-
【舌打ちトーク26,000字】チャーリー柏木「堀口恭司vs◯◯◯◯を狙っています」
RIZINマッチメイカー柏木信吾さんがRIZIN大晦日や、対UFCを26,000字で語り尽くします!(聞き手/ジャン斉藤) ★1月10日に配信されたものを再構成した記事です
【1記事から購入できるバックナンバー】
・【タメになる15,000字】扇久保博正が語る「格闘技の深淵」
──どうもDropkickのジャン斉藤です。今日のDropkickスタジオトークのゲストは、日本一格闘技に詳しいこの方です。柏木 どうも柏木です。よろしくお願いします。
──よろしくお願いします! 前回の柏木さんは舌打ちをしながら各方面に毒づく配信が好評でして(笑)。
柏木 あんなネガティブなことばっかり話していて、みんなが面白いと言ってくれるのは、なかなか不名誉というか不思議な感覚ではありますね(笑)。──今回もRIZINやMMAの裏側を語っていただきたいなと思ってます。ボクは1月1日昼12時にRIZIN事務所で笹原(圭一)さんを取材したんですけど。笹原さんはさいたまスーパーアリーナでの撤収作業が朝4時に終わって、そこから車で事務所に戻って、ちょっと仮眠していたみたいなんです。柏木さんの大晦日はどんな感じだったんですか?
柏木 私は試合が終わった外国人選手をまずホテルに送ります。選手たちは母国に帰りますので、その送り出しの作業があって。早く試合が終わった選手はすぐにホテルに戻したんですが、最後のバスが夜中の1時ちょっと過ぎぐらいに会場を出発して、ホテルに着いたのが2時ちょっと過ぎ。で、帰国する(カルシャガ・)ダウトベック選手はロビー集合が5時15分なんです(笑)。
──6時間くらい前にYA-MANと殴り合いして、ホテルに戻って、さっさと帰ると?(笑)。
柏木 バスの中でダウトベックには「ロビーコール5時15分だから寝るなよ」と伝えて。ちゃんと5時15分に部屋から来ました(笑)。
──ファイターが自前でお金払えば、延泊というか、そのまま滞在できるわけですね。柏木 そういう選手もいますね。残る選手に関しては「もう勝手にしろ」「責任は持ちませんよ」と。1月1日までは責任を持つけど、「その先は知らん!」という感じですね(笑)。
──でも、「困ってるから助けてくれ」という電話をしてくる選手はいるんじゃないですか?
柏木 もちろんいますよ。過去でいうとギャビ・ガルシアとか。
──懐かしのギャビ・ガルシア(笑)。
柏木 今回でいえばホセ・トーレスが1月3日まで残ってたんですけど、2日に電話かかってきて「ウイニングのグローブが買いたいんだけど、どっかないか」って。1月2日にお店はやってねえよって……(舌打ち)。──ハハハハハハ! 正月早々「グローブが手に入んないか?」って電話を受けたくないですね。
柏木 GRIT FIGHT SHOPに電話して「ウイニングありますか?」って聞いたら「もしかしたらフィットネスショップさんにあるかもしれない。お店は3日から開きます」と。
──正月早々、気が休まらないですね(笑)。今回ゲスト観戦した元UFCバンタム級王者ショーン・オマリーの面倒も見たんですよね?
柏木 オマリーは、いままでアテンドしたセレブファイターの中では、ぶっちぎりでプロフェッショナルでしたねぇ。何ひとつ問題がなかったです。時間もちゃんと守ってくれて、だいたい10分前に行動します。
──マジメだ!!
