弱いなら弱いままで。
『灰色猫と猟犬のダンス』の続きです。
第二章「犯行計画」
1.
アラハンド侯爵家の歴史は古い。この地にシレーン国を築いた〈始まりの入植者たち〉までさかのぼるといわれる。アラハンド侯爵の祖先は、伝説の入植者たちの一員だったのだ。つまり〈大破滅〉を遂げたミトランジア帝国からの流民であり、シレーンで最も古い血筋ということになる。その後、アラハンドの祖先は〈天祖〉ハバートの覇業にくみし、爵位を与えられる。それが侯爵家の直接の始まりである。そこから八百年をかけアラハンド家は繁栄を続けていくことになるのだ。
そして三百年前、アラハンド家は国を二分する歴史的な戦役をひき起こす。黒旗に有翼獅子の紋章を戴いたアラハンド家と、白旗に一角獣の紋章を掲げたマールトン家が、些細な契機から対立しあい、ついに内戦にまで突入した事件である。当時のシレーン国王ですら和解に持ち込むことができなかったほど大規模な戦い
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