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アニメ版『精霊の守り人』が素晴らしかった。監督は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の神山健治。原作は文化人類学者でもある上橋菜穂子。原作小説も出色の出来ではあるが、アニメ版はその原作を解体し、再構成し、まったく新しい『精霊の守り人』を生み出している。
『攻殻機動隊』を好きなひとも、原作を好きなひとも、そのどちらも知らないひとも、ぜひ見逃さないでほしい。これほど一話ぶんの放送が短く感じられる作品はめったにない。
さて、この作品、過去の日本や中国などを思わせるアジア風の異世界が舞台でありながら、「メンテナンス」「フォーメイション」などの外来語が登場する。ごくあたりまえの台詞のなかに、何気なく、いや、何気なさを装って、そういった言葉が出てくるのである。
これらの言葉は原作小説には登場しない。アニメオリジナルの言い回しである。普通なら、「補修」とか「陣形」などにするところだろう。もちろん、「ついうっかり混ぜちゃった」ということではない。これらの言葉は、明確な意図をもって台詞のなかに埋め込まれているのだ。
NHK衛星第二で放映された神山監督のインタビューによると、視聴者に違和感を感じさせることが狙いなのだという。あえて違和感をのこす表現をいれることによって、視聴者の間で話題になれば、と考えているらしい。
この表現にかんしては神山組のスタッフも8割は反対で、その反対を監督が押し通すかたちでシナリオに組み込んだのだそうだ。ネットを見て回ったところ、この部分にかんしては一般視聴者のあいだでも、賛否が分かれるようである。
個人的には「賛」に一票を投じたい。バルサやチャグムたちが生きるこの物語の世界は、どんなに日本風に見えるにしろ、日本「ではない」。どこかのはるかに遠い異世界なのである。
だとすれば、そもそも日本語で台詞していることじたい不自然だ。それは視聴者のことを考えて日本語に翻訳されているだけであり、バルサたちは本当は聞き慣れぬ異世界の言語をしゃべっているのだ、と考えることも出来るだろう。そうだとすれば、その会話に外来語が混ざってはいけない理由があるだろうか。
そもそも日本語ではない言葉を翻訳するとき、古来から日本にある言葉でなければならない、と考えるなら、結局はその世界が異世界であることを認めていないことになるように思う。
『スター・ウォーズ』の会話に外来語が混ざっていてもだれもおかしいとは思わないだろう。それが『精霊の守り人』だと違和感を感じるというのなら、それはなぜだろう。どちらも同じ異世界の物語なのに。と、このように話題を発展させることじたい、神山監督の思惑通りなのかもしれない。
一見をオススメする。おもしろいから。
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ファンタジーに外来語を登場させることがアリかナシかと問われれば、私もアリだと思います。
ただし、たとえファンタジーの世界であったとしても、アジア風の装いをしたキャラクターがいれば、そのキャラがアジアに見られるメンタリティーの持ち主であることを視聴者は自然に期待します。神山組のスタッフがこの作品に外来語を持ち込むことに反対したのも、ビジュアルから醸し出される期待を裏切る=雰囲気を損なうと判断して、そうしたのではないのでしょうか。
スターウォーズは自由に宇宙を移動し、あらゆる星の人達が交流してるグローバルな世界だから外来語もあり。昔の日本をモデルにした精霊の守り人と同じ異世界の物語ではないと思う。
やはり作品をよくしたいのなら世界観を壊しかねかい言葉は安易に使うべきではない。
意味が通じるとしても「ワロタ」「なんでや」「チート」といった言葉が使われている中世ヨーロッパ風のファンタジーがあったら普通は嫌だろ。