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「スーパーエイジャーの科学」の続きです!(#1)

 

さて、前回は「寿命より健康寿命!」って話をしまして、いかに「スーパーエイジャーたちが病気の期間を短くしながら、人生後半まで元気に活動しているのか」ってところをチェックしております。簡単におさらいすると、スーパーエイジャーってのは、単に長生きしている人ではなく、心疾患、がん、糖尿病、認知症といった加齢関連疾患をかなり遅らせたり、ほとんど経験しなかったりしながら、身体的にも認知的にも社会的にも高い機能を保っている人たちのことです。要するに、「寿命が長い人」ではなく、「元気でいられる時間が長い人」って感じですな。

 

 

 

「スーパーエイジャー」はどこまで遺伝で決まるのか?

が、こういうスーパーエイジャーを引き合いに出されると、「やっぱり遺伝子が特別なんじゃないの?」と思う人もおりましょう。前回のL.R.さんみたいに、98歳まで大病なく、社会的にも活動的で、趣味もあり、頭もしっかりしている人を見ると、結局は長生きの才能に恵まれただけじゃないかと考えたくなっちゃうのは当たり前ですもんね。

 

で、この点に関しては、もちろん遺伝の影響はあります。これまでの研究によれば、長寿家系というものは実際に存在するし、特定の疾患リスクに関わる遺伝子もありますからね。遺伝が大事なのは疑いがないところです。「健康長寿は遺伝で決まる!」みたいな話は、昔からよく聞くところなんで、「やっぱり寿命は遺伝子ガチャで決まるんだろうなー」と思いたくなるのも無理はないっすね。

 

では、健康長寿ってのは、実際のところどこまで遺伝子で決まるのか?を考えてみましょう。そこで役に立つのが、前回も登場したエリック・トポル先生が行った「ウェルダリー(Wellderly)」ってプロジェクトであります。これは、ざっくり言えば、

 

  • 80歳以上なのに、慢性疾患をほとんど経験していないスーパー健康な高齢者を集めて、全ゲノムを調べてみよう!

 

という研究でして、なかなか凄いことになっております。トポル先生が研究を始めたのは2008年で、研究チームは、「80歳以上で、これまで大きな病気や慢性疾患を持っていない人たち」をリサーチ。かなり厳しい条件だったため、1400人を集めるのに約6年かかったというから凄いものです。その上で、すべての参加者から血液を提供してもらい、約30億文字におよぶゲノム配列を調べたんだそうな。

 

ここで研究チームが立てた仮説はシンプルで、「これだけ健康に年を取っている人たちなら、きっと特別な長寿遺伝子があるはずだ!」というものです。80歳を超えても心臓病もがんも糖尿病も認知症もなく、元気に暮らしている人たちがいる。だったら、そこには何かしらの“当たり遺伝子”があるんじゃないか、と。まぁ、普通そう思いますよね。

 

ところが、結果はちょっと意外なものでして、トポル先生ははっきりと「自分たちの仮説は間違っていた!」と言ってたりするんですよ。なんでも、全ゲノムを調べてみたものの、健康長寿を説明するような決定的なDNAの特徴はなにも見つからなかったそうで、アルツハイマー病や心疾患の遺伝的リスクも、みんな一般の人よりわずかに低い程度だったらしいんですな。

 

言い換えれば、スーパー健康高齢者を大量に調べたところで、「この遺伝子があるから80代でも病気知らず!」みたいな単純な話にはならなかったわけです。こいつは、ちょっと希望が持てる話ですな。

 

 

 

遺伝子より目立ったのは「生活と環境」だった

では、「ウェルダリー」の人たちは、普通の高齢者と何が違ったのか? 当然、トポル先生はこのポイントも調べてまして、「遺伝子より目立っていたのは、かなり日常的な特徴の違いだった」と指摘しておられます。