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北海道囚人道路を旅する
2016-05-30 13:50102pt現在、小中学校でもあまり教えなくなった北海道開拓の真実。
北海道を貫く大動脈は、彼らの命と引き替えに作られたのだ。
文・写真=斎藤充功
text & photo by Saito Michinori
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知られざる戦後史。靖国、伊豆、三ヶ根、そして─殉国七士「4つの墓」をめぐる旅
2016-05-28 16:03102ptA級戦犯として裁かれ、刑死した7人が眠る地は靖国神社だけではなかった。
戦後、彼らの遺骨は複数か所に分祀された事実を知る者は少ない。
そのすべてを回る、慰霊1000キロの旅。
文・写真=斎藤充功
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長島愛生園とダークツーリズム そしてこれから─
2016-05-23 23:09102pt瀬戸内海の「長島」─かつてこの島に、ハンセン病患者が隔離のために送られた時代があった。
だが差別と誤解、偏見と苦難を乗り越え、いまこの島は修学の門戸を広く開いている。
この島はまさに「負の歴史」を学び、体感できる貴重なダークツーリズム・スポットなのだ。
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小樽ダークツーリズム紀行 一泊二日で150年の歴史を体感する
2016-05-16 16:15102pt小樽運河、北一硝子、金融資料館、小樽オルゴール堂、石原裕次郎記念館─
全国にその名が知れた小樽を代表する観光スポットだ。
しかし、小樽という街の奥深さは、決してそれら〝定番観光〟だけにとどまらない。
ちょいと足を伸ばせば、近代の裏面史が1泊2日で体験できてしまう街なのだ。
小樽はまぎれもない観光先進地であり、毎年700万人を超える集客力がある。ただし、観光客の滞留時間は平均して4時間ほどと言われ、メインの観光コンテンツである運河通りの散策を済ませると、そそくさと札幌に向かう旅客が多い。夕方4時を過ぎると、人影がまばらになる。果たして、小樽には4時間ほどの滞在価値しかないのだろうか。筆者は多くの共同研究者が小樽にいるため、1年に何度も小樽と関西を往復する。繰り返し訪問すればするほど、小樽の底知れぬ魅力に引きずり込まれる。それは単に名産のガラス工芸品が綺麗だとか寿司が旨いではなく、小樽が持つ近代の悲しみの記憶に核心的価値を感じるからである。
今回は、ダークツーリズムの視点から小樽の旅を楽しみつつ、読者に街の新たな魅力を紹介してみたい。文=井出明/写真=中筋純
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ダーク〝シネマ&ブック〟ツーリズム~西成山王ホテル
2016-05-13 23:57西成山王ホテル
著=黒岩重吾
『西成山王ホテル』文庫は現在品切れ。Amazonマーケットプレイス等で入手可。
2003(平成15)年に没した直木賞作家・黒岩重吾の作品をいま、新刊書店で探すと並んでいるのは80年代以降に書かれた古代史小説ばかりで、そのジャンルの作家と認識している人も多いのではないか。また彼の直木賞受賞作『背徳のメス』は医療界を舞台にした社会派ミステリーだから、松本清張のような作家と誤解されていたりもする。
しかし60年代から70年代かけて、作家としてもっとも充実していた黒岩重吾は、大阪の西成区を舞台にした風俗小説、ハードボイルドを多作した。これは当時の西成を知るのに非常に有益な地域資料である。
読者諸氏もご存知のように、大阪市西成区は日本最大の労働者の町・釜ケ崎や遊廓時代の建築物が残る女性街(ちょんの間の街)飛田新地を抱える個性的な地域だ。映画では大島渚監督の『太陽の墓 -
ダーク〝シネマ&ブック〟ツーリズム~十九歳の地図
2016-05-13 23:50
十九歳の地図
監督=柳町光男『十九歳の地図』DVDはディメンションより9月2日に再発売。レンタルあり。
マンガやテレビドラマの『東京都北区赤羽』で東京都北区という地域を知った読者もいるだろう。作品から読み取れる北区は個性的な人間が集まり、エキセントリックでありつつ伝統的な下町の人情味も兼ね備えた呑気な近郊商業地というイメージだ。たしかに現在の北区にはそうした平和な空気がある。しかし下町のように江戸時代からの文化施設が残る地域ではない。北区には「東京朝鮮中高級学校」という北朝鮮系のエスニック・スクールがあり、同校を囲むように自衛隊駐屯地が点在する。その立地は80年代まで様々な政治対立と暴力抗争を呼んだ。
学校や駐屯地の前身は戦後占領期の米軍の軍事施設で、それは戦前には巨大な兵器・火薬工場(陸軍造兵廠)だった。戦後、その軍施設解体によって様々な歪みと退廃が押し寄せたのが北区である。もとも -
六本木レクイエム~文・写真=都築響一
2016-05-03 09:44306pt酒を飲める年代になった頃、夜遊びを教えてくれたのは六本木だった。銀座でも新宿でも、ましてや渋谷でもなく。
1970年代の東京で、夜中過ぎに普通に飲んだり食べたりできる場所は、ほとんど六本木だけだった。飲んで、食べて、踊って、だれかを好きになったり、喧嘩したり別れたりして。僕はこの町から、どれほどの人生を教わったろうか。
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