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©阪本勇
6月9日・新宿FACE『LIDET UWF Ver.0』でLIDET UWFとの対抗戦が決定した『ハードヒット』。5月2日の『ハードヒット』新木場大会ではその前哨戦、現代のUWFとはなにかを問う戦いの幕が切って落とされる。その意気込みを『ハードヒット』主宰の佐藤光留にうかがった(聞き手/ジャン斉藤)


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――
上半身裸なんですね。

光留 いや、上どころか全裸生活中ですから。

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――
スレスレのインタビューですね(笑)。長渕剛好きが集まったJEEEPに続いてまた面白い試みが……光留さんが率いる『ハードヒット』がLIDET UWFと対抗戦を行うと。

光留
  そうですね。面白くなってきましたね。

――
よりによって一番絡んでいけない相手に絡んできたなっていう感じが(笑)。

光留
 ハハハハハハ。 いやいや、そんなことないですよ。


LIDET UWFを運営するリデットエンターテインメントはNOAHの前・親会社。ABEMAにNOAHを譲渡後、新プロレス団体GLEATを設立。7月1日の旗揚げが予定しているが、UWFをテーマにしたブランド「LIDET UWF」も立ち上げた。


――
LIDET UWFはGLEATの一部門で。GLEATはUWFをテーマに掲げて田村潔司さんがエグゼクティブディレクターに就任しましたが、『ハードヒット』でずっとUWFを追いかけてきた光留さんはそういった動きを率直にどう思われてたんですか。

光留
 佐藤光留が「これが現在進行形のUWFだ!」と『ハードヒット』をやってきても、まあ響かないんですよ(苦笑)。

――
なるほどお(笑)。

光留 13年間やってきてるんですけどね。業界外の媒体が取材に来たのは『ハードヒット』に出ていた青木篤志選手が亡くなったときと、内柴正人さんが来場しときだけでしたし。

――
内柴さんに『ハードヒット』出場を呼びかけたことから観戦に来られましたね。

光留
 わかりやすくいうと、誰かが亡くなったときと、元・犯罪者が来たときだけしか取材に来ない。そのときにスポットライトを期待するのを諦めたというか。 いまは個人発信の時代になってきたから、マスコミはもういいやと。マスコミに取り上げられないことも、ひとつの価値だと思ってやっていたんですよ。まあ、いまでも「取材されるものはえらい」という風潮はプロレス界の中でも強いので。そうしたら令和の時代に「UWFが復活する」と騒がれてるのを見て、孤独感があったというか。小学校のときにクラスの人気者が作った工作がみんなに「すごい!」とチヤホヤされるけど、 それと同じものを俺は前から作ってるんだけどな……っていう感覚がよみがえってきて(笑)。

――13年前から作っているのに。

光留
 無意識の軽いイジメが重くのしかかってくる感じはありますよ。

――「UWF復活」と喜んでるファンに思うところはあったんですか?

光留 こういう言い方したら失礼ですけど、「センスねーな!」って切り捨てていたんで(笑)。

――
ハハハハハハハハ!

光留
 当時のUWFの熱狂って時代背景的なものあったし、総合格闘技がなかったから、ってこともあったじゃないですか。いまやUWFの役目は終わったという人もいるんですけど、いまはいまで役割はあると思うんですよ。それでいままで『ハードヒット』でやり続けてきたのに、いまだにあの当時の UWFを追い求めてるなんてