破壊王こと橋本真也夫人だった橋本かずみさんと、橋本真也の側近だった田山正雄レフェリーの対談!
豪快すぎる橋本真也の逸話をたっぷりとお楽しみください。イラストレーター・アカツキ@buchosenさんによる昭和プロレスあるある4コマ漫画「味のプロレス」出張版付き!
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――田山さんは安田忠夫さんと一緒に橋本さんの自宅に入り浸っていたそうね。
かずみ そうそう(笑)。
田山 橋本さんに呼ばれて家にいくと開口一番「どうするんや!?」って。どうするも何も橋本さんに呼ばれてきてるのに(笑)。たしかに運転やら何やらボクがやってるんですけどね。
かずみ 田山くんと安田さんは家に住んでるようもんだったよね(笑)。大地とかウチの子供がまだ小さいのに、みんなで深夜まで起きて何かしらやってるんですよ。だから橋本に「いい加減にしてよ!」と怒ったこともあったんですけど。
かずみ 寂しがり屋だったんですよね。家に誰もいないときは朝まで誰かと長電話していたし、「田山が家に来たがってるんだよ。向こうから電話がかかってきたんや!」って言い訳してね。
田山 「来たい」とも「行きたくない」とも言ってないです(笑)。かずみさんも精神的にまいってるのか、家にいるのにピンポンを押しても出てこないときがありましたね。
かずみ そんなことあった? 田山くんや安田さんが来てくれて助かったのは、私が橋本に付き合わなくてよかったこと。橋本は毎日朝まで起きてるから、みんながいると私は深夜1時くらいに寝ることができるという(笑)。
かずみ 最初の頃は「みんながいるのにおまえだけ寝るのか!?」って怒られたんだけど。そのうちシラーッと2階に行って寝てました(笑)。
田山 大地がこないだ言ってましたよ。「最近気づいたんですけど、一般家庭の夜ご飯って早いんですね」って。
かずみ アハハハハハハ。最近気がついたんだ、かわいそうに。
田山 「普通の家は夜7〜8時だよ」「ウチは12時くらいでした」って凄い話をしてて。大地は幼稚園時代の誕生日会のとき深夜の六本木を歩いてましたからね(笑)。
――朝までみんなで何をやってるんですか?
かずみ ダラダラとしゃべってるだけだよね。
田山 あとテレビを見たり。橋本さんはお酒を飲まないですからね。飲んでるところは見たことないですね。
かずみ 家でビールを飲んでも2人で一本。
田山 あの性格に酒乱が重なったら大変ですよ!
かずみ いやあ、怖い(笑)。
田山 安田さんだって一滴も飲まないですよ。だから当然ボクも飲めないし、運転しなきゃならないから。消防士と一緒ですよ。いつスクランブルがかかるからわからない。思いつきで「これを買ってこい!」と言いだすことはよくありましたから。
かずみ みんな走り回ってたよね(笑)。
田山 夜中にスタンガンを買いに行かされましたよ。なんとか池袋で見つけて。
――ミッション難易度、高すぎです(笑)。
田山 当時は無理を言われると嬉しい時期があったんです。「これはボクしか叶えられない!」って(笑)。
かずみ 周りは凄く大変だったと思う。とにかくワガママなので、思いつきで何かをしたい、何を食べたい。飽きるまでやらされるんですよ。それで自分が眠くなったら「……もうそろそろ解散や!」って(笑)。
田山 ルールは橋本さんですからね。一緒にいることはイヤじゃなかったけど、いつ終わるのかが決まってないのが……。
――自分の時間がなくなっちゃうんですね。
田山 新日本の合宿所前に橋本さんのベンツが止まっていたら、「捕まったら大変だ」ってことでたまに逃げてましたから。一度通り過ぎたらカシンに見つかって告げ口されたりして(笑)。
かずみ 私としてはずっと合宿所にいてくれるとよかった(笑)。マンションに住んでたときはずっと合宿所にいたんです。一軒家に引っ越してから、みんなのことを呼ぶようになって。
――自宅パーティーも頻繁に開いてたんですよね。
