王都炎上―アルスラーン戦記〈1〉 (光文社文庫)

 昨日、なにげなく書店の棚を見てまわったところ、『岡田斗司夫の愛人になった彼女とならなかった私 サークルクラッシャーの恋愛論』という本が出ていました。

 タイトルを見ただけでこれは買わねば、と思ったものの、電子書籍版が出ていないのでとりあえず見送ることに。

 すっかり紙の本より電書のほうが購入意欲が高くなっているなあ。電書はさまざまな点で紙の本より便利だと思うのです。

 さて、いいかげん「ハッピーエンド評論家」の肩書きを掲げておいて何もしていないので、この企画の失敗を認めて修正作業を行いたいと思います。また名前を変えるかな……。

 いろいろ手を変え品を変えて行動してはいるのですが、どうにもうまく行かないのはやる気がないためなのか、どうか。うーむ。悩むところ。

 まあ、やる気さえ出せばたちまち成功というわけにもいかないだろうけれど。

 さて、アニメ『アルスラーン戦記』がなかなかに面白いので、原作を読み返してみたところ、予想以上に面白く、いまさらながらに感心してしまいました。

 磨き抜かれたエピソードやキャラクターの魅力はもちろんのこと、注目するべきはその密度。

 一行一行をいちいち面白くしようとしているような、高密度の展開にはうならされます。

 第一巻『王都炎上』から第一部完結の『王都奪還』まで七冊、その七冊でなんと多くの出来事が起こっていることか。

 ここらへん、傑出した構成力がなければできないことで、全盛期田中芳樹の凄みを思い知らされます。

 いまだ流浪の王子に過ぎないのちの「解放王」アルスラーンのもとに、次々と馳せ参じる「十六翼将」たち。

 この第一部の波乱の物語は、ほんとうに面白い。

 それに比べると物語を畳みにかかった第二部は一枚落ちる、という評価が一般的なものかもしれませんが、まあ、物語を閉じることはそうでなくてもむずかしいんだよなあ。

 作者の責任という意味では始めた物語はすべてきちんと閉じるべきなのでしょうが、そう理屈どおりは行かないのが大長編の執筆というもの。

 書き始めたものをきちんと書き終えることは至難の業、しかもそれはその物語が長くなればなるほど、構成が緻密を究めれば究めるほど、よりむずかしくなっていくのです。

 あの『十二国記』ですら長いあいだ未完のまま放り出されているではありませんか。

 だれも小野不由美の物語に対する至誠を疑わないことでしょうが、それにしても未完の物語をきれいに閉じることはことほどさようにむずかしいのです。

 そうはいっても