
「最先端のアンチエイジングについて、まじめに考えてみよう!」の続きです!(#1)
このシリーズでは、ノーベル化学賞の受賞者であるヴェンキ・ラマクリシュナン先生の総説を参照しつつ、老化研究の最前線について考えております。前回は総論として「アンチエイジング商法の問題」をチェックしてみましたんで、今回はその続きとして、アンチエイジングクラスタでよくみかける「長寿サプリ」の真偽をチェックしてみましょう。
今回取り上げるのは、近年のアンチエイジング界隈でやたらと見かける、以下のような話題であります。
- NMN
- NAD
- NR
- レスベラトロール
- サーチュイン
- 長寿遺伝子
あたりですね。このへんの言葉を使った広告では、「細胞レベルで若返る!」「長寿遺伝子をオンにする!」みたいなフレーズがよく並びますな。ホリエモンもサプリを販売してたりして、わりとカオス。
これらの話、もちろん元の研究はかなり正当なもので、ちゃんとした科学にもとづいております。NADはDNA修復に関わる重要な分子だし、サーチュインも遺伝子発現や細胞の安定性に関わるタンパク質なのは間違いないんで。ただし、問題は、こういった面白い研究がすぐに商品になっちゃうところなんですよね。
ってことで今回は、NMN、NAD、レスベラトロール系の“長寿サプリ”はどこまで期待できるのかを整理してみましょう。
レスベラトロールは、なぜ一時期こんなに盛り上がったのか?
さて、まずはレスベラトロールから。レスベラトロールは赤ワインなどに含まれるポリフェノールの一種で、ひと昔前に「赤ワインは体にいい!」みたいな話とセットで有名になった成分ですね。
この話の背景にあるのは、ご存じ「フレンチ・パラドックス」です。フランス人は脂肪の多い食事をしているわりに心臓病が少ないんじゃない? それは赤ワインのおかげじゃない? って話ですね。
さらに、そこにハーバード大学のデイヴィッド・シンクレア先生(『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』)が、「レスベラトロールがサーチュイン系のタンパク質を刺激する!」と実験で示したから、さぁ大変。サーチュインは、傷ついたDNAの修復や、遺伝子のスイッチのオンオフなどに関わるタンパク質の一群ですからね。そのため、シンクレア先生が行ったのはただの動物実験だったにも関わらず、「赤ワイン成分が長寿遺伝子をオンにする!」というストーリーが一気に広がったんですな。
もしこれがヒトにも当てはまるなら、「好き放題食べても、赤ワインを飲めばダメージを打ち消せる!」ってことになりますから、アンチエイジング界隈にとっては夢のような話。一時期のアンチエイジングクラスタでは、「レスベラトロールを飲めば野菜を食べなくていいんじゃない?」みたいに言ってた人もいたから凄いもんです。
ところが、このレスベラトロール熱は、後に急激に冷めたんですよ。
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