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ZERO1お家騒動、終結■プロレス事情通Z
プロレス格闘技業界のあらゆる情報に精通する事情通Zのコーナー。今回のテーマはZERO1お家騒動、終結です!
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・エル・リンダマンのグレイトなプロフェッショナルインタビュー
事情通Z ひっそりとお家騒動が続いていたZERO1が体制を一新。リアルZERO1とか栃木派とか複雑な関係になっているから騒ぎを把握できていたマニアは少なかったと思うけど……。――リアルといえば、いまのプロレスはリアルじゃないですねぇ!
Z は?なんの話だよ。
――いまのプロレスがダメだって言ってるですよ。ジミー鈴木さんが「リング上でのサイコロジーが何一つないプロレスは、デパートの屋上でアルバイトが繰り広げる仮面ライダーなどのヒーローショーと同レベル」「WWEはその伝統を大事にしているからこそ、ビッグビジネスをキープし常に繁栄させてきた。新日本は上っ面だけでなく、そういう部分も参考にしていくべきだと思う」とポストしたとおり! 日本のアメプロ通の関係者がビンス・マクマホンの性的スキャンダルをはじめとして、WWEのスキャンダルをとくに取り上げてこなかったように、そのへんの都合が悪いことは無視して新日本プロレスはWWEを見習うべきです!
Z ……前回からこのコラムの路線が変わってきてないか? 今日のテーマはZERO1だよ。「どっちがホンモノのZERO1か」でちょっとした騒ぎになっていた。――どっちがホンモノかといえば、文句なしに昭和のプロレスだああ! 令和はゴミ! ジミー鈴木さんも「脱猪木=リアリティーの排除だというなら、それは実におぞましい世界だと言わざるを得ない。棚橋社長はその辺をどう考えているのだろうか。ノアや全日本はそうなってほしくないなぁ」とポストしていています。やっぱり昭和のプロレスはガッチガチに戦いがありましたからね。不自然な攻防はなし、不透明決着なし、地方巡業でも手抜きなし。「プロレスは八百長!」なんて世間の声は一切なし! 昭和プロレス、バンザーイ!Z いまより「プロレスは八百長!」論が激しかったよ!それにリアリティーといってる時点でリアルじゃないって言ってるようなもんだし、そもそもあの肉体がぶつかり合ういはリアルだろ! 1回受け身を取ってみろって!――あーあ、ホンモノの戦いがあった昭和のプロレスに戻りたいなあ。天龍革命やUWFの運動があったことでプロレスが残念な方向になってしまった。新日本のIWGPリーグ戦なんて最高でしたよ!
Z IWGPリーグ戦がすっきりと面白かったことなんかねえだろ! 猪木さんや馬場さんはプレイヤーとして偉大だけど、彼らが指揮した80年代のプロレスがいい加減すぎたことで世間から呆れられ、天龍革命やUWFが生まれたことでプロレスが生まれ変わったと言えるんだよ!いいか、よく聞け。過去を美化することで、そこに熱狂してきた自分の人生も肯定しようとするんじゃないよ。
――反省しました。新日本ワールドやWRESTLE UNIVERSEに入会もせずに、SNSに流れてくる動画や写真だけを見て、いまのプロレスをアーダコーダ批判することを今後一切控えます。というわけで、ZERO1はどうなっているんですか?<会員ページへ続く>
いま入会すれば読める1月更新記事・動画・【最終回】長井満也「私のプロレス界最後のボスは藤波辰爾さんです」・猪木が泣いている!新日本プロレスは終わった!ドームから撤退すべき■事情通Z
・10回目のRIZIN大晦日19,000字で振り返る■笹原圭一・朝久泰央「K-1がブレイキングダウンに負けたと言われるわけにはいかなかった」配信アーカイブ
・佐藤光留のハードヒット変態トーク
・小佐野景浩のお正月プロレスを語ろう
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「30代からではもう遅い!20代から真剣にやってきた者だけが生き残る」■川尻達也
川尻達也が大晦日を通して日本の格闘技界の現在を23000字で斬る!(聞き手/ジャン斉藤)
★この記事は1月2日に配信されたものを再構成したものです
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・朝倉海とパントージャはどこに差があったのか■水垣偉弥──川尻さん、あけましておめでとうございます!川尻 あけましておめでとうございます。押忍!
──そこはどちらですか?
川尻 ここはジム(FIGHT BOX FITNESS)です。自宅だと朝まで配信ができないじゃないですか。
──「朝まで川尻達也」ですか(笑)。いま21時ですけど、今日は長くても2時間で終わりますよ!
