インターネットでは、きょうもあらゆるところであらゆることに関する対話が行われています。
だれかが何かを発言すれば、それに対する批判や反論が集まり、たちまち激論が巻き起こる。そういう光景をきっとあなたも何度も見ていることでしょう。
しかし、哀しいかな、ネットにおける「議論」はしばしば不毛です。しばしばというか、ほとんど99%が不毛なのではないかと思うくらい。
冷静かつ合理的かつ建設的なやり取りの末、ひとりの考えでは至れないところまで話がたどり着く、そんな高度な「議論」はまず目にしたことがありません。
いや、どこかにはそういう「議論」もあるのでしょうが、残念ながらめったに見かけないようです。じっさいには数多くの「議論」はその反対で、揶揄や罵倒や決め付けや勝利宣言といったものに満ちています。
それは本質的には「議」でも「論」でもなく、単なる優越感ゲームの表れに過ぎないのかもしれません。
双方が相手を軽蔑しあったまま、次元の低い嫌味をぶつけあうばかりで、一向に話が進展しない。そういう「議論」なら、いくらでも目にすることができます。
うーん、うんざりしますね。何とかしてそれ以上のレベルに「議論」を高めることはできないのでしょうか?
これほど多くの人が参加することになったインターネットで、建設的な議論が展開しないということは実に残念なことです。もし、それが成り立つようならいまよりずっと多くのことが進展していくことでしょうに。
そこで、どうすれば正しく「議論」が成り立つのかを考えてみました。ぼくが考える「議論」のポイントはふたつ。
1)自分の発言に責任を持つ者同士で行うこと。
2)自分の発言に責任を持たない者を関与させないこと。
この両方を並立させることが最低限、必要だろうと思うんですよ。
つまり、自分の発言に責任を持てる者同士で対話を行い、なおかつ関係ない者は絶対に関係させないこと、これができないとまず「議論」は成立しないだろうと思うのです。
たいていの「議論」はまったく関係ない人間が興味本位で「参戦」して来た時点で崩壊します。そこまでどんなにうまく行っていたとしても、その瞬間、成立しなくなるのです。
というのも、その手の人物はまず確実に「議論」をする気がないからです。ようするにかれはいいたいことをいいたいだけで、相手の話を聞くつもりがないのです。
あるいは初めから「議論」をかき乱すことが目的なのかもしれません。
いずれにしろ、この手の第三者の参加を許してしまうと、当初の「議論」の目的は見失われてしまい、「議論」は単なる揶揄や罵倒のくり返しへと堕落していきます。ぼくはその手のやり取りを腐るほど見て来ました。
つまり、無関係な第三者が算入してくる可能性がある「場」では「議論」はそもそも成立しない、ということです。
たとえばオープンな掲示板ではダメです。仮に対話しあうふたりがとても聡明かつ理性的であったとしても、聡明でも理性的でもない人々がわらわらと集まってきてそれぞれに勝手なことをいい、議論を突き崩してしまうに違いないのです。
こういうコメント欄付きのブログでこんなことをいうのもどうかと思いますが、ぼくはコメント欄というシステムも基本的に良くないものだと思っています。
ある意見に対してあたかも評論家か何かのように自分の意見を述べるというシステムは、どうしてもひとの責任感を削ぎます。どうもコメント欄に書き込む時、ひとは自分は天上界にいて下界の騒動を見つめているような気分になるものらしい。
このブログのようにコメント欄に書き込める人間が制限されていればまだしも、アクセス数の多いブログの「だれでも書き込めるコメント欄」はほぼ確実に腐敗するものだと思っています。
それでは、TwitterとかFacebookなど、ソーシャルメディアでの「議論」はどうか? これも結局は同じことで、直接関係ない人たちがかかわってきてシッチャカメッチャカになってしまう運命です。
ようはオープンな「場」でオープンに対話している限り、必ずその「議論」は崩壊するのです。
仮に対話しているそのふたりがどこまでも理知的だったとしても、周りにはそうではない人がたくさんいて、面白半分で介入して来るわけですから。
それなら、どうすればいいのかといえば、クローズドな「場」で「議論」するよりほかありません。
しかし、完全に未公開だと、社会的な意味はありませんし、何より健全なやり取りが保証されません。ひと目がないことを良いことに罵詈雑言を投げつけたりされても対処できないわけです。
ですから、クローズドでありながら発言そのものはだれでも読むことができるといった「場」でやり取りすることが大切だろうと思います。
メールで話し合って、あとでそれを公開するといったことでもいいかもしれません。あるいは、特定の人間しか書き込みすることができない掲示板などを用意するとか。
そしてまた、それ以上に大切なことは、
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