彼の表現を見ればわかるが、すべてが直截である。不純物を含まない。速く飛ぶ。速くコミュニケートする。情報が伝達するスピードを上げる。そのために、不要な雑物は、極力取り除かれている。だから、きれいだ。(中略)文章は飾れば飾るほど汚れるものだから。(中略)形容詞は甘く触れてくるが、その分腐るのが早い。
弱いなら弱いままで。
菅付雅信『はじめての編集』を読んでいたら、興味深い文章と出逢った。孫引きになるが引用しておく。
至言だ。良く「無駄のない文章は美しい」という。「無駄」とは何か。それは「そこを削っても文意が通る箇所」のことである。文章の贅肉だ。この贅肉を削り取ることにより、言葉は初めて輝く。
本来、文章に余分な装飾は不要である。表面を飾り立てた似非美文はその実、「早く腐る」。シンプルでストレートな文章ほど経年に耐える。
しかし、よほど意識して書いていても、必ず無駄は残る。だから推敲する。くり返し無駄を見つけ出しては削り取る。文章のダイエットだ。この作業は楽しい。くり返すほど言葉が美しさを増してゆくのだから。
文章の要訣は推敲にある。しかし、ふだんはそれほどの手間をかけられないから、推敲を省くことがある。自然、言葉に無駄が残り、切れ味は鈍る。重くなる。ほんとうならすべての文章を十分に推敲してから世に出すべきなのだろうが、なかなかそうはいかない。
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