かずみ そのために食材の買い出しにいくんですけど、あまりにも買い込むもんだから、イトーヨーカドーのレジで大喧嘩したことありますもん。たとえば、お醤油選びにしても、私が普段買ってるような普通のお醤油は買わないんですよ。厳選された醤油を自分で選ばないと気がすまない。レジでレシートが巻物のように出てきて、7万円くらいだったかな。それが終わったら今度はお肉屋さん、その次がお魚屋さんと……。
――あ、一軒で終わりじゃない(笑)。
かずみ だからけっこうな金額になるんですよ。「これ、誰が払うの?」ってレジの前で喧嘩しちゃって(笑)。
田山 迷ったら一番高いものを買う人ですから。「高いものなら間違いない!!」って。
かずみ ちょっとお馬鹿さんだから(笑)。バーベキューのときにお肉さん屋に行ったら、向こうは「カモが来た!」って感じですよ。
田山 俗に言う「マイケル・ジャクソン買い」ですもんね。
かずみ あるものを全部買っちゃう勢いだから。
田山 そういえば「おい、これ買ってきてくれや!」って頼まれて、橋本さんから代金をもらってないのが10万円以上ありますよ(笑)。
田山 そんなの自分から言えないじゃないですか。
――かずみさんはパーティーの準備もしなきゃならないんですよね。
かずみ 料理は最初から最後まで橋本が作るんです。私、パーティーのときは作ったことない。料理は凄く上手で、巡業から帰ってきて料理することがストレス解消だったところもあるので。
――橋本さんはラーメンや豆腐作りに凝ってましたね。
田山 材料が高いから、なんでも美味しい(笑)。
かずみ そうだよね。ラーメンは美味しかったけど、材料費が高くて高くて。1杯1万円くらいしたし、お豆腐も一丁2万円くらいしたから(笑)。
――一丁2万円の豆腐(笑)。
かずみ 大豆もお水も高級なものを取り寄せて作ったんです。「どうだ?美味いやろ?」って聞かれて「ちょっと固いかなあ〜」って言ったら「二度作らん!」って怒ってそれっきり(笑)。
――ハハハハハハ! パーティーには何人くらい来てたんですか?
かずみ 一番多いときで30人くらい。リビングと和室、あと庭にも人を入れてね。
田山 庭やリビングでも何かやってるし、前半の部と後半の部に分けられたりして、もう夏フェスみたいな感じですよ(笑)。
かずみ 夏は月1回の開催どころじゃなかったよね。
田山 しょっちゅうやってましたよね。橋本さんが「面白い奴、おらんのか?」ってお笑い芸人とか呼んだりしてて。
田山 春一番さんの繋がりで神奈月さん、有名になる前の原口あきまささんとか。
かずみ 「この人、誰?」ってよく知らない人もいっぱい来てたよね。
田山 いましたねぇ。橋本さんは知り合いの知り合いの知り合いまで呼んじゃうから。誰かの知り合いのキャバクラ嬢も来てましたよ。橋本さんも名前を知らないから「おっぱい女1号、2号!」とか呼んでいて(笑)。
かずみ あ、言ってた言ってた(笑)。そのパーティーをきっかけに、よく知らない人が毎週のように家に遊びに来るようになっちゃって困りましたよね〜。
――そんなににぎやかだと、橋本さんが新日本の巡業に出てるときは静かですよね。
かずみ だから、スッゴイ幸せ。だって家に帰ってくるとソファーに座って、靴下を脱がせるところから始まるんですよ?
――亭主関白にもほどがありますね(笑)。
かずみ 日本茶の温度もうるさいんですよ、「熱い!」だの「温い!」だの(笑)。そこから巡業中に撮り貯めてあったビデオを一緒に見るんです。途中でウトウトすると「おい、まさか眠いんじゃないだろうな?」って。だから、みんなが家にいるとありがたいんです(笑)。
田山 巡業中もホテルの部屋に集合して一緒にテレビを見てましたからね。通信販売の番組が始まると大変ですよ。
かずみ そうそう!
田山 「よし、これを買うぞ!電話しろ!」って始まって部屋にいる人数分買うんですよ。「おまえもほしいよな? よし、野菜カッター4つください!」。
かずみ ハハハハハハ。
かずみ ずっと箱の中に入ってましたよ。