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アウシュビッツ〝凡庸なる悪〟の末路を見る
2016-07-15 23:21102pt人類史上最大の犯罪と言われている第2次大戦時のナチスによるホロコースト。その舞台となったアウシュビッツ収容所は70年経った今でも当時の記憶を赤裸々に物語る。戦争の狂気が蔓延する中での「凡庸なる悪」の実体がそこに……。写真・文=中筋純text & photo by Nakasuji Jun -
長島愛生園とダークツーリズム そしてこれから─
2016-05-23 23:09102pt瀬戸内海の「長島」─かつてこの島に、ハンセン病患者が隔離のために送られた時代があった。
だが差別と誤解、偏見と苦難を乗り越え、いまこの島は修学の門戸を広く開いている。
この島はまさに「負の歴史」を学び、体感できる貴重なダークツーリズム・スポットなのだ。
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小樽ダークツーリズム紀行 一泊二日で150年の歴史を体感する
2016-05-16 16:15102pt小樽運河、北一硝子、金融資料館、小樽オルゴール堂、石原裕次郎記念館─
全国にその名が知れた小樽を代表する観光スポットだ。
しかし、小樽という街の奥深さは、決してそれら〝定番観光〟だけにとどまらない。
ちょいと足を伸ばせば、近代の裏面史が1泊2日で体験できてしまう街なのだ。
小樽はまぎれもない観光先進地であり、毎年700万人を超える集客力がある。ただし、観光客の滞留時間は平均して4時間ほどと言われ、メインの観光コンテンツである運河通りの散策を済ませると、そそくさと札幌に向かう旅客が多い。夕方4時を過ぎると、人影がまばらになる。果たして、小樽には4時間ほどの滞在価値しかないのだろうか。筆者は多くの共同研究者が小樽にいるため、1年に何度も小樽と関西を往復する。繰り返し訪問すればするほど、小樽の底知れぬ魅力に引きずり込まれる。それは単に名産のガラス工芸品が綺麗だとか寿司が旨いではなく、小樽が持つ近代の悲しみの記憶に核心的価値を感じるからである。
今回は、ダークツーリズムの視点から小樽の旅を楽しみつつ、読者に街の新たな魅力を紹介してみたい。文=井出明/写真=中筋純
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六本木レクイエム~文・写真=都築響一
2016-05-03 09:44306pt酒を飲める年代になった頃、夜遊びを教えてくれたのは六本木だった。銀座でも新宿でも、ましてや渋谷でもなく。
1970年代の東京で、夜中過ぎに普通に飲んだり食べたりできる場所は、ほとんど六本木だけだった。飲んで、食べて、踊って、だれかを好きになったり、喧嘩したり別れたりして。僕はこの町から、どれほどの人生を教わったろうか。
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ダークツーリズムとは?
2016-04-25 23:29明治から大正、昭和、平成へと移りゆく近代化の歴史の流れのなかで、
日本は敗戦、自然災害、公害、差別、交通災害などなど、あらゆる悲しみを体験してきた。
何気なくあなたの町にある古い建物、路傍の慰霊碑、枯れた裏路地─。
そこには、歴史に埋もれた悲しい記憶が宿っているかもしれない。
いままではガイドブックが教えるまま、表通りしか歩かなかった観光の道。
だけど、今日からは知らなかった別の道を歩いてみよう。
「ダークツーリズム」という旅は、あなたに哲学的な思索を与えるとともに、
人生に大いなる深みをもたらすだろう。
文=井出明
text by Akira Ide
※写真※1923(大正12)年に竣工した旧北海道拓殖銀行小樽支店。日本銀行小樽支店(現・金融資料館)などとともに「北のウォール街」を形成した歴史的建造物。プロレタリア文学者の小林多喜二は小樽高等商業学校を卒業後、銀行員としてこの建物に勤務し
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