もう何年前か忘れてしまったけれども、我々(デートコースペンタゴン・ロイヤルガーデン=当時)が初めてフジロックに出る時、ワタシはまだ精神分析の治療中で、「フジロック(の、ような有名でステイタスの高いフェス)に出たら死ぬ」と思っていた。本当に思っていたのである。
何度か書いている一般論だが、神経症とは、複数の症状に対して、複数の要員がある。これを複合体(コンプレックス)というのだが、それを言葉によって構造を読み取り、最終的に解体することが分析行為であるのも、また一般論である。
「フジロックに出たら死ぬ」と思うこと、これは不感症の女性と似ている。勃起不全、射精不全の男性とは、「取りあえず」区別する。
オルガスムスを最悪徳と最重罰と自己決定し、イク(物凄い快感を得る)と死ぬ。と思い、イク前に(それが直前なのか遥かに前かは個人差があるとして)自分で醒めてしまう。パニックの傾向がミックスされれば、イク直前に相手を投げ飛ばしてベッドから闘争する患者もいる。
何れにせよ、そんなに深刻な症状ではない。イカなくても(実際は、もちろん「イッても」)死にはしない。リスクがあるとすれば、相手の男性(或は女性)を追いつめてしまうか、場合によっては相手が、プライドを守る為に暴力を振るったりする可能性まである。それだけである。
罪悪感=宝の在処を移動させてやれば治りそうなものだが、複合的だからそうはいかない。絡んだ糸である。
それにワタシは、不感症の女性と違って、というか、逆転的に、いくら真剣に「出たら死ぬ」と思い、過換気になっても、眠れなくなっても、結局出た。つまり、さきほどの例えで言えば、イったら死ぬと思いつつイッた訳で、なんだかんだ苦しいフリ(勿論、演技ではないが)をして、お宝の価値を上げ、そして、出ても死なない事によって、下ろした。つまり、神経症者がよくやるマッチポンプをしただけとも言える。
神経症の話はどうでも良い。フジロックの話だ。神経症の話の方がフジロックの話なんかよりずっと興味がある。という方には、悪い事は言わない。退会をお勧めする。