「安保改定時思い出す」
国民の目・耳・口をふさぎ、戦争への道を準備する「秘密保護法案」をめぐるせめぎ合いは今週大きなヤマ場を迎えます。法案に反対する国民の世論と運動は日増しに広がり、安倍自公政権を追いつめ、法案推進勢力に矛盾と亀裂を生み出しています。
弁護士の強制加入団体である日本弁護士連合会が「一丸となって立ち上がった」(江藤洋一副会長・秘密保全法制対策本部長代行)のをはじめ、労働組合や市民団体のほか、日本ペンクラブ、憲法や刑法、歴史学の研究者、テレビキャスター、出版人、演劇人、外国特派員協会、国際ペンクラブなど、反対の声は近年にない広がりをみせています。
1万人の熱気
21日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた「STOP!『秘密保護法』大集会」は会場からあふれる1万人の熱気に包まれました。集会後のデモでは「戦争反対」「秘密保護法反対」の声をあげ、夜遅くまで国会を包囲しました。
「このごろの動向をながめると、1960年の安保改定時の大騒ぎを思いだす」。法案「修正」に賛成した日本維新の会の石原慎太郎共同代表でさえ、22日の代議士会でこう漏らすほどです。
こうした世論に対し、安倍晋三首相は「最近マスコミの報道がそれている。主役はあくまで成長戦略」(21日)とけん制します。しかし、自民党と「修正」合意した日本維新の会はメディアから「翼賛野党」と批判され、動揺が広がっています。党内手続きの採決では、賛成27、反対23と拮抗(きっこう)。松野頼久国会議員団幹事長は「与党とは合意したが、政府に審議で確認しない限り採決には応じない」「修正に合意したが日程は別だ。26日の採決など許されない」などといわざるを得ない状況です。
法案を審議する衆院国家安全保障特別委員会でも、与党議員がしきりに世論を気にしています。20日の質疑では、自民党の池田道孝議員が「当初はまだ一部の方だったが、法案審議が始まり、連日報道されると、一般の方々も強い関心、不安感を持っておられる」と発言。城内実議員は14日の質疑で、「平成の治安維持法案、市民弾圧法案、国民に知られてまずいことはすべて隠ぺいするための法案だとか、断言している投書もある」とのべ、「誤解だ」と主張する場面もありました。
大手紙も迫る
衆院で300議席を超す巨大与党が、与党だけで法案成立にむけ進めず、みんな、維新の取り込みに躍起となったのも、反対世論が多数を占め「与党の数の横暴」と批判されるのを恐れるからです。
国会審議では、衆院国家安保特別委は連日与党席がガラガラ。森雅子担当相は「修正協議の内容にかかわるので答弁を差し控える」と繰り返す一方、「さらなる改善を法案成立後も尽くしていく」と答弁し、法案の欠陥ぶりを露呈しています。
大手紙も「秘密保護法案 これでは採決などできぬ」(「朝日」22日付社説)と徹底審議を求めています。
会期末(12月6日)が近づく中、与党は維新、みんなを巻き込みながらも、国民との激しい矛盾で簡単に出口を見いだせないでおり、25日の採決は見送られました。しかし、なお今週中にも衆院を通過させることを狙っています。
法案の危険な中身をさらに広げ、安倍内閣とその翼賛勢力による秘密保護法案強行の策動を追いつめるときです。