妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

 七月です。今年ももう半分終わってしまいましたね。

 この半年、いろいろありましたが、厭なことは忘れてゼロからスタートしたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、当然、厭なこともあれば良かったこともあるわけで、上半期はたくさんの面白い作品と出逢えました。

 そのなかでも個人的に高い評価を与えたい作品といえば、平坂読『妹さえいればいい。』がまず挙がります。

 一見するとライトノベル作家の他愛ない日常を綴っただけの作品とも見えかねないものの、じっさいには壮絶に計算されつくした一作とぼくは見ました。

 日常系ライトノベルもここまで来たのかと感嘆せずにはいられないという意味で、今年のベスト候補です。

 もちろん、シンプルに一本のラブコメディとして読んでもめちゃくちゃ面白い。

 ただ、これをぼくのようなすれっからしの読者ではない、いまの若い層が読んで面白いと思うかというと、それはよくわからない。

 Amazonなどでくり返し指摘されている通り、「一本の小説としての起承転結が構成されていない」作品だからです。

 物語はなんとなく始まりなんとなく終わっているように見えます。

 おそらくじっさいには見た目に反して精密な計算があるものと思われますが、それにしても一貫したストーリーは存在しないといってもいいくらい極端な構成に仕上がっている。

 一般的な意味での「物語」がないのです。

 そのかわり、くり出されるネタの「手数」で勝負している印象。

 いわば一撃入魂の必殺パンチではなく、計算ずくのコンビネーション・ブローで戦っている作品といえるかと思います。

 それでは、なぜ極端に「物語らしさ」を欠いたプロットになっているのか?

 もちろん、