川尻 RIZINに負けてらんないですよ。今回の大晦日も昼の1時から夜中の1時ぐらいまでやってたじゃないですか。12時間はやらないとね。ひとりRIZIN DECADEですよ、今日は(笑)。
──川尻さんは大晦日の解説をやってましたけど、すぐ帰ったんですか?
川尻 帰りましたね。深夜2時過ぎに家に着いて、そこで「じりラジオ。」を収録して。3時ごろシャワー浴びたけど、興奮して5時くらいまで寝れなくて。昼まで寝ていた感じですね。お正月は一歩も家から出ないで1日中パジャマで過ごしました。
──大晦日や正月関係のない生活で家族から呆れられてないですか?
川尻 家族も一緒にRIZINに行ったんです。
──あ、家族も一緒に行ったんだ。
川尻 奥さんと娘も一緒です。中学2年生がRIZIN DECADEを深夜1時まで見られるってめちゃくちゃ羨ましくないですか?
──お腹が空いたら斎藤裕のラーメンも食べられるし(笑)。
川尻 そうそう。1日中格闘技を楽しめるし、RIZINガールのダンスをめっちゃ動画で撮ってましたね。
──川尻さんの娘さんはRIZINガールのことが大好きだから、大晦日のメインメインイベントはRIZINガールなんですよね。その大晦日含めていろんなお話を……。川尻 いや、その前にDropkickはプロレスの記事もやってますよね。中邑真輔vs佐々木憂流迦を見る目的でノア武道館のPPVを買ったんですよ。あんまりプロレスは見てないんですけど、メインイベントのOZAWA対清宮(海斗)がめちゃくちゃ面白かったです。そこを語りましょうよ!
──そこはあとで語りましょう!(笑)。それよりもJTT(ジャパン・トップチーム)の川尻さんにいろいろ聞きたいことがあるんですよ。
川尻 なんでも聞いてください。JTTの自称・相談役ですよ(笑)。──『雷神番外地』の五明(宏人)選手vs赤田(プレイボイ功輝)選手の判定が物議をかもしていますけど、川尻さんはどうごらんになったんですか?
川尻 実況席を見るかぎり、どっちが勝ったかはまったくわかんなかったです。試合展開としては五明選手が終始攻めていたけど、テイクダウンできなくて攻めきれない。赤田選手はしのいで受け身だったけど、一発でダウンを奪ってパウンド。その印象が強いんだけど、あれで「ダメージ」の評価がつくのかなと。
──RIZINのジャッジ基準で最も高い評価が「ダメージ」ですね。
川尻 印象としては、ずっと五明選手が攻めてて、赤田選手が一発で試合をひっくり返しちゃった。これは絶対に判定で揉めるというか、物議をかもすだろうなと思って。判定は五明選手の勝ちだったけど、考えたのは赤田選手のダウンと、五明選手のヒジのカットで相殺かなって。アグレッシブネスはどっちもないとして、ジェネラルシップで五明選手の勝ちになったのかなって後付けで思いました。ただ試合直後は本当にわかんなかった。どっちが勝ってもおかしくないな。早くJMOCのスコアカードを知りたいですよ(後ほど公開)。──騒ぎにはなっているけど、これぐらいで割れる判定は世の中にたくさんあるじゃないですか。
川尻 いっぱいありますよね。UFCでもめちゃくちゃありますよ。
──それだけRIZINが注目されてるからこそ余計に……ボクは「難しい判定=おかしな判定」ではないと思ってますね。
川尻 この試合も2-1に割れたわけだから、どっちに入ってもおかしくないってことですね。
──川尻さんはここ最近のジャッジの流れはどう見てるんですか。打撃評価が著しいですよね。
川尻 ボクのファイトスタイルだったら、いまの時代だとあんまりポイントが入らなかったですよね。でも、いまの時代でもグラップラーが勝てる方法はある。「いまならこう戦ったほうがいいよな」っていう考えは自分の中であります。とにかくダメージですよね。ダメージって、相手からダウンを奪ったダメージとかじゃなくて、フィニッシュにつながるような攻撃をスタンドでもグラウンドでもやり続ける必要があるなって。スタンドポジションでも、グラウンドポジションでも、マウントポジションでも、ガードポジションでも、どのポイントからでもフィニッシュにつながるような攻撃がポイントとして取られる。だから、マウントやバックを取ったから有利だとか、テイクダウンで下になったから不利だとかはなくて、どのポジションでも攻撃しなきゃ全部一緒なのかなと。大きくいえば、どこからでもフィニッシュにつながる攻撃ができるかっていう感じじゃないですかね。──グラップラーも抑え込む先の展開が求められる時代ですよね。