柏木 逆に困っちゃうんですよ。食事に行くにしても、お店の予約時間前に着いちゃうから。そういうお店って予約時間にならないと入れないので、運転手さんに「ちょっと遠回りしてください」「5分の距離を15分かけて行ってください」とか小声で伝えながら(笑)。そういう配慮をするくらいショーン・オマリーは何ひとつ問題なかったですね。すばらしい人格者だと思います。──遅刻癖がある平本(蓮)選手は、ショーン・オマリーへのリスペクトがありますけど、そこは見ならわなきゃダメかもしれない(笑)。
柏木 スイッチのオン・オフはあると思うんですよ。今回に関してはすごく超プロフェッショナルで、もうすべてがパーフェクトでした。
──じゃあ、ライアン・ガルシアとはまったく違う。
柏木 いや、ホントに。ライアン・ガルシアみたいな振る舞いを想像していたので、逆に肩透かしを食らったというか本当に驚きました。RIZINスタッフも「本当にやりやすくて、本当にすばらしい人だった」って絶賛してますね。
──大晦日のライアン・ガルシア欠場に一番喜んでいるのは、アテンドするはずだった柏木さんじゃないかって説があるんですけど。
柏木 そうですね。うれしい反面、また準備をしなきゃいけないのかっていう恐怖が……。
──そっか、試合の話がなくなったわけじゃないですもんね。
柏木 また地獄の“ライアン・ガルシア”ロードが始まるんですよ。本当だったら大晦日を終わりたかったのが本音ですね。またやってくるのかと思うと、けっこうへこんだりしますねぇ……。──あの怪物がまたやってくる(笑)。
柏木 なかなか笑えない。ただ、今回無事にライアン・ガルシアが出たとして大晦日を予定どおり3部制でやっていたら……って考えると恐ろしいです。これは結果論ですけど、3部制でやらなくてよかった。それは間違いないです。──もともとは1部ボクシング、2部が雷神番外地、3部がRIZIN49の予定でしたね。
柏木 もしやっていたら、意味不明なものになってたと思います。
──RIZIN10回目の記念すべき大晦日に意味不明なものをやろうとしていた(笑)。
柏木 だってボクシングパートをやるなら朝8時開場ですからね。
──ハハハハハハハハハハ!
柏木 そうすると、ボクサーたちのロビーコールは朝5時半ですからね。「これ、ホントにできんの?」って。しかも、ボクサーたちは全員初来日、初RIZINなので勝手がわからないじゃないですか。もう恐ろしいですよ……。──ライアン・ガルシアは言うこと聞かないでしょうしね。
柏木 そうですねぇ(小声)。
──小声で(笑)。
柏木 あたりまえのように「ウォルマートはどこだ?」「日本にはねぇよ!」って(舌打ちしながら)。
──柏木さん、「ウォルマートはどこだ?」なんてまだ言ってないですよ! でも、言うんじゃないかと(笑)。
柏木 絶対に言うと思います(キッパリ)。
──想像すると怒りがわいてきますか(笑)。一説によれば、3部制どころか4部制の構想があったとか。お正月にベラトールジャパンをやるって話もあったり。
柏木 もはやヤケクソの4部ですよね。そういうとんでもないプランもあったっていうことですね。恐ろしいですよ……。
──ライアン・ガルシアはケガということで欠場しましたけど、RIZINとは契約がちゃんとあって、春にやろうとしてるんですよね。
柏木 はい、やろうとしてます。これはキャンセルではなくて「延期」です。大会途中にライアン・ガルシアから送られてきた動画でも本人はちゃんと言ってますので。
──あのとき「たったいま、ライアン・ガルシアからメッセージが届きました」っていうアナウンスに爆笑したんですよ。「いま出ました!」の蕎麦屋じゃねぇんだから、と。でも、映像を見たら、ライアン・ガルシア本人が撮影を止める瞬間で撮影が終わってるから、本当に撮れたてなんだって。
柏木 本当にたったいまだったんですよ。あのメッセージを朝から寄こせってずっと連絡してたんです。朝からというより、ここ3日間ぐらいずっと……いや、3日どころじゃないですよ。ケガを発表してからずっと。
──ずっとお願いしてたんですか?(笑)。
柏木 どんどんデッドラインが下がっていって、妥協して大会前にほしい。でも来ない。じゃあ、安保(瑠輝也)選手が14時ぐらいに試合するから、それまでにほしい。安保選手の試合の前後に流そう。そうしたら、向こうは「夜になる」みたいなことを言ってきて。2週間も時間の猶予を与えてるのに。安保選手の試合も終わってもまだ来ない。「RIZINパートが始まる前にくれ。あと3時間以内にくれ」と言っても来ない。そしたら前半の休憩ちょっと前くらいに来たんですよ(舌打ち)。
──やったああああ!
