多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー!今回は19000字でお送りします!(聞き手/ジャン斉藤)
――シュウさん、アメリカ開催のサッカーワールドカップは盛り上がってるんですか?
シュウ 盛り上がってます! やっぱりニューヨークっていろんな国の移民がいっぱいいて、人種の坩堝みたいな街なんで、すごい盛り上がってますよ。ご存知のとおり、チケットも1000万円単位になったり。
――い、い、1000万円!? 全然ご存知じゃないですよ(笑)。
シュウ 会場まで行く電車も、普通より料金がめちゃめちゃ高くなってます。いきなり10倍くらいになってるんですよ。公共のものなのにありえないでしょ(苦笑)。
――10倍!
シュウ 試合のある日は、マンハッタンの42丁目といえば、タイムズスクエアとか、そこから東にいけばグランドセントラル駅とか、観光名所がある大きな通りなんですけど、これ、全部閉鎖されて、そこからワールドカップに出る特別バスの出発地点になってましたし。あと、いろんなところでウォッチパーティーをやってますよね。ブルックリンにあるジャパンビレッジってところでも何かやってたらしくて。
――かつてアメリカは「サッカー不毛の地」みたいに言われてたけど、いまは全然違うんですね。
シュウ それは今回アメリカで開催されてるからってこともありますし、そこは州によって全然違うと思うんですよ。UFCのホワイトハウス大会に引っ掛けて話したいんですけども、あの日も昼間からずっとワールドカップのサッカーがやってたじゃないですか。多くの人は、ホワイトハウス大会が始まる頃には、もう酔いつぶれてたと思うんですよ(笑)。
――ハハハハハハハ!サッカーを見ながら飲んで。
シュウ MMAに興味がないジェネラルスポーツファンで、ワールドカップを見た人はほぼUFCを見てなかったと思うんですよね。
――ワールドカップは意外とMMAの敵だったりしたわけですね。
シュウ そこも前も言ったように、ホワイトハウス大会は日曜日開催でしたけど、普段は「土曜日の夜のすべてのエンターテインメントがUFCの競争相手」なんで、同時刻にライブ中継、配信されるイベントは全てが競合相手ですね。
――ホワイトハウス大会は全世界で3000万人が見たとか……。
シュウ SNSの切り抜きなんかを含めたら何億人と書かれてましたけども、たとえば普段MMAを見ないスポーツ好きとか、トランプ完全否定派の人だって、少なくともSNSで見たりするわけですからね。私はこの業界の人間ですから、すべての州でバン(禁止)されるかもしれないぐらいの危機に陥ってたMMAが、この短期間でホワイトハウスで大会をやっちゃうというのは、たしかに感無量的な部分はあります。演出にしても戦闘機や鷹が飛んだりとか、こんなこと普通はさせてもらえないですからね。
――10年前20年前には考えられないですよね。
シュウ ただ、トランプに対する批判ってすごいじゃないですか。世論調査にしても「ホワイトハウスを私物化しやがって!」と批判する人がほぼ半分ぐらいいるんですよね。10%ぐらいしか肯定的には認めてなかったんです。
――ホワイトハウス大会支持は10%!