川尻 グラップラーがフィニッシュにつなげるとなると、まずテイクダウンしなきゃいけないじゃないですか。ストライカーはスタンド勝負だから、そこからすぐ優劣つけられるけど、グラップラーはまずテイクダウンするしかない。そこが1工程、2工程、3工程くらい多くて大変ですよね。グラウンドになっちゃえば互角っていうか、マウントを取ったらポジション的に有利だから、抑え込むだけじゃなくて、そこからパウンドやヒジを打つしかないし。ケージに押し込んでる状態でも、ただテイクダウン狙うよりは、どんどん殴っていかなきゃいけない。大晦日にKO勝ちした極真空手の上田(幹雄)選手じゃないけど、ゼロ距離からの打撃はグラップラーにも必要ですね。
──いまって寝かすのも大変だけど、寝かしたあと普通に立ってくるから、パウンドするのも大変ですよね。
川尻 頭を上げてのパウンドって、やっぱり立たれるリスクがあるんですよ。かといって、抑え込みながらパウンドだと、コツコツって言われるじゃないですか。ボクはヒジがポイントになると思いますね。
──いま川尻達也が戦うとしたらヒジを磨くと。
川尻 ヒジってゼロ距離で打てるから、ボクがいまグラップラーだったらヒジに特化しますね。ロープに押し込んでからもダメージを与えられるし、ヒジでカットも狙える。テイクダウンしてからも、上でも下でもカットもすることができる。ボクがいまグラップラーだったら、ヒジにとにかく特化します。この話の流れでいえば。20年前に埼玉の和光に和術慧舟會A-3というジムがあって、よく出稽古してたんですけど。そこの選手とグラップリングすると全然かなわないんですよ。ただ、パウンドありでやると、茨城のボクらのほうがうまかったんです。ボクらは、その当時からパウンドありきの練習をしてたからですけど。他のジムもパウンドありの練習をやってないから、ボクらはパウンドで差を埋められたんですよね。いまはパウンドありの練習はあたりまえじゃないですか。でも、ヒジはあんまり……まだ脇役ですよね。──そもそもヒジ自体が日本では解禁されて日が浅いですよね。川尻 そうそう、解禁されてまだ日が浅いし、パンチや蹴りのほうがメインになっちゃってるからこそヒジに特化すれば、他のファイターと差がつけられると思いますね。
──かつて堀口(恭司)選手がカーフキックで朝倉海選手のことをKOした瞬間、日本国民がカーフキックを認知したように、何かあればヒジが一気に浸透する可能性があるってことですね。
川尻 たとえば今回の梅野(源治)選手もすばらしかったけど、ヒジに特化すれば面白い存在になるなって思いました。パンチなんかいらない。距離を詰めてヒジを打てばいいんですよ。梅野選手はMMAのほうが向いてるじゃんと思っちゃいましたし、自由に戦ってましたよね。MMAのいいところは自由なところ。梅野選手はRIZINのヒジなしキックルールのときはすごい窮屈そうに戦ってたけど、MMAのほうがすごく自由に戦えてるなって感じました。
──今回の判定絡みでいうと、川尻さんはいろんな舞台で戦ってましたけど、ラウンドマストとトータルマストどっちが戦いやすかったですか?
川尻 ラウンドマストのほうが絶対に戦いやすいですね。そこは計算しやすいです。
──「このラウンドは取った。次のラウンドはどう戦うか」と戦略が立てやすいわけですね。
川尻 練習でもラウンドごとに考えてやってるし、全体を通してだと忘れちゃう。「このラウンドは取ったな」とか「微妙だけど取られたな」とかわかりやすいですね。──逆にトータルマストを導入する理由ってわかります?
川尻 よく言われるのは「最後まで試合がどうなるかわからない」ってことですよね。ラウンドマストだと1&を2ラウンド取ったら、最後の3ラウンドを流すファイターがいるって言われてますけど、最近はUFCでもそんなにいなくないですか?
──最近は流しづらくなってますよね。なんでなんですかね?
川尻 たしかになんでなんですかね? それは考えたことないな。
──プロモーターからの評価が下がるという理由もあるはずですけど。
川尻 UFCもただ勝つだけじゃダメになってますもんね。そこは昔からそうですけど、選手も試合内容にこだわって、派手な勝ち方やいい勝ち方を狙うようになってますよね。
・堀口恭司の今の凄さ・トータルマストでいいのか・練習環境ではなく選手の意識・10代でコンプリートファイターは無理・20代はボーナスタイム・ヤング青木真也の異常な練習量・YA-MANに感動・前田日明さんの発言は……23,000字の続きは会員ページへ!