柏木 そこで「どうやって流すか」と社長を交えてちょっとした会議がはじまって。──大事な大会の最中に(笑)。
柏木 まず動画に字幕を入れるか・入れないか。字幕を入れようとすると時間がかかるし、そもそも動画をいま出さなくていいんじゃないかとか、いろんな話があって。結局、ボクが訳して読みあげたんですけど、会場は盛り上がるわけでもなく、盛り下がるわけでもなく、なんとも言えない空気のまま暗転して……。
──最悪のタイミングで送ってきたわけですね。
柏木 ここでも嫌がらせしてくるのか?っていう。
──安保瑠輝也vsライアン・ガルシアじゃなくて、チャーリー柏木vsライアン・ガルシアとしての面白みがあります(笑)。榊原さんとしても、アメリカのPPV市場を狙うには彼を起用したいってことなんですよね。
柏木 そのとおりですね。RIZINのコンテンツで海外のPPVを取りにいくというチャレンジ精神。そこは大事なのかなとは思います。
──でもハードコアファンは、ライアン・ガルシアとベラトールでいえば、ベラトールのほうが見たかったわけですけど。半年前はベラトールとRIZINの対抗戦第2弾を計画してたわけじゃないですか。これはRIZIN側がキャンセルしたのか、それともPFL・ベラトール側の混乱によるものなのか……どちらなんですか?・五明宏人vs赤田プレイボイ功輝の判定・ダウトベックは調整失敗していた・シェイドゥラエフのUFC行きは現時点でない・堀口恭司vs◯◯◯◯を狙っている・スーチョルvs井上直樹は賭けだった
・太田忍vs秋元強真をあまり組みたくない理由・SNSバトルでカードは決まらない・朝倉海はUFCでこう扱われるか
・日本人格闘家はスマホを捨てろ!?……26,000字インタビューは会員ページへ続く2月の配信予定・福田龍彌のオブリガードMMAトーク
・佐藤大輔☓笹原圭一 格闘技の煽り方
・UFC、RIZIN……水垣偉弥のMMAレビュー
・シュウヒラタのMMAマシンガントーク
https://ch.nicovideo.jp/dropkick/live -
1記事から購入できるDropkick過去記事一覧
1月記事バックナンバー
・10回目のRIZIN大晦日19,000字で振り返る■笹原圭一
12月記事バックナンバー
・みんなの物語「朝倉海の挑戦を語ろう」■川尻達也☓笹原圭一
・RIZINフェザー級王者・鈴木千裕インタビュー「格闘家は安定を求めたらおしまい」
・真夜中の飯伏幸太vs佐藤光留■プロレス事情通Z
・00年代の怪しい目撃者“Show”大谷泰顕■松澤チョロの「脱線プロレス」
11月記事バックナンバー
・笹原圭一の「RIZIN LANDMARK名古屋」を11,000字で語ろう
・朝倉海の即UFC王座挑戦は「オーストラリアの◯◯」がきっかけ?■シュウ・ヒラタ
10月記事バックナンバー
・【RIZIN復帰戦】浜崎朱加は2年間、何をやっていたのか?
・暗黒・新日本の象徴「アルティメット・ロワイヤル」の裏側■長井満也
9月記事バックナンバー
・RIZINアンバサダー蒼瀬くるみちゃん12000字インタビュー
・マネジメントから見たドーピング問題■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
・なぜ『極悪女王』で“ブック”というネットスラングが使われたのか
8月記事バックナンバー
・愛憎の終着駅、新章の始発駅、超RIZIN3■笹原圭一
・セコンド大塚隆史が見た朝倉未来戦「蓮くんは五輪アスリート級の取り組み方だった」
9月記事バックナンバー
・金原正徳「クレベル戦が決まってから対策を練るレベルでやってない」
・中村倫也は安定してUFCで勝ち続けることができる■水垣偉弥
・計量問題を考える/アイポークの現場で起きたこと■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
