
「その悪癖、もしかしたら自然に治るかもよ?」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6)
このシリーズでは、依存症の世界でよく見かける「自然回復」って現象をもとに、「悪癖が自然に改善しちゃう人は何が違うのか?」ってのを深掘りしております。「なんとなく酒がやめられたなー」とか「気づいたらタバコを吸う量が減ったなー」みたいな体験をした人たちのデータを参考にしながら、私たちの悪癖を改善するヒントを得ようってことですな。
前回から、「自然回復」を起こすための手法として「アイデンティティが変わる」ってポイントをお伝えしてまして、今回もその続きを見てみましょう。
アイデア3 悪癖を「研究対象」にする
悪癖を減らす方法として意外に効くのが、自分の悪癖を研究対象にするってやり方であります。
私たちが悪癖に取り組む時ってのは、普通、
- スマホを減らすぞ!
- 間食をやめるぞ!
- 夜更かしを直すぞ!
みたいに「改善モード」で向き合うわけですが、このやり方はだいたい長続きしないわけです。その理由は単純で、人間は自分を管理し続けるのが苦手だからです。人間の脳はそもそも「管理者」よりも「オートパイロット装置」に近い構造をしているんですよ。
そこで、ここでは発想を変えて、自分を管理するのではなく観察するって手法を取るわけです。これは、自分の悪癖を研究サンプルとして扱うってことでして、たとえば、
-
どんな時間帯に悪癖が起きやすいのかを見る
-
どんな気分のときに行動が起きるのかをチェックする
-
どんな場所にいるときに発生しやすいのかを記録する
-
その行動の直前に何をしていたのかを観察する
みたいなことを意味します。「悪癖をやめようとする人」ではなく 「悪癖を観察する人」になるみたいな考え方ですな。
一見すると回り道のように思えるかもですが、行動科学の世界ではかなり有名なテクニックでして「セルフモニタリング」と呼ばれております。セルフモニタリングの研究はかなり多くて、たとえば健康行動のメタ分析(R)を見ても、
- 食事記録
- 運動ログ
- 習慣トラッキング
などをつけるだけで、行動が変わるケースが頻繁に報告されてるんですよ。どうやら私たちの行動ってのは観察されると変化するって性質があるみたいなんですな。実際、いくつかのダイエット研究でも、
- 食事内容を記録した人
- 記録しなかった人
を比較すると、記録を取ったグループのほうが体重が落ちやすいことが何度も確認されてたりしますからね。ここで重要なのは、研究チームは参加者に食事を制限する指示を出していないってところです。参加者はただ「記録した」だけで、それでも行動が変わったわけですな。
なぜ「観察」によって習慣が変わるのかと言いますと、主に次の3つが考えられております