今、連載中の『大東亜論』や、描き下ろし中の『卑怯者の島』、
それ以外にまったく違うジャンルの物語を思いつくことがある。
だが、どこかの雑誌に企画を持ち込んでも、週刊誌の連載は
まず描けない。
「SAPIO」の連載だけで10日はかかっているし、『新戦争論2』
の描き下ろしもある。
我がスタッフが年老いて、家族持ちが増えたので、
若いころのようには量産できない。
ならば描き下ろしでやってみる手はあるが、雑誌の連載で
人気を確認した作品ではないから、本が売れる保障がない。
かくしてわしの頭の中に、眠ったままで、世に出ない
アイデアが増えていく。
わしでさえこうだから、手塚治虫の頭の中には、どれだけ
アイデアが眠ったままになっていたか、まったく残念だ。