・【再掲載】初心者に優しい「MMAとドーピング」講座■タケ ダイグウジ・木村ミノル無限地獄
・DEEPフライ級GP優勝者・福田龍彌インタビュー
・ダーク・エージェントの戦いは真剣勝負だった■齋藤彰俊
・地獄の新生UWF新弟子編■長井満也インタビュー
・【令和のカート・アングル】太田忍「井上直樹は本物、朝倉海は人気先行」
・CMパンク、AEW電撃解雇の顛末
・朝倉未来はメンタルが弱い?/一寸先はRIZINなアゼルバイジャン
・生まれ変わったK-1リバースを語ろう■「立ち技の生き字引」サーバル
・QUINTETは邪道?/ドーピング驚愕の実態■高橋“SUBMISSION”雄己
・天心vs武尊・幻の放映権料/ジブリは「猪木☓新間寿」が続いた世界線
・暗黒時代の先にあったクレベルvs金原正徳という希望■余談で語るRIZIN44
7月記事バックナンバー
・極真世界王者・上田幹雄「大山総裁ならRIZINに殴り込んでいたと思います」
・三崎和雄が“家族”としてクレベル・コイケを支える理由
・【月刊FANZA編集長】プロレスとアダルトビデオ■松澤チョロの脱線プロレス
・【WWEとUFCの合併】ビンス・マクマホンの幕引きはいつか■斎藤文彦INTERVIEWS
・遺されたエディ・ゲレロファミリーの告発と確執
・K-1MAXのあの日から繋いできたRIZIN代々木の熱
・WWEが人種差別的なストーリー? シナリオライターの告発
4月記事バックナンバー
・萩原京平12000字インタビュー「平本蓮との再戦はお互いに勝ち上がってから」
・サトシ・ソウザ 人生はたまに負けるのがちょうどいい
・ぱんちゃん、木村ミノル、鈴木千裕……嵐のKNOCK OUT総括■宮田充プロデューサー
・鬼越トマホーク坂井「プロレスはドロップアウトする人間が好きなジャンルなんです」
・フライ級王座設立はベラトールよりRIZINのほうが早い!?■シュウ・ヒラタ3月記事バックナンバー
・【令和の掣圏道】平本蓮「佐山聡さんを意識して戦います」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2月記事バックナンバー
・「PRIDEのテーマ」を使った理由■RIZIN演出統括・佐藤大輔
1月記事バックナンバー
・Switchが入った大晦日RIZINを語ろう■笹原圭一15000字
12月記事バックナンバー
・平本蓮と空手をつなぐ日本格闘技のサーガ■剛毅會宗師・岩崎達也インタビュー
・西川大和のサステイン契約問題■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
11月記事バックナンバー
・【悪口と本音の15000字】平本蓮インタビュー「朝倉未来には負ける気がしない」
10月記事バックナンバー
・ズンドコから見た我らが英雄アントニオ猪木
・【史上最大のMMA対抗戦】榊原信行とスコット・コーカー、敗れざる者たちの逆襲
・日本人史上最年少でUFCと契約! 西川大和インタビュー「ステージが変わるだけ」
・【フライ級革命】堀口恭司の新しい旅が始まる■笹原圭一RIZIN広報
・AEWの噂と誹謗中傷……信者はアンチに豹変する
9月記事バックナンバー
・RIZINに外国人を取り戻す■RIZIN海外事業部・チャーリー柏木信吾
8月記事バックナンバー・朝倉未来vsクリスチャン・リーのスパー騒動を推理する
・齋藤彰俊インタビュー③「新日本プロレス道場で過ごした日々」
・最高のエキシビジョンマッチ! ブアカーオvsカズ・ジュニアを語ろう
・キング・ムエ会長・佐藤孝也「あんなにお客が入ったスタジアムは見たことなかったです」
7月記事バックナンバー
・THE MATCH総合演出・佐藤大輔「天心も武尊もちゃんと送り出せる映像を作りたかった」
・木下憂朔ラスベガスUFCコンテンターズ出場■シュウ・ヒラタ
6月記事バックナンバー
・RIZIN広報・笹原圭一のエンドルフィンマシーン的THE MATCH!!
