筋トレを続けている人で、こんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
- 週3〜4回ジムに通い、セット数もそれなりにこなし、トレーニング後はちゃんと疲れている………にもかかわらず、思ったほど身体が変わらない!
「こんなに頑張ってるのに筋肉が増えないのはなぜだろう……」みたいな問題でして、私も筋トレを始めた初期のころにこの問題にぶつかったことがあります。
なんとも難しい問題で、私のもとにも類似の質問がいろいろ届くわけですが、この問題について近年の研究を見ていると、原因はかなりシンプルなケースが多いんですよ。その原因がどのようなものかと言いますと、
- 多くの人は、たんに「十分な強度」でトレーニングしていない!
というものです。これは精神論ではなく、運動科学の研究でも繰り返し指摘されている話でして、筋トレの効果が出ない原因としては相当に上位にランクインされるんですよ。
そこで今回は、近年の研究をベースにしつつ、
- なぜ多くの人の筋トレは強度不足になるのか?
- 科学的に見た「十分なトレーニング強度」とは何か?
- 今日からできる改善方法とは?
ってあたりを整理してみたいと思います。
人間は自分の限界をかなり過小評価しがちな生き物であります
まず最初に押さえておきたいのが、「人間は自分の運動限界をかなり過小評価する」って事実であります。この問題を調べた研究はいくつもあるんですが、代表的なのがAUT大学の研究(R)で、ここでは筋トレ経験者を対象にして、
- 「あと何回できると思うか?」
- 「実際の限界はどこか?」
を比較する実験を実施。実験の流れがどのようなものだったかと言いますと、
- トレーニング経験のある被験者を集める
- ある重量でベンチプレスなどの種目を行ってもらう
- 途中で「あと何回できると思いますか?」と質問
- その後、本当に限界までやってもらう
みたいになってまして、つまり自分の予測と実際の限界を比較してもらったわけですね。
その結果がどうだったかと言いますと、
- みんなの予測と実際は、平均で5回以上ズレていた!
って感じだったんですね。たとえば、「あと2回で限界です」と言っていた人が、「実際には7回できた!」みたいなケースが普通にあったんですよ。
研究者いわく「人間は自分の限界を正確に判断できない」ってことで、私たちが普段のトレーニングで「もう限界だ!」と思っているポイントは、実際の限界よりかなり手前である可能性が高いみたいな話なんですな。これだけのズレが日常的に起きているのなら、多くの人が筋トレの強度不足に陥ってしまうのも当然でしょう。
さらに、また別の研究(R)では、私たちが筋トレで「これぐらいの重さが最適だろう」と判断した重量は、たいていはかなり軽すぎることが明らかにされております。この研究では、被験者に「10回ギリギリできる重量を自分で選んでください」と指示してみたところ、多くの人が選んだ重量は軽すぎて、
- 実際には平均で5回くらい余計にできてしまった
というんですな。中には、想定より11回も多くできた人もいたというからすごいもんでして、これはつまり、自分で「これキツそう」と思った重量はだいたい軽すぎるってことですな。
この研究が示すところかなり実用的で、もし皆さんが「これぐらいの重さを使えば10回はできるだろうな」と思ったとしても、たぶんそれはまだまだ軽い可能性が高いわけです。
ということで、ここまでの話をふまえると、強度不足の人には共通したパターンがあったりします。
- フォームが崩れる前にすぐやめる
- 呼吸が苦しくなった時点で終える
- 「今日は疲れてるから」で毎回軽くする
- 重量設定を保守的にしすぎる
- 最後の数レップを避ける
いずれも「気持ちはよくわかるなぁ」って感じでして、私も仕事が忙しい週なんかは、つい楽な道を取りたくなってしまうんですよ。
ただし、毎回これをやってしまうと、せっかく筋トレをしているにも関わらず、私たちの身体には「今のままで十分です」というメッセージしか伝えることができないわけです。なので、筋肉を変えたければ、「このままでは耐えられない!」という刺激が必要なんですな。

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