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「残酷な天使のテーゼ」
コメ1 草の根広告社 73ヶ月前
少し前の話だ。保育園に迎えに行くなり、娘が僕を指差して笑顔でこう言った。「おひげのおにいさん」「え?」 そんなことを言われたのは初めてだ。もちろん妻も言っていない。ひょっとすると日々僕の姿を目にしている園児の誰かが娘に言ったのかもしれないと推測した。
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「終わりなき消耗戦をこれ以上続けない為に」
コメ1 草の根広告社 73ヶ月前
不謹慎なたとえで申し訳ないけれどベトナム戦争に従事していたアメリカ兵はこんな気持ちだったのだろうかと遠い目をせずにはいられないほど終わりなき消耗戦に日々疲弊している。
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「その笑顔が見たい」
コメ0 草の根広告社 73ヶ月前
「パパママ、笑って!」 娘からいきなりそう言われた。三人で食事をしていたときだっただろうか。朝の支度をさせていたときだったろうか。ほんの数日前のことなのにもはやどんなシチュエーションだったのかも思い出せないくらい娘の言葉だけが際立って衝撃的だった。覚えているのは瞬時に妻と顔を見合わせたことだ。僕...
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「ひと雨ごとに気温が一度ずつ下がっていく」
コメ0 草の根広告社 75ヶ月前
秋雨が続いている。思い返せば娘が生まれた直後もこんな風に降り続く雨を産院の窓越しに見つめていた。出産当日までの残暑を一気に冷やす霧のような雨だった。あれからもう2年が経つ。色々なことがあった。色々なことが始まったし、終わりもした。もう2年と思うこともあれば、まだ2年かと思うこともある。そして、...
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「わからないが舞う空の下で」
コメ0 草の根広告社 75ヶ月前
鳥たちが旋回している。30羽ほどの群れが初秋の青空に美しい8の字を繰り返し描いている。僕の中指と人差し指を小さな手でギュッと握り締めた娘がそれを見上げている。
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「長靴は雨の日に履くものだという常識に縛られたつまらない大人にならない為に」
コメ1 草の根広告社 76ヶ月前
最近困っているのは、娘が長靴しか履かないことだ。雨の日はもちろんかまわないんだけど、晴れの日も曇りの日も、天気に関係なく保育園の登下校は絶対に長靴。長靴じゃないと玄関を出てくれないのだ。
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「ぞうさんじゃない」
コメ0 草の根広告社 77ヶ月前
「ずかん!」 と娘が本棚から持って来た図鑑の適当なページを開き、掲載された写真のひとつ一つを指差してやる。動物のページなら「ぞうさん」「きりんさん」「うさぎさん」乗り物のページなら「きゅうきゅうしゃ」「しんかんせん」果物のページなら「ばなな」「すいか」「ぱいなっぷる」と言った具合に確認するように...
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「海へ行くつもりじゃなかった」
コメ0 草の根広告社 77ヶ月前
フリッパーズギターが「海へ行くつもりじゃなかった」というタイトルのアルバムをリリースしたのは1989年、東京の石神井という町で一人暮らしをしていた二十歳の頃だった。当時、若者の多くが読んでいた「宝島」という雑誌で目にしたそのタイトルはそこに収録されていた曲を忘れてしまった今でも頭の片隅に残っている。
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「それはただしいのかな?」
コメ0 草の根広告社 78ヶ月前
週末、娘の通う保育園で初めての保護者会があった。いつもの教室のいつもの席の後ろに両親が顔を揃えていることがくすぐったいのだろう。軽快なピアノの伴奏に合わせての出席確認でフルネームで名前を呼ばれた娘は恥ずかしそうに、でも元気よく、そして誇らしげに手を挙げて「はい」と返事をした。それだけで涙が込み...