・【UFCトーク】イリーの愛すべき不安定さ、風間敏臣vs中村倫也の展望■水垣偉弥
・RIZINに帰ってきたイリー・プロハースカという名のロマン
・【ROAD to UFC】最短契約へGO!! 中村倫也インタビュー
5月記事バックナンバー
・世界のTK“引退激勝”高阪剛16000字インタビュー
・【牛久、伊澤!!】一言多い有能コーチ・横田一則が語るRIZIN2冠のウラ側
・飯伏幸太LINE暴露騒動とは何か?■事情通Zの「プロレス 点と線」
4月記事バックナンバー
・いま最も刺激的な格闘家!! 修斗世界ライト級王者・西川大和1万字インタビュー
3月記事バックナンバー
・平本蓮ロングインタビュー「MMAに転向して本当によかった」
・追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール■斎藤文彦INTERVIEWS
2月記事バックナンバー
・恐るべき北の闘争家!! 修斗世界ライト級王者・西川大和インタビュー
1月記事バックナンバー
・“すべての戦いを知り尽くした男”船木誠勝が語るシバターvs久保優太
・齋藤彰俊インタビュー「名古屋の街の風紀を正していた高校時代」
・日陰者のグレイトカリスマ田村潔司に惑わされよう■松澤チョロの脱線プロレス
・ライフ・イズ・ビューティフル!! 扇久保博正“優勝記念”インタビュー
・笹原圭一の大晦日“RIZNサファリパーク”13000字振り返り
・【UFC契約更新!!】ラストワン佐藤天が語る「UFCと北米シーンの過酷な現実」
・扇久保博正に脱帽、朝倉海の諦めない心■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
・【大晦日波乱】井上直樹はなぜ失速したのか■水垣偉弥
・伊澤星花が強すぎて怖い!! 「大晦日の出来は70パーセントぐらい」
・天心vs武尊の勝敗予想はまだ早い■鈴木秀明
・新日本プロレスvsノア対抗戦から見えた個人闘争の炎■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」
・大晦日に公開プロポーズされた女性はどんな気分なのか■オギちゃんの彼女さん
・「AEWには、あるべき多様性が欠如していた」…プロレスとポリティカル・コレクトネス
・ネットでも暴走するシバターvs久保優太
・コロナ禍から飛び出した“長与千種の遺伝子”ロシア人12月記事バックナンバー
-
【何がなんでも!】新日本プロレスは東京ドームをやり続けるべき■小佐野景浩
プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は年末年始のプロレス界振り返りです!
<1記事から¥100から購入できる連載記事! クリックすると試し読みできます!>
――今日は小佐野さんに年末年始のプロレスについてお伺いします!ここ最近のプロレス界は年末年始の興行が多いから、年の瀬を感じることはないんじゃないですか?小佐野 クリスマスの頃から今日まで全部繋がってるから、本当に忙しかった。解説仕事だけでいえば、28日にDDT両国、29日は東京女子・後楽園ホール、大晦日は全日本プロレス・代々木第二、2日が全日本・後楽園、3日がDDT後楽園、4日が東京女子・後楽園。3日の全日本・後楽園は後入れの解説があるんだけどね。解説はしていないけど、当然1日のノア・日本武道館、4&5日の新日本東京ドームも行ったり。
――解説仕事ラッシュですね!小佐野 調べ物が大変だよね。選手それぞれのストーリーを追わなきゃいけないし、学生時代の勉強を思い出すよ(笑)。解説者となると視聴者が楽しめることを喋らなきゃいけないけど、あんまり辛口もよくないし、すべて褒めるのもおかしい。やっぱり褒めらんないものは褒めらんないから。
――絶妙なバランスが求められるわけですね。本日1月8日は東京スポーツ制定2024プロレス大賞の授賞式もありました。各受賞者自体は12月に発表されましたが、小佐野さんはプロレス大賞の審査員としてどんな感想がありますか?
小佐野 今回はコロナも収まったので5年ぶりに授賞式ができたんだけど、レスラーや関係者たちが一同に介することができて選手たちがすごい嬉しそうだったし、良い光景でしたよ。今回の選考で一番大変になると思ったのはMVPかなあ。「これだ!」っていうレスラーがなかなかいない中で、ザック・セイバーJr.が選ばれたんだけれども……それこそ全日本の斉藤ブラザーズがMVPを獲るような勢いもあったでしょ。
――コンビがプロレス大賞はなかなか面白いです!
