スペシャル本のシナリオを一本完成させ、眼鏡を買いに
行って、夜景を見ながらステーキを食い、あとは黙々と
本を読んでいる。 

家族がいない者にとっては、正月って実に退屈だ。
一年中、3食作らねばならぬ妻の家事の負担を、正月くらい
なくしてやらねばならぬからホテルに泊まるが、なにしろ
ホテルには自宅にある膨大な本がない。 

姿勢の崩れない仕事用の机と椅子もなく、必要な本を選ぶ
書棚もなく、気分の向くDVDを見て寝ることもできない。 

子供や親戚がいて、正月気分というものが味わえるのだろう。
小林家の古い家族アルバムの中に、父が獅子舞の中から
顔を出して笑っていて、その前で幼児のわしが泣いていた
写真があった。
昔は正月に獅子舞がやってきたりしたのだが、そんな風習は
よほど田舎に行かなければ残ってないだろう。 

獅子舞が来る正月から、都心の高級ホテルで読書に耽る
正月へ、時代は目くるめく激変したが、豊かさは昔の方が
あったのかもしれない。 

だが、実は懐かしんでもいない。
個人主義で戦うことを選んだのだから。 

今年は「朝ナマ」の企みのせいで、権力に対する闘争心が
燃え盛ってむずむずしている。
権力になびく連中ばかりのこの国で、わしくらいは
戦わねば全体主義が完成する。
今年も面白そうじゃないか。

 

 

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