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 年末です! 年末であるからには、今年のベストを挙げなければなりません。

 しかし、最近のぼくはいうほど読書量がないので、限られた作品のなかからベストを選ぶという行為がむずかしくなっている。10冊しか読んでいないのにベスト10を選ぶというのもアレな行為であるわけで。

 しかし、今年はそこそこ漫画を読んだと思うので、漫画のベストは挙げておこうと思う。

 ただ、以前からの連載作品を取り上げると『3月のライオン』とか『ドリフターズ』とか、毎年同じような顔ぶれになってしまうので、その手の作品はすべて外し、「今年初めてふれた作品」という縛りで選ぶことにしました。

 うん、こうやってまとめてみると、今年はわりといい漫画を読んでいますね。電子書籍さまさまです。そういうわけで、今年のベスト30。お読みください。

30位 高河ゆん&南方純『悪魔のリドル』

 特に今年の作品というわけではないけれど、ぼくが読み始めたのが今年だったので。1クラス全部がひとりの女の子を狙う暗殺者、という高河ゆんお得意の変則的な設定の作品。

 ほぼ女の子しか出て来ない百合系の作品だけれど、逆に登場人物全部男子にしても成り立つな、と。じっさい、そういう設定で舞台化(だったかな?)されているそうですし。なかなか面白いです。

29位 小杉光太郎『普通の女子高生が【ろこどる】やってみた。』

 これは今年アニメ化されて知った作品ですね。まあ、いわゆる萌え四コマ漫画なんだけれど、ろこどる(ローカルアイドル)に注目したあたりがポイント。わりとゆるいアイディアの四コマが続くのですが、まったり幸せにひたれます。

28位 竹宮ゆゆこ&カスカベアキラ『エバーグリーン』

 『とらドラ!』で一躍有名になった竹宮ゆゆこ原作の漫画です。作画も綺麗で、なかなか読ませます。萌え系と云えばそうなのだけれど、もう少し普遍的な青春ストーリーといった感じ。

 青春系のライトノベルはいうまでもなくたくさん出ているのだけれど、ひと工夫されていて面白いものが多い。来年もどんな作品に出逢えるか楽しみですね。

27位 千田純生『フィールドの花子さん』

 サッカー漫画。「花子」という名の天才サッカー少女が生霊となってひとりの少年に取り憑くところから始まるストーリー。

 センスのかけらもないように見える少年は実はものすごいフィジカルの持ち主で――と話は続く。サッカー版『ヒカルの碁』といったところか。最近のスポーツ漫画のなかではなかなか面白い作品かと。

26位 水あさと『宮田書店へようこそ』

 水あさとの短篇集ですね。同人誌などに収録されていた作品をそのまま収録しなおしている本なのですが、かなり面白い作品が多いです。表現的にもチャレンジしている感じ。

 まあ、雑然とした内容には違いないのですが、なかなか楽しい萌え四コマなんかも入っていて愉快なので、わりとオススメの一冊です。作者は現在テレビアニメ化された人気作『電気屋の本屋さん』を連載中。来年はそっちも読むか。

25位 山名沢湖『少年☆少女☆レアカード』

 「アイカツカード」をモデルにしたと思しいカードゲーム機を巡るひとりの少女と「学園の王子様」の物語。典型的な少女漫画の類型なのだけれど、題材が子供向けカードゲームというところが面白い。特別凄いというわけではありませんが、ほのぼの読ませます。

24位 天瀬晴之『王国ゲェム』

 デスゲームものの新作。『DEATH NOTE』以来、この手の作品は枚挙にいとまがない感じではあるけれど、この作品はちょっと新しい。というのも、ゲームの内容が「集団戦」なんですね。

 いかにして「王国」を築き、ほかの「国」を圧倒していくかというテーマのもとに繰りひろげられる物語。ある意味、現代を舞台に歴史ファンタジーをやっていることになるわけで、そういう意味でもちょっと興味深いチャレンジングな作品。

