c3f0d4ea8027341f15369617681477ec895171d2
第166号 2016.2.18発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…昨年末の安倍政権による慰安婦「合意」は、左翼・リベラル派は大喜び、自称保守派は押し黙るという、自虐史観逆転勝利の様相をこの国に出現させた。さらに酷いのはマスコミで、慰安婦「合意」に関しては議論すらしない方がいいというタブーを作り、権力擁護に努める体たらくだ。「慰安婦〈合意〉は正しかったのか?」徹底討論から目を逸らすな!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!元SPEED・今井絵理子の参院選出馬をどう思う?昨今、男子社員が女子社員の容姿を指摘すると(褒め言葉でも)セクハラになるらしい!?「弁当」を食べる機会はある?「性欲が強いデキル男」誰が思い浮かぶ?…等々、よしりんの回答や如何に!?
※著名なる言論人の方々の立派な御意見を思いっきり褒めそやす「御意見拝聴・よいしょでいこう!」。“インテグリティの人”“誠の人”安倍晋三氏と、“名工による日本刀の切れ味を感じさせる”岡崎久彦氏の対談本をご紹介!今日も二人は、アメリカに尽くして尽くして尽くしまくるよ~~~!!!


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第162回「日韓慰安婦『合意』という売国」
2. しゃべらせてクリ!・第126回「日本人なら日の丸弁当ぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. 御意見拝聴・よいしょでいこう!・第14回「『この国を守る決意』〈2〉名工による日本刀の切れ味のご高説!!」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




a4ce1caf1f8abb131c469c9146f5fc59e8d53f0f

第162回「日韓慰安婦『合意』という売国」

 第53回ゴー宣道場「慰安婦〈合意〉は正しかったのか?」を2月14日、拓殖大学客員教授・藤岡信勝氏を迎えて開催した。
 今年は、当時の中学歴史教科書7社全てに「従軍慰安婦」が登場し、この異常事態に対抗すべく「新しい歴史教科書をつくる会」を設立する動きが始まってからちょうど20年に当たる。このとき西尾幹二氏とともに「つくる会」を創設し、その活動にわしを招こうと提案したのが藤岡氏である。
 それから20年、「つくる会」の活動やわしの『戦争論』の影響により、中学歴史教科書から「従軍慰安婦」は消え、日本人の「自虐史観」(この言葉を普及させたのも藤岡氏である)も相当に払拭されたかに見える中、昨年末に唐突に慰安婦問題の「日韓合意」が行われた。
 自称保守論壇の中にはこれを評価・歓迎する向きもあるが、果たしてそれでいいのだろうか?
 論点は多岐にわたるが、今回は事前にブログで以下の5つの論点を提示した。

1)なぜこのタイミングで日韓合意?
   アメリカの圧力で、ではないのか? 他に理由があるのか?
2)日韓合意のメリット・デメリット
   本当に韓国を追い込んだと言えるのか?
   7対3で日本の勝利などと言う新聞記者もいるが本当か?
   再び教科書に記述されて、日本が再び自虐史観に戻ることはないのか?
3)安全保障か、歴史の真実か
   安全保障のためなら譲歩やむなしなら、歴史戦はすべて敗北しかないのではないか?
4)慰安婦の真実が伝わらない理由
   なぜ慰安婦の真実は伝わらないのか?
5)慰安婦問題の解決はありえるのか
     前々回のゲスト、松竹さんは「保守先鋒の安倍首相が謝罪する」ことで解決すると言っていたが、今回の〈合意〉で日韓共に解決ということか?

 藤岡氏は、今回の「日韓合意」は「全く評価できない、やるべきではなかった。大失敗だった。日本外交の世紀の失態だ」という。この認識はわしも同意である。
 ではこの5つの論点に沿って、当日の議論を整理しておこう。

1)なぜこのタイミングで日韓合意?
 藤岡氏は、まずアメリカの世界戦略の変化を挙げる。
 中東政策が大失敗し、対ロシア外交でもやられっぱなしという状況の中で、アメリカの世界覇権が怪うくなる一方、世界第二の覇権国である中国が台頭。尖閣諸島をめぐって日本と摩擦を起こし、南沙諸島を軍事拠点化しようとしている。
 ここにきてアメリカは中国との対決姿勢をとるようになり、そのために日本に対して協力を求めている。
 アメリカは4年前の野田政権の頃から、日本と韓国の手を結ばせようと水面下で動いていた。
 これが表面化したのは昨年3月、中国が提唱するAIIB(アジアインフラ投資銀行)に、韓国がアメリカの制止を無視する形で参加、さらにヨーロッパ諸国がこぞって参加するという事態に危機感を抱いたアメリカが、同盟国の締め付けを図った。
 昨年11月の日韓首脳会談で、朴槿恵大統領は安倍首相に慰安婦問題の年内の妥結を求め、このとき安倍は期限を区切ることを拒否。12月15日の外務省の交渉も不調で、年越しは確実と思われていた。
 ところが24日に安倍首相は突如、岸田外務大臣を韓国に送る決定を下し、28日に「日韓合意」となる。
 この急転直下の原因は不明だが、アメリカの圧力なしには考えられないという。