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高畑勲監督『かぐや姫の物語』は女性映画の傑作だ。
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高畑勲監督『かぐや姫の物語』は女性映画の傑作だ。

2013-12-03 15:33
     高畑勲監督、スタジオジブリ制作のアニメーション映画『かぐや姫の物語』を観て来ました。

     先行上映で観たひとの間では高畑勲最高傑作との声望も高く、いささかハードルを高くして観に行ったのですが、いや、凄かった。素晴らしかった。マジ傑作。

     今年はアニメ映画のあたり年ですね。『風立ちぬ』、『劇場版魔法少女まどか☆マギカ 新編/叛逆の物語』、そしてこの『かぐや姫の物語』と、歴史的マスターピースが三本もあった。

     個人的には『もののけ姫』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が並び立った97年以来の快挙です。

     まあ、スタジオジブリの二作は観る前から「どうせ傑作だろう」と思っていたのですが、やっぱりそうでした。

     しかも二作とも「どうせ」とか中二病的なことをほざいているぼくの横面を張り倒すような若々しい作品で、いやまったく、70歳を過ぎてなお最高作を更新しつづける両巨匠のバイタリティには脱帽と云うしかありません。

     『風立ちぬ』ともども、未見のひとには「いいから、とりあえず観に行け。話はそれからだ」と云い切れる驚異的なクオリティに仕上がっています。

     商業的に成功するかどうかは何とも云えないけれど、一本のアニメーションとして、さすがの作品。殊に作画、演出の並々ならぬ冴えは、まさに巨匠の仕事で、2時間をゆうにオーバーする上映時間をまったく飽きさせません。

     そもそも、ふつう、70歳を過ぎてここまでの大作を撮ろうとするか? じつに8年もの歳月をかけ、50億円を蕩尽して描き出された映像空間には生命が宿り、木の芽から花々、カエルや雉にいたるさまざまな生き物が活き活きと動いています。

     兵器づくりの光と闇を描いた『風立ちぬ』をタナトスの映画だとするなら、『かぐや姫の物語』はまさにエロスの賛歌。この映画の本質は「猥雑なるいのち」をどこまでも力強く肯定するところにあるのです。

     以下ネタバレですが、この映画は基本線としては『竹取物語』のお伽話を下敷きにし、ほとんどそこから逸れません。しかし、それでいて、『竹取物語』では描かれることがなかったかぐや姫の内心を描写してゆくことで、かの名作を換骨奪胎してゆきます。

     その「生命賛歌」としての側面はノラネコさんの記事(http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-696.html)を読んでもらうとして、ここでは少し違う話をしてみましょう。

     この映画、ひとりの女の半生を描いた女性映画として観ることがことができると思います。そういう視点で観たとき、そのリアリティには驚かせられるものがあります。『竹取物語』ってこういう話だったのか!と。

     まず、ほとんどフェミニズム映画かと思うくらい、男どもがそろいもそろってどうしようもない。いや、まあ、原作に忠実と云えばそうなんだけれど、それにしても男性陣のろくでなしぶりは克明を極め、見ていて痛々しいかぎり。

     ああ男ってほんとうに莫迦だなあ、としみじみ考えさせられる描写になっています。

     そもそもかぐや姫を拾って彼女の義理の親となる「竹取の翁」にしてからが、かぐやを高貴な姫に育て上げることが彼女の幸せと思い込んで暴走し、結果的に彼女を追い詰めていく始末。

     その愚かしさは聡明で質実を好む「嫗」と一対で、こういう父親に育てられた娘は可哀想だと思わずにはいられません。

     翁が始終その賢い「嫗」を見下し、「お前は何もわかっとらん」と口にするあたりも、もう、リアルなことこの上ない。

     その後、かぐや姫にプロポーズしつづける男たちにしても、彼女の噂だけですべてを決め、一切その内面を見ようともしない愚物ばかり。

     きわめつきは帝その人で、これがもう、自分はだれにでもモテると思い込んでいる勘違いセクハラ野郎以外の何ものでもありません。その帝に後ろから抱きつかれたときのかぐやのゾッとする感じ、素晴らしかったですね。いやあ、昔話だというのにリアルなこと、リアルなこと。

     唯一、 
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