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 いささか遅ればせながら『アイドルマスターシンデレラガールズ』最新話を見ました。

 今回は小学生ふたりを含む凸凹アイドルトリオ「デコレーション」のお話。

 おじさん、小学生がへそ出しファッションというのはマジでどうかと思うな、というのは置いておくとして、プロデューサーとアイドルのディスコミュニケーションから事件が起こる『デレマス』の典型的なエピソードでした。

 携帯電話があるにもかかわらずなぜかはぐれてしまうデコレーションと武内Pのすれ違いが見どころなのですが、さすがにシナリオに無理があるような気がしなくもないw

 いくらなんでももう少しちゃんと連絡とれるでしょ。

 いつものごとく武内Pの不器用さがほほ笑ましい、といいたいところですが、危うく仕事に穴を空けるところだったわけで、Pの責任は重大と思われますね。

 いやー、さすがにこの人、コミュニケーション能力なさすぎじゃないでしょうか。

 人間として誠実なのは間違いないとしても、ここまで事態解決能力に難があるのは問題なんじゃないかと。

 武内Pというキャラクターはアニメ版『デレマス』の大きな発明で、非常に魅力的ではあるんだけれど、この不器用さは社会人としてどうなんだと思わなくもない。

 いや、そういうことをいうのは無粋だというのもわかるんですけれどね。

 そもそも『デレマス』は前作『アイドルマスター』に比べて構造的にカタルシスが生まれにくいところがあるように思います。

 『アイマス』は無名の事務所に所属するアイドルたちが無名のところからメジャーへ駆け上がっていく展開に快感があったわけですが、『デレマス』は初めから大企業に所属しているわけですから、ある程度、成功が約束されている側面がある。

 もしこれでまるで成功しなかったらよほどプロデューサーが無能なのか、アイドルたちに魅力がないかということになってしまうと思うんですよ。

 仮に『デレマス』がこの先、前作と同様のテーマを追いかけて行くことになるとしたら、前作より甘い初期条件で物語を始めていることは大きな問題だと感じます。

 だから、この先また何かひと工夫があるとは思うんだけれど、全体の4割程度を消化したいまの段階(たぶん)でその工夫が見えて来ないということには、ちょっと歯がゆく思えなくもない。

 もちろん、このままあっさり大成功して終わるはずはないので、何か仕掛けてくるとは思うんですけれどね。

 まあ、大企業の大きなプロジェクトが背景になっているという設定からは、必然的にその企業のなかでの過酷な競争があって――という話になりそうなところなのですが、おそらく『デレマス』も前作同様に理想論のファンタジーで押し通されるはずで、そういう話にはならないでしょう。

 ここらへん、甘いといえば甘いのだけれど、ぼくはこのシリーズにはファンタジーをこそ期待しているので、特に文句はない。

 ただ、最終的にファンタジーが勝つにしても、まったく何の障害もなかったら当然ながら物語として面白くない。

 したがって、何かしらの形で「現実」が見えて来ないといけないと思うのですが――どうするのだろうね、うーむ。

 前作は、各々のアイドルそれぞれに個性もあれば人気の差もあるという「現実」と、みんな仲間! 家族! という「理想」のコンフリクトが大きな魅力でした。

 最終的に「理想」が勝利し、美しいファンタジーとして終幕することになるのですが、ぼくはそのことに何の文句もありません。

 やっぱり、フィクションなんだからフィクションのマジックを見せてほしいわけなのですよ。

 現実ってこういうものだよね、仕方ないよね、というだけではあえて物語という形で語る意味がないではありませんか?

 そういうわけで、『アイマス』や『デレマス』が理想を追求するファンタジーであることを批判するつもりは一切ないのだけれど、あまりに甘ったるいとやはり問題ですよね。

 前作がほんとうに感動的だったのは、きびしく押し寄せてくる「現実」を前にしてもなお、どこまでも「理想」を追い求めるその姿勢に美しいものを感じたからでした。

 今回はそれに比べると余裕がある気がしてしまうんですよね。

 前回の杏の描写にしても、