再開されるRIZIN2連戦のオオトリを飾る朝倉海インタビュー。マネル・ケイプ離脱に「責任を感じた」と語る朝倉は、きたる扇久保博正戦に「勝つことがある種の責任」と意気込む(聞き手/松下ミワ)
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――ようやくRIZIN8月大会の開催が発表されましたが、カード発表記者会見では運営側の厳しい現状が伝えられていましたね。
――具体的には、どういう部分でそう感じていますか?
――そうした状況も受けて、クラウドファンディングも開始されましたが、現状の集まり具合はなかなか厳しいですよねぇ。
海 ええっと、いまどのくらい集まっているんですっけ?
――14日の時点で1500万円ぐらいです。まあ、そもそも目標が5000万円というのも高い数字ではあるんですが(苦笑)。
海 ああ、でも1500万円は突破したんですね。まー、なかなか難しいですよねえ。こうやって記者会見して「大会やります!」と発表したので、ファンの方からすると「ああ、大会はやれるんだ」となっちゃうから。
――普通にチケットを買っちゃいますね。
海 そう思いますよ。でも、コロナウィルスの感染者も増えているし、最後まで開催できるかどうかわからない状況ですよね。もしまた大会中止や無観客ってなったら、もっと損失が出るじゃないですか。そうなるとRIZINもさらに厳しくなると思うので、多くの方にご協力をお願いできたらと思います。
海 いや、そんなに簡単ではないと思っていました。もちろんRIZINのリングでここまで戦ってきたからというのはあるんですけど、RIZINの存続は日本の格闘技界にも影響することだと思うので、少しでも協力していただけるんだったらという思いでコメントを寄せましたね。
――コロナの影響でRIZINが開催できない状況が続いたり、またトフィック・ムサエフ選手への未払いの情報なんかも出たりして、ファンはもちろん、選手としてもなかなか不安な状況でしたよね。
海 そうですね。もしかしたら、今年は大会が1回もできないのかなとも思ってましたから。
――そこまで覚悟していたんですか。
海 だから、こうやって大会が決まって、記者会見も行なわれて、試合ができるとなったときはうれしかったですし、「ついにきたか!」という思いでした。
――ある意味でホッとした感じで。
――たしかにコロナの感染者数を含めて一筋縄ではいかない状況が続いています。ちょっと暗い話なっちゃうかもしれないんですけど、海選手はいわゆる日本格闘技の“冬の時代”というのはどういうふうに経験されていたんですっけ? PRIDE消滅後、DREAMも戦極もなくなって、国内大規模イベントというのがなくなった時期の話なんですが。
海 その当時はボクが格闘技をはじめた頃で、それこそアウトサイダーがたぶん一番人気の時期でしたね。地上波で格闘技が放送されていなかったですし、プロの格闘家の名前を聞いても誰も知らないという感じでした。
――その頃の海選手はどこの舞台を目指されていたんですか?
海 まず最初は趣味程度で格闘技をはじめて、それでアウトサイダーに参戦したんですけど。アウトサイダーでチャンピオンになったぐらいから、けっこう本格的にこの道でやっていきたいなと思っていたんですよ。その時期はテレビ放送というのはなかったんですけど、ボクらが目立ったりとか格闘技をたくさんアピールしていけば、必ずまたそういう大会が復活できるんじゃないかと信じてやっていたんじゃないかと思います。そういう状況でしたね。
――海選手がアウトサイダーのチャンピオンになったときというのは、ちょうど大晦日興行もなかった時期だったんですね。
海 なかったですね。
――上を目指すにあたってUFCなど海外イベントも視野に入っていました?
海 UFCも視野には入ってました。ただ、それよりも日本の格闘技が何かしら復活してほしいなというか、そこが一番でした。
海 …………なくなったら?
――そう、なくなったら。
――つまり、それは朝倉海のファイター人生としては、あまり大きくは狂わないということですか?
海 いや、もし、RIZINがなくなったらの話なので。なくなってもらっては困りますよね。
――それはなぜですか? 自分一人がポツンとUFCで戦うのは、どこか違うということですかね?
