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この本の主題はデジタル・ネイティブ(生まれた時から電子機器が身近にあった世代)の生態とネオ・デジタルネイティブ(現在、中高生の新しい世代)の誕生を語るところにあり、当然、電子機器の話題がひんぱんに登場するのだが、その内容は時代を感じさせるものだ。
この時代、ケータイの回線はまだまだ遅く、何とか動画を見るのに耐えられる程度。そして何より古さを感じるのは、本文中にスマホとかタブレットPCの話題が登場しないことである。
一応、この頃には最初期のiPhoneは登場しているはずなのだが、日本への輸出はまだだったかな。だからまあ、よくよく考えれば当然のことなのかもしれないが、「ネオ・デジタルネイティヴはケータイを巧みに使いこなす世代である」という説明がまったく無効化してしまっていることに一驚させられた。いまは普通にスマホを使いこなしている中高生も多いはずだからね。つまりはたった3年のあいだにデジタルガジェットの世界はまったく様変わりしてしまったわけだ。
もちろん、いまでもスマホもタブレットも持っていないひとは大勢いる。しかし、いま、デジタルガジェットを語るにあたって、スマホやタブレットの説明を欠かすことはできない。それらはすっかりぼくらの生活に浸透し、生活そのものをドラスティックに変えてしまった。
さて、Google Glassと呼ばれるメガネ型ウェアラブルコンピューターが話題を集めている。じっさいに装着してみたひとの体験談によると、音声を用いたユーザー・インターフェースには問題があるという話もあるが、新しいもの好きとしてはやはり気になる存在だ。
もちろん、ただ写真を撮れるとか、音楽をかけられるといったレベルのことなら、メガネの形をしている必要はない。やはりGlassに期待するものは拡張現実機能である。
たとえば、目の前に立っている人間が何もので、どのような地位にあり、どういったバックグラウンドを持っているか、一瞬でメガネに表示される、そういうシステムが導入されたら世界は変わるだろう。もちろん、プライバシーの問題があるからそう簡単に実現するとは思われないが、いずれはそういう時代が来るのではないか。
拡張現実メガネといえばアニメ『電脳コイル』だが、そのレベルまで行くのは遠いとしても、近々、拡張現実がぼくたちの世界にあたりまえのように入り込んでくることは確定路線であるように思う。
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