菊地成孔です。胸の中に、2期スパンクスへのラヴとリスペクトを抱いている、全ての皆様。あなたを愛しています(岩澤さんもどこかできっと)。

 

まだ、数通しかいただいていない段階ですので、これ以上増えてしまい、落胆させてしまう方を増やしてはいけないという判断も加味されて、いきなり感は拭えませんが、改めまして<2期スパンクハッピー / 6月14日の、ワンナイト・リボーンに際して、私のパートナーとして代役をしてくださる方を「公募」する>ことは全面的に取り下げさせていただきます。
 

応募の準備をされていた皆様に心よりお詫び申し上げます。あなたの気持ちは、痛いほどよくわかっています。本当にごめんなさい。
 

理由は、先日DOMMUNEにおきまして「セカンドスパンクハッピー・レトロスペクティヴ前夜祭<EVE OF FES>」というイベントを行いましたが、その最中に、あの、国内最高級であるDOMMUNEのサウンドシステムから当時の音源を聴いているうちに(特に、新曲「ethic」を聴いている時に)、「ヴォーカルトラックだけは当時のままで、当て振りの代役を頼むというのは、第一に双方にとって失礼にあたるし、第二にイージーだ。強行してもあまり良いものにはならない」と思うに至りました。
 

岩澤さんの唯一無二性は、どなたも痛感されていると思います。私が一番痛感しているつもりでしたが、それは彼女を愛する人々全員が共有しているものである。と、あの日に改めて、心から痛感し直しました(特にDJタイムに)。
 

番組でも短い時間で解説させて頂いた、「口パクカルチャーの歴史」の上に2期を置いて、元の音源再生で代役に口パクしてもらう(私もする)。というのは、2期のマナーに沿っているな。と、半ば機械的に思っていたのですがやはり、彼女の声は、良い再生状況で聴くほど聴くほど圧倒的で、「いや、それはいかん。そんなことはやってはいかん」と、DOMMUNE開始より、突如思い始めた私は、終了後翌日にはMGに「あの公募は全面的に取り消し」と命じました。
 

重ね重ね、準備をされていたすべての皆様。大変申し訳ありません。「拝啓、ミスインターナショナル」のような気分で、せっせと準備されていた方々には、直接お会いして、お1人お1人に薄い頭を下げさせて頂きたい気持ちを、どうかお察し願えれば。と祈るばかりです。
 

ですので、4月のDJはそのままとしまして、6月のライブは、以下のようにさせていただく事にしました。
 

 1)楽曲はそのまま、バックトラックを「新音楽制作工房」に発注し、僕が「これこそが<新しい2期スパンクハッピーである>」と納得したものを制作し
 

 2)そもそも2期の始まりがそうであったように、パートナーは私が1人で探すことにします
 

 3)可能な限り、口パクではなく、歌って頂く形にします
 

 4)一夜限り。というのは変わりません=再結成。ではありません
 

20年前とは事情が違い、今、私の周囲にはたくさんのブレーンも人脈もあり、他薦という形でご紹介頂ける、優れた人材にも恵まれるでしょう。あの頃の、焼け跡にも似た状態での私と、今の私は、良くも悪くも、音楽界での立場が全く違います。
 

それでも、本当に必死に、パートナーを探して、あらゆる伝手、のちに上海にまで駆けずり渡った自分を、もう一度だけ取り戻そうと思います。それが、どこで何をなさっているかもわからない岩澤さんも喜んで頂けると信じます。

 

過去志向よりも(レトロスペクティヴなので、過去志向で良いんですが笑)、一瞬、ワンステージだけでも、<「2期スパンクハッピー」という、すでに終了している運動体の未来>がお見せできれば、と思うに至り、こういう形に差し替えさせて頂きます旨、ご了承頂ければと思います&「新音楽制作工房」の全力を尽くしまして、「新しいポップス」の形をお見せできれば。と思っております。
 

まずは4月を、そして6月の、<シン・2期スパンクハッピー(いきなりクソダセー笑)>のステージをお楽しみに。

菊地成孔