海 それもそうですけど、やっぱりいまってRIZINによって日本の格闘技が盛り上がっているので、そこがなくなっちゃうと日本での格闘技の認知度や盛り上がりが絶対に減っちゃうのがわかるからです。だから、なんとしてでも続けてほしいなというのはあります。だって、ボクもそのために頑張っているので。
――つまり、自分が世界一になるという目標よりも、現段階では日本の格闘技を支えたいという思いのほうが強い、と。
海 そうです。自分個人の目標としては、世界のチャンピオンを獲るというのが目標ですけど、世界のトップになったその先は「日本の格闘技を広めていきたい」という思いで、そういうことに携わる仕事もしたいですし、日本の格闘技を少しでも広めたいというのがボクの気持ちなので。そこはRIZINがなくなると困りますね。
――RIZINで戦っていた選手でいうと、イリー・プロハースカやマネル・ケイプがポンとUFCに行ったじゃないですか。彼らは日本で戦うことも好きなんだろうけど、オファーがあればそっちに行ってしまう。
海 彼らとはメンタリティが違うということです。
――日本人で日本で戦っている以上は、ストーリー性もなくポンとUFCには飛び込めない、ということですか。
海 そう。だからボクは日本で、日本のみんなにボクというファイターや格闘技を知ってもらったうえで、そういう状況で海外に行きたいなって。ただ、いまポンとUFCに行ったとしても、ボクのことを知らない人もたくさんいると思うので、結局ボクが戦っていることを誰も知らない状況というのは、はっきり言っておもしろくないですね。だから、まずは日本を盛り上げるというのがボクのやり方です。
――単純に「日本の格闘技を盛り上げたい」というのはどういう思いからなんですか?
海 もう、その言葉のままですよ。格闘技が好きだし、格闘技という競技は凄く魅力があるし。絶対に面白いことなので、そのよさをたくさんの人に知ってもらいたいという、本当に純粋な思いです。
――なるほど。いや、海選手っていつもポジティブじゃないですか。だから、このRIZINの苦しい状況を踏まえてどうお考えなのか、ちょっといろいろと聞いてみたかったんですよ。
海 ああ、そういうことですね。まず、大会ができなかったときというのは、このまま大会がないとファンの人も含めて格闘技からどんどん離れちゃうなというのがあったので、こういうときこそYouTubeというコンテンツを最大限に利用して、少しでも格闘技に触れてもらう機会を作りたい、格闘技を知ってもらいたいという思いで頑張んなきゃな、と考えていました。
――海選手にとっては、そのためのYouTubeなんですね。その思いって誤解されがちというか、YouTubeに一生懸命な海選手を見て、人によっては「なんだよ、YouTubeばっかり力を入れて」という人もいたり。
海 そういう人もいますよ。まあ、そう思われないようにしているというか、ボクは格闘技の魅力を伝えることを大切にしているんで。……だから、ボクは遊んでいるわけじゃないんです!(笑)。
――ハハハハハ! それは声を大にして言いたい(笑)。
海 でも、難しいところなんですよねえ。たしかに「真剣にトレーニングしている動画を見せてほしい」とか「練習しているシーンをアップしてほしい」という人もいるんですけど、それをアップしても格闘技ファンの人しか見てくれないじゃないですか。
――というか、格闘技ファンも見づらいかもしれないですね(笑)。
海 だから、格闘技ファン以外に広げるためには、格闘技以外の部分でも「この人、面白いな」と思ってもらわないといけないので。そこでボクのことを知ってもらって、最終的に試合を観てもらって「格闘技って面白い!」と思わせたい。その段階を踏んでいるだけで、べつにYouTubeで遊びたいわけじゃないのでね。
――ストレートにやってもダメだし、楽しくやっても文句言われるし。
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コメント
コメントを書く一番観たいのは堀口対海だ。勝ってくれ。
朝倉未来はYouTubeで月に500万円の収入があると言っていました。
私は自分よりお金を持っている人のために寄付はしません。
というか朝倉未来が寄付すればいい
5000万円という目標額はRIZINによる俺たちの思いを確認する金額だな