シュウ たしか世論調査では「そりゃそうだよな」と。とくに私が住んでいるニューヨークは、反トランプが多いから分が悪いじゃないですか。その前の、マディソン・スクエア・ガーデンであったNBAファイナルでもトランプはめちゃめちゃブーイングされてましたし、本当に嫌われてるんですよね。ホワイトハウス大会は全試合フィニッシュでアップセットもあって、大会的に最高だったと思うんですけども。アメリカ人全体からすると、とくにニューヨーク住民の多くの視点からすれば歓迎はされてなかったですよね。
――MMAファンとしては複雑ですよね。「ついにホワイトハウスでやるまでになったか」と誇らしいけど「トランプのバースデーイベントでしょ」と言われちゃったら返す言葉がない……。
シュウ ホワイトハウスもUFCもトランプに私物化されたというイメージがついてます。公私混同という言葉を辞書で調べたら「トランプみたいなやつ」と書いてあれば充分みたいなことをいう人、私の周りにはけっこういます(笑)。アメリカのMMAジャーナリストがホワイトハウスの入場シーンを見て「ベストウォークアウト、エントランス、すべてノミネートだ」と言ったけども、はたしてそうかなと。「入場」に関しての演出とかパフォーマンスは、どう見ても日本の方が上だと思いますし、すべてがホワイトハウスや軍隊の演出だから、「トランプのために宣伝してあげていいの?」という感じもあるじゃないですか。
――たしかに絵的にはすごいけども、はたして手放しで称賛していいものかと。
シュウ ダナが大会後の記者会見で「2回目は絶対やらない」と明言してたじゃないですか。めちゃめちゃ金かかりすぎてたから無理だと。
――トランプから「アメリカ軍の基地で開催してくれ」というオファーも断ったとか。ダナからすれば面倒くさいんでしょうね(笑)。
シュウ まあけど、基地で大会をやるのは昔からけっこうあったじゃないですか。
――WWEも慰問興行をよくやってましたね。
シュウ 昔でいえば、UFCで吉田善行選手がジョシュ・コスチェックとメインでやったのは基地の中の大会でしたね。やっぱり軍隊の人たちは「強いアメリカ」という思いが強いから、そこらへんの票をしっかり掴みたい。あのときの大統領はオバマでしたけど、いまはUFCを基地で開催すると、すべてトランプのためにやっているイメージが拭えなくなると思うんですよね。気が付いた人もいると思うけど、通常のUFC大会って、格闘技以外のスポーツ選手やハリウッドのスターがケージサイドで見てるじゃないですか。「今回、何人いましたか?」という話ですよ。これは公になってますけど、ほとんどのスターが招待を断ったらしいですよ。それがやっぱりジェネラルな世論なんじゃないですかね。
――出席すると政治色がついちゃうから、仮にトランプ支持でも会場に行きづらいですね。
シュウ ボクは富裕層じゃないからわかんないですけども、超富裕層にいわせると、トランプ政権は税金面ではすごくいいらしいんですよ。トランプのことはスッゲー嫌いだけど「こんだけ税金で優遇されてるから……」という方は多い。ボクのよく知ってる弁護士の友達もそうです。毎日トランプの文句を言ってたら、ある日、突然自分の会計士から電話がかかってきて「トランプのおかげで税金の控除があったし、明日リタイアできるよ」と。そういう恩恵を受けてる方もいるということですよね。
――UFCホワイトハウスの試合を振り返りたいんですけど、メインのトプリアvsゲイジーは、3ラウンド終了後のインターバルでトプリアはドクターチェックでアウトになったのに続行されて。ルール的には「ドクターは選手の状態を見るけども、止める権利はない」というんですけど、それはあくまで建前じゃないですか。
シュウ そうなんですよ。もちろん判断はレフェリーが下すんですけども、レフェリーがその医療専門家の意見を覆した。医学的な根拠がないのに「大丈夫なんですか?」ってことですよね。医学的な見解を感覚的な理由で否定したと言う点では、例の辞任した福岡県の元副議長と同じですよね、あっちは科学的な見解でしたが(笑)。これが大きな事故になって後遺症が残らなかったからよかったわけであって、ヘタしたら訴訟問題に発展しますよね。
――だから今回の判断は超びっくりしましたね。
シュウ ボクもびっくりしました。だって、レフェリーは責任を取れないじゃないですか。あのレフェリーはイギリス人なんですよね。だからアメリカ人の感覚と違うのかなと。アメリカ人は訴訟になったらイヤだからドクターストップにすると思います。
――世紀のイベントだからこそ、判断が揺らいでしまったかもしれないという。
シュウ やっぱりレフェリーには冷静であってほしいです。充分に盛り上がってましたし、あの時点で。
――あそこで止めて全然よかったというか、全然劇的だったと思うんですよね。
シュウ 勝ったジャスティン・ゲイジーはWSOFから来た唯一の大スターですよね。あのタフスタイルでずっと戦ってきましたから。普通だったらパンチドランカーになるんじゃないかって心配じゃないですか。いまでも全然やれてるのがすごいですよね。
――頑丈さが最大の武器ですよね。あとシリル・ガーンのペレイラへの後頭部ヒジ打ちが反則ではないかと議論になってますね。
・トプリア、ドクターストップ無視の賛否
・反則エルボー
・UFCグローブのナゾ
・ホキット「ミシェル・オバマは男だ」発言
・MMAは投資にお金がかからないスポーツ
・堀口恭司攻略法
・ケイプの滑り止めテクニック
・UFCのマットは「滑る・滑らない」?
・神龍誠UFCの可能性
・ACAのギャラはいいがオススメできない……19000字インタビューの続きは会員ページへ
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