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★朝久泰央「K-1がブレイキングダウンに負けたと言われるわけにはいかなかった」★10回目のRIZIN大晦日19,000字で振り返る■笹原圭一
★ベラトールファイターが画策するRIZIN移籍■シュウ・ヒラタ
配信アーカイブ
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★北岡悟が生き抜いた「戦極時代」と「冬の時代」
★シュウ・ヒラタのお正月マシンガントーク
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朝久泰央の雷神番外地「K-1がブレイキングダウンに負けたと言われるわけにはいかなかった」
雷神番外地で勝利した朝久泰央11,000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)
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・朝倉海とパントージャはどこに差があったのか■水垣偉弥
――大晦日の『雷神番外地』はインパクトのある勝利でした!朝久 ありがとうございます!
――主戦場のK-1とは違う舞台の勝利ということで、反響はいつもと違ったりしましたか?
朝久 やっぱりRIZINはいまの格闘技界で注目を集めている団体ではあるので。たとえばXのフォロワーが増えましたね。試合が終わってから1日2000人ずつ増えていって、いまのところ8000人ぐらい増えました。
――とはいえ『雷神番外地』はかなり異色のイベントでまさに番外地だったわけですけど、オファーがあったときは迷いませんでした?
朝久 試合をすることに関しては、全然100%やりますという感じなんですけど、自分は「K-1が一番」ということをずっと発言してきたので、そこで「他団体に出ることはどうなんだろう」と迷いはゼロではなかったですね。
――「K-1が一番」なら他団体に出る必要はないじゃないかってことですね。それでも一歩踏み出したのはどういう理由なんですか?
朝久 そこはやっぱりK-1をデカくするためじゃないですかね。勝ったことで自分の名前も少し上がったかなと思います。もし負けていたら……「K-1がブレイキングダウンに負けた」となるじゃないですか。彼(YURA)がRISEでもキャリアのある無敗のプロだって見方はされていないので。ブレイキングダウンから出てきてる以上は「朝久はブレイキングダウンに負けた」と言われる。負けたらすべてを失うという意味では、ある意味大博打というか。3歳から格闘技一筋でやってきたのに、ここで負けたら素人狩りに立候補して素人に負けた奴。そんな道場で誰も習いたくないと思うし、館長の親父に対しても申し訳なかったですね。――今回の『雷神番外地』で一番リスクがあったと思います。
朝久 自分でも一番リスクはあったなと思いますね。勝ったからこうして笑って話しますけど、負けたらもうブレイキングダウンがあるたびに自分がやられてるところを使い回されたりとか(笑)。
――あのダウンシーンが何回も何回も(笑)。
朝久 そうやって擦り回されて、K-1での立場もなかったですよ。そうなったら自分が生きる意味がないというか、もう切腹するしかないですから(苦笑)。
――切腹もの! 正直その重さって意外と伝わってないなかったんじゃないかなって思ったんですね。
朝久 そこは伝わらないように振る舞ってましたね。家族だったり応援してくれてる側からしたら、重いじゃないですか。自分の中では「もし負けたら」と頭をよぎるところはありますけど、そこは伝わらないようにはして。
――K-1もかなりリスクがあったと思うんですけど、出場はすんなりOKが出たんですか?
朝久 簡単ではなかったです。
――ああ、慎重になりますよねぇ。
朝久 いろんなやりとりがあった中で最終的に出させていただきました。自分としては大晦日だから出たいわけじゃなくて、戦いがあるならばやる。RIZINだから出るんじゃなくて、これが別の団体だったとしてもK-1を背負うかたちだったらやっていたと思います。ただ、試合が決まって進んでいくにつれて、自分が踏み入れちゃいけないところに踏み入れたような気がして。
――どういうことですか?
