし嫌われたならば、こんな恥ずかしいことはない。もう大急ぎで相手の前から去るべきだし、記憶から抹消する勢いで、他のことに打ち込めばいい。他の異性でもいいし、仕事でもいいし、読書でもいいし、スポーツでもいい。
 相手に嫌がられているのに「執着」「粘着」「固着」する者は、わしにとってはひたすら気味が悪い生物に過ぎない。
 当然「101回目のプロポーズ」はストーカーであるし、ヘンタイである。浅野温子は警察に連絡するべきだし、武田鉄矢は刑務所にぶち込まれるべきである。

 かつてわしの女性ファンがストーカーになって仕事場の住所を突き止め、周辺をうろつくようになったが、チーフ広井が発見して警戒し、とうとう仕事場のチャイムを鳴らした時は、広井がわしを隠し、見事に追っ払ってくれた。
 その女性ストーカーは主婦のようだったが、内面に空洞を抱えた気の毒な人だったのかもしれない。だが、福山雅治は家の中まで侵入されたから女性ストーカーも軽く見るわけにはいかないのだろう。

 男のストーカーは同性愛じゃない限り、ストーカーになるときは「憧れ」が「敵意」に転化して「執着」してくる。
 そんな「執着」がわしには全く理解できないのは、子供の頃に教育ではぎ取られてしまったからだ。その経験を以前、漫画に描いたことがある。


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 (わしズムVol.1/2002年4月「巻頭言」/『ゴーマニズム宣言EXTRA』収録)


 昔の写真を見ると、子供時代のわしが着ている服はつぎはぎだらけだ。ところが妹はきれいな服を着て写っている。
 どうやらわしの母は、わしは学校の成績もいいし、何度も級長をやっている優秀な子だから、ボロボロの服を着せておいても「世間体」には傷がつかないと思っていたらしい。
 一方で妹には誇れるものがないから、きれいな服を着せ、安月給のくせにオルガンを買い与え、さらにはピアノを買い与えて、世間体を保っていたのだろう。
 ともかくそんなわけで、わしは執着心を持たずに育った。