
『「エビデンスとの付き合い方」を鍛えようぜ!』の続きです!(#1,#2,#3)
このシリーズでは、健康ニュースや論文紹介を鵜呑みにせず、研究を自分の生活に使うための読み方を学んでおります。言ってみりゃ、「研究を鵜呑みにしないスキルを身につけようぜ!」ってことですな。
さて、ネットの健康情報などを読んでますと、
- 「体脂肪率が2%下がった!」
- 「睡眠スコアが80点だった!」
- 「ストレスレベルが高いって出た!」
みたいな感じで、「自分の体の変化を数字でチェックしよう!」みたいな話をよく見かけるわけです。体組成計で体脂肪率や筋肉量を判断し、スマートウォッチで睡眠時間や心拍変動を把握し、血糖値センサーで食後の血糖反応を見たり……みたいな話ですな。いやー、便利な時代になったもんです。
が、ここであらためて考えたいのが、「その数字は、本当は何を測っているんだろう?」って問題であります。というのも、研究を読むときってのは、“何を測ったのか”と“何を推定しているのか”を分けて考えるのが、めっちゃ大事なんですよ。
たとえば、代表的なのは体脂肪率であります。体組成計に「体脂肪率22%」と表示されると、たいていは「なるほど、自分の体脂肪は22%なのか」と普通に思っちゃうんだけど、多くの商品は、体に弱い電流を流して、その電気の通りやすさから体脂肪率を推定してるだけ。なので、機械が見ているのは「脂肪」じゃなくて、ただの電気抵抗みたいなものなんですね。でもって、そこから、
- 水分量はこれぐらいだろう
- 筋肉量はこれぐらいだろう
- 脂肪はこれぐらいだろう
と計算してるわけです。
もちろん、この推定に意味がないってわけじゃなく、毎回いっつも同じ条件で測れば、体の変化を見るヒントにはなったりします。ただし、体組成計ってのは水分量の影響をめっちゃ受けるんで、前日に塩分を多めに取ったとか、筋トレで筋肉に炎症が起きてるとかで数字は簡単にブレるんですね。
なので、「体脂肪率が下がった!」と思っても、実際には脂肪が減ったのではなく、体内の水分変化を拾っているだけかもしれないんですよね。なので、体組成計については、「今日は体脂肪率が1%変わった!」と一喜一憂するほどの数字じゃないってところは、押さえときたいところです。
睡眠スコアも、ストレススコアも、直接見ているわけではない
同じことは、睡眠計にも言えたりします。今では、スマートウォッチやスマートリングを使えば、
- 深い睡眠
- レム睡眠
- 浅い睡眠
- 中途覚醒
- 睡眠スコア
みたいな数字を簡単に把握できるじゃないですか。でもって、これを見ると、なんとなく「睡眠の質を把握できた!」みたいな気がしてくるわけです。
が、当然ながら、ほとんどのウェアラブルデバイスが見ているのは、体の動き、心拍、心拍変動、皮膚温など。そこから、
- この時間帯は体が動いていない
- 心拍が下がっている
- このパターンなら深い睡眠っぽい
と推定しているんですよね。そのため、これらのデバイスが測っているのは「睡眠そのもの」ではなく、睡眠に関連しそうな身体データなんですな。だから、朝起きたときに「よく寝たなー」と感じているのに睡眠スコアが低いこともあるし、逆にスコアは高いのになんか体が重いことはよくありますからね。正直、睡眠の計測ってのは体組成計よりも難しいんで、本気で自分の睡眠状態を知りたいのであれば睡眠ポリグラフ検査が必要なんで(めっちゃ面倒)。
そのため、ウェアラブルで睡眠スコアが悪いのに気分は良かったとしても、「デバイスが正しいのだ! 自分の感覚は間違ってる!」と決めつける必要はなし。デバイスの結果をうまく使うには、あくまで「睡眠そのもの」ではなく「睡眠っぽいパターンを推定した数字」として見るのが大事なんで。
ついでに、血糖値もストレスも筋電図も、万能ではない
さらに言えば、血糖値センサーも同じことだったりします。血糖値を測ると、「この食品は血糖値を上げる」「これは上げない」みたいな判断がしやすくなるんで、これはかなり有用ではあります。
ただし、血糖値ってのは、食事内容だけで決まるわけではなし。たとえば、
- 睡眠不足
- 前日の運動
- ストレス
- 食べる順番
- 食べる時間帯
- 腸内環境
などなど、いろんな要素でめっちゃ変わりますんで。つまり、「白米を食べたら血糖値が上がった!」というデータがあっても、それだけで「白米は悪」とは言えず、たまたま睡眠不足の日だったのかもしれないし、前日に運動していなかった影響かもしれないんで。
似たような話は山ほどありまして、