朝久 「K-1を裏切って出ていった」とか「知名度に媚びた」とか、そういうアンチからの言葉に傷ついたりはしなかったですけど、過去の自分の発言からすれば、踏み入れちゃいけないところに来てしまったなと。
――朝久選手はK-1から出ていった選手が外のリングで負けていることに厳しい言葉を投げかけていましたね。
朝久 だから、もう引き返せない。一歩進んだら後ろの道は崩れて崖になってるんです。目の前の真っ暗な道を突き進むしかない感じでした。勝たないと、もうそのまま崖から落ちるしかなかったですね。ブラックローズ入りを発表したときは300件くらいコメントのうち98%くらい全部アンチだったんですよ。
――そうなんですか!?(笑)。
朝久 「オマエ、言ってることと違うじゃねえか!」というものもあれば「K-1の裏切り者」とか「数字に媚び売っていった」とか……。
――ボクは「これは面白いことになったぞ〜!」とただただ喜んでいたんですけど、アンチがそんなに群がってたんですね(笑)。
朝久 自分はプロなので勝つことで証明するしかないと思ってるので。自分としては、あとがない状況に持っていきたいというか、持っていかざるをえなかったというか。そうなると、練習も絶対に手を抜けないんですよ。練習を毎日8時間やっていても、やっぱり集中力が切れるときがあるんですけど、逃げ場をなくすことで必死に練習できましたよね。――今回の試合はルール設定でも一悶着あったんですが、YURA選手は階級上なんですよね。
朝久 RISEの公式サイトだと65キロや70キロで試合をしているので。言うならば自分とは2階級は違うし、試合当日も身体は全然違いました。だからこそ、その相手に勝つとかっこいいなと思って。
――そりゃあ文句なしにかっこいいです(笑)。でも、さすがに2階級に躊躇しませんでしたか?
朝久 スポーツとして考えるなら2階級差は大きいですけど、朝久空手をやってきた身からすれば2階級は問題ないです。自分は過去に「カリミアンをやっつける」って言ったこともありましたし、SNSでも「スダリオ剛とやれ」とか言われたりしますけど、朝久空手は自分より体格の上の相手と組まれたらどう戦うかをちゃんと考えて練習してるので。今回も「2階級くらいなら普通に勝てるでしょ」と自信はありましたね。
――実際に肌を合わせて階級の重みは感じました?
朝久 たしかに感じましたね。階級差の強みというか、圧力だったり、身体の強さ、パワーは感じたけど、「強い」「勝てない」とは思わなかったです。「2階級上だ。でも勝てるな」と思いました。それは相手がYURAくんだったからじゃなくて、他の2階級上の選手とやっても同じように思います。
――物理的な重さを感じただけであって、それが心理的な重さにはならなかったわけですね。
朝久 そうですね。負ける要因にはならなかったですね。
――お話を伺うと、朝久選手の戦いは競技を超えたものとして見据えているんですね。
朝久 試合を盛り上げたいとか、そういったスポーツ的な考えじゃなくて“決闘”です。大晦日でTHEMATCH2の開催が発表されたことで「俺だったら盛り上げます」とかアピールしている選手がいるけど、自分はそういった盛り上がりを全然求めてなくて。それよりも、さっき言ったように「後ろが崖」みたいなヒリヒリした状況で戦いたい。盛り上げたいとかじゃなくて、あとに引けない立場を作って、おもいっきり相手を倒すことだけを考えたいんで。
――「試合を盛り上げます!」という姿勢で試合に臨んでないわけですね。
朝久 そういったのって結局、本人が舞い上がってるだけで。はっきり言ってそういう奴の試合って盛り上がってないし、そういう舞い上がりはオマエだけにしてくれよって。――なるほど(笑)。
朝久 やっぱり今回みたいにK-1を背負わせていただいて、腹を括るじゃないですけど、ギリギリの試合をしたいなという考えはありましたね。
――今回の試合が盛り上がったひとつの理由として、YURA選手がオープンフィンガーグローブマッチを要求したじゃないですか。
朝久 契約で決まったあとだったんで、何をいまさら言ってるだろうと正直思ってたし、戦ったあとで言えるのは最初にパンチでダウンを取ったのも自分だったし、パンチのクリーンヒットを当てていたのも自分だったんで。オープンフィンガーでも結果は変わってないし、もっと早い段階でのKOになっていたと思うんですけど。
――いまは「オープンフィンガーグローブのほうが薄いから危険だ」という認識は広まってますが、普通のグローブのほうが脳を揺らしますよね。
朝久 そうですね。それにオープンフィンガーのほうが分厚いんじゃないかって思いましたね。いろんな話を聞いた中でいえるのは、YURAくんもプロというか、ブレイキングダウンでの立場もあるし、ああいう挑発は誰かの入れ知恵だったんじゃないかなと。そんなことをやってるぐらいだったら、5月ももう1回ぶっ飛ばされるんじゃないかって感じましたねぇ。・グローブ云々はズルい・芦原秀幸と朝久空手・父親の朝久館長「いや、それぐらいで許すな」・「俺の選択、これでよかったんだろうか……」・平本蓮くんは裏表なくてめちゃくちゃいい人・K-1を腐しているから怒りがある
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