u8312499624_Emotional_Intelligence_Essential_in_the_Age_of_AI_0aefab20-e8b5-4067-aa03-21bf0da3a89e_3.png
 

AIの時代に大事なのは感情知性だ!」みたいな話をよく聞くようになりました。生成AIが文章を書き、画像を作り、コードを組み、企画のたたき台まで出してくれる昨今。「これからは論理力や知識より、感情を扱う能力が大事になる!」と言われるようになったのは、当然っちゃ当然でしょう。

 

たしかに、AIが多くの作業を高速化するほど、人間には「何を大事にするのか」「相手とどんな関係を作るのか」「不安や怒りが出たときにどう判断するのか」といった仕事が残りやすくなるはず。そう考えれば、AIが進化するほど、単純な知識量や処理スピードだけでは差がつきにくくなり、感情をどう読み取ってどう意思決定に使うかが、以前より重要になるのは間違いないでしょう。

 

たとえば、あなたが「仕事で大きな方針転換を求められた」としましょう。この時に、AIに相談すれば、現状分析、選択肢の比較、実行計画の作成ぐらいまでは、かなりの精度でやってくれるでしょう。しかし、「この変化を受け入れるべきか」「自分は何に抵抗を感じているのか」「関係者にどのように伝えればいいか」といった部分は、結局のところ自分で考えなければなりません。そこでは、単なる情報処理よりも、不安や怒り、期待、迷いといった感情を把握し、判断に活かす力が必要になってくるんですよ。

 

が、ひとくちに「感情知性」と言っても、いったい何を指すのか、あまりピンと来ない人も多いでしょう。ちょっと考えると「いつもニコニコしている能力」とか、 「怒らず、落ち込まず、感情を完璧にコントロールする能力」みたいなものを想像しちゃいますが、実際にはそんな話でもないんですよね。

 

というのも、大事な仕事で失敗したり、身近な人から傷つくことを言われた場合、怒りや不安、悲しみが出るのは、ごく自然なことですからね。こういう時にむしろ大事なのは、感情をちゃんと感じたうえで、それに支配されず、使えるようになることなわけです。

 

 

 

そもそも感情知性ってなんだろうか?

では、まず前提を押さえておきましょう。感情知性(Emotional Intelligence)とは、ひとことで言えば、

 

  • 自分や他人の感情を理解し、その情報をもとに行動を選ぶ力のこと

 

みたいになります。

 

第一に、「感情を扱う」ってのは、怒らない、不安にならない、いつも前向きでいる、といった意味ではないので注意しましょう。怒りや不安、悲しみは、誰にでも起こる自然な反応なんで。

 

そのため、感情知性が高い人も、普通に腹を立てるし、落ち込むし、嫉妬もします。しかし、ここで感情知性が高い人が異なるのは、感情が生じたあとに、それをそのまま事実として受け取らず、「いま自分の中で何が起きているのか」を確認できる点にあるんですよ。

 

たとえば、仕事で厳しい指摘を受けたとき、「自分は否定された!」と感じて怒りが出たとしましょう。この時に、その怒りのまま反論したり、相手を避けたりすれば、あとで関係が悪化しちゃう可能性が大きいでしょう。

 

しかし、ここで感情知性が働くと、「自分はいま怒っている。これは、おそらく自分の努力を軽く扱われた感じがしたからだろう」と、いったん反応を言葉にできるんですよ。そのうえで、「相手の言い方には問題があったが、内容の一部は使えるかもしれない」「今日は返事を急がず、明日整理してから話そう」みたいに、冷静な行動を選べるようになるわけです。

 

では、近年の研究(R)では、具体的に感情知性がどのような能力だと考えられているかを見てみましょう。いまの心理研究では、感情知性を大きく4つの能力に分けております。