小佐野 そこが議論になって「じゃあ個別に活躍した場合はどうするの?」と。たとえば今後、斉藤ジュンと斉藤レイがそれぞれシングルプレイヤーとして活躍したときの評価はどうなるのか。――そのときも「斉藤ブラザーズ」として評価するのか?と。
小佐野 そうそう。あるいは今回この2人を認めたら「これからは他のコンビやユニットも認めちゃうの?」と。たとえばロス・インゴ(ベルナブレス・デ・ハポン)をプロレス大賞に選ぶこともあるのかという話にもなるし、やはりMVPはあくまでも個人賞であるべきだろう、と。
――そんな議論が起こるくらいMVPの選考が難しい年だったのかもしれないですね。
小佐野 ちなみに今年のプロレス大賞はMVPとベストバウト以外は私の思ったとおりの結果にはなったから。だから満足かな。どの選考委員がどのレスラーに入れたのかは言っちゃいけないけど、自分が入れたものはべつに言っていいわけだから。あとはベストバウトも難しかったかもしれない。
――ベストバウトは日本全国でいい試合をやってるから、そこで差をつけるのは難しいですね。
小佐野 ぶっちゃけたことをいうと、すべての団体の試合を見ることは不可能なわけだから。――「全試合、見てないだろ!」と鬼の首を取ったごとく騒ぐ人がいますけど、あたりまえですよね(笑)。
小佐野 ベストバウトはどれだけ多くの人に届いているか。そうじゃないと評価はできないよね。どんなにすっごい試合をやっても、10人しか見てない試合はベストバウトとしては選びづらい。そこがまた難しいところで、ファンからすれば、自分が目撃した地方のシングルマッチがすごい試合の場合もあるから。あともうどうしても好みの問題も出てきちゃうから。
――プロレス大賞って、その年を表すレスラーや試合が選ばれるべきものではありますけど、ファンの推しも分かれてますから、全員一致で選ぶのはなかなか難しいです。
小佐野 たとえば男子と女子を一緒にしていいのかって話もあるし。今年はボブ・サップ以来の外国人レスラーのMVP受賞になったわけだけど。昔の選考基準と違ってきている。昔はあのスタン・ハンセンですらMVPは獲ってないからね。
――ああ、そうかあ。スタン・ハンセンの活躍ぶりでもMVPはなかった。
小佐野 たとえばザ・ファンクス(ドリー&テリー)やマスカラス・ブラザーズもタッグ部門を獲ってないからね。
――プロレス大賞のあり方も時代によって変わってるわけですね。
小佐野 私の場合、選考委員から何年か抜けてた期間があるんだけど、そのあいだにも変わってるわけだし。――桜庭和志がグレイシーハンターとしての活躍から、MVPに選ばれたときは「桜庭和志はプロレスラーなのか」という議論になりましたね。
小佐野 だからいつも「これはどうなんだ?」と騒ぎになる。でも、今回の2024年度は例年ほど、ファンの人たちが「冗談じゃねえや!」みたいな感想にならなかった印象を受けたんだけど。
――ボクもそう思います。妥当すぎて文句が言えない(笑)。
小佐野 今回のやつで文句を言われても困るんだけどね(笑)。
――こういうのって文句を言って楽しみたいところもありますよね。毎年NHK紅白歌合戦に文句を言う人っているじゃないですか。それに近いところがあるのかなと。
小佐野 なんだかんだツッコミたいわけだよね。プロレス大賞の結果をいつも私がXで発表するでしょ。朝5時からけっこうな反響があるから、やっぱりみんな注目してるんだけど、今年は例年と比べてあんまり文句が飛んでこなかったかなあ。もう決まったものだから、私に文句を言われてもしょうがないんだけどね(笑)。
――プロレス大賞は毎年「忖度してるんじゃないか」と言われがちですよね。
小佐野 みんなが「忖度、忖度」って言うけど、なんで忖度しなきゃいけないんだろう。忖度する必要なんてどこにもないんだよ。団体に対して「投票しますから、取材させてください」なんてお願いするわけじゃないし。
――「ウチに投票しなかったら取材させないぞ!」なんてプレッシャーがあるわけでもないし。
小佐野 いまどき取材拒否なんてないよ。
――プロレス大賞が納得いかないから「取材拒否だ!」って笑いますよ(笑)。2024年のプロレス大賞も新日本プロレスが強かったんですが、その新日本は1月4&5日と東京ドーム2連戦でした。
小佐野 観客動員のことがどうしても言われちゃってるけど。1日目が2万4102人、2日目が1万6300人。この数字でいえば、蔵前国技館のアントニオ猪木vsストロン小林は16800人の超満員の発表だったんだよね。まあ昔の主催者発表はけっこういい加減だったんだけど(笑)。
――いまそんな数字を発表したら消防庁から怒られますね(笑)。・新日本は客席よりも埋めるものがある・海野翔太は何が足りないのか・1月1日に今年のベストバウトが決まった?・清宮海斗にブーイングが飛んだ背景とは・流れに乗っている全日本プロレス・DDT土壇場の底力・M-1とプロレスが抱えるマニアックさの問題点・青木真也技能賞の理由……16000字の続きは会員ページへ
1 / 1109
次へ>