23位 きづきあきら&サトウナンキ『暁の明星』

 フランス革命前夜の巴里の都を舞台に、淫靡かつエロティックな退廃の宴を描いた物語。とにかくエロいのでぼく好みです。日本風の陰影に富んだエロさもいいけれど、欧風のエロティシズムもそれはそれで。全2巻の完結巻が最近になって出たようなので、来年はそれを読んでみようと思います。

22位 アサダニッキ『青春しょんぼりクラブ』

 最近、あまり少女漫画を読まなくなっているぼくなのですが、この作品はその数少ない例外のひとつ。いやー、面白いです。ごくストレートな恋愛少女漫画には違いないのですが、何だろう、何か心に響くものがあるというか。なかなかオススメの作品ですね。

21位 北崎拓『ますらお 秘本義経記 大姫哀想歌』

 『ますらお』! 連載終了以来、実に18年ぶりという長い長い時を経て、ついにこの物語が帰ってきた! 源義経その人を主人公に、ギリギリのサバイバル状況を描いた北崎拓の異色作、堂々の帰還です。

 打ち切り作品には違いないものの、一部ではマニアックな人気を博していた作品だけに、この再開を喜んでいる人は少なくないのではないかと。とにかくエンターテインメントとして面白い作品なので、素晴らしい漫画だといえるかと思います。

20位 鈴木みそ『限界集落温泉』

 今年、電子書籍の売り上げで1000万円を超える額を稼ぎだした鈴木みそ、その売り上げの中核となっているのがこの『限界集落温泉』です。

 極端に歌が下手な声優の女性を中心に、田舎の限界集落に「オタクの聖地」を作り上げてしまおうという奇想天外なアイディアを、いかにももっともらしく見せているあたりがミソ。全4巻でちょっと物足りなくはありますが、今年の収穫といえるのではないかと。

19位 コトヤマ『だがしかし』

 だがしかし=駄菓子菓子というわけで、おそらく全世界に類を見ないであろう駄菓子漫画です。いったいかつてだれが駄菓子をテーマに漫画を一本描き上げてしまおうと思ったことであろう! いや、そんな奴はいない!

 あるその筋では有名な駄菓子屋の子息として生まれた少年が、その天才的な(?)駄菓子屋センスを開花させたりさせなかったりするお話なのですが、女の子が可愛いです。凋落の『サンデー』を微妙に支えている感じの一作。

18位 紺野あずれ『私立はかない学園』

 その学校の校則は「パンツを履いてはいけない」ということだった――という、どうしようもないアイディア(笑)を軸にしたラブコメ漫画。ほとんど狂気の発想なのですが、よく練られています。

 というか、こんな救いようもないアイディアを練り込んでくるあたりがバカというか。まあ、スカートのなかを見られそうになって恥ずかしがる女の子たちが可愛いというそれだけの漫画なのですが、発想があまりにもバカなのでこの位置にランクインです。

17位 睦月のぞみ『白銀妃』

 あまりにも美しい容姿とその容姿からかけ離れた内面を持ち合わせたひとりの女性が国王のハーレムに入るお話。酒見賢一の『後宮小説』を思い出す内容ですが、あんなシリアスな話ではありません。

 とにかくひたすら残念な性格の主人公が、同じ後宮の女の子たちと絡んだりしながら、何となく楽しく過ごす。そういう漫画。絵柄がキュートなので読んでいて楽しい。あと、後宮の女性たちのヌードが綺麗。ある種の眼福漫画といえるでしょう。

16位 鈴木みそ『ナナのリテラシー』

 これも鈴木みそさんですね。第1巻はまさに電子書籍についての話で、作者お得意の領域を扱っている感じです。何といっても、じっさいにそのジャンルで成功した作家が描いているわけだから説得力がある。

 まあ、現実に電子書籍で大ヒットを出すのは大変そうではありますが……。それでも、この作家は出版不況のご時世に一筋の光明を見出そうとしているように思えます。希望の一作、といえるのかどうか。とにかく興味深い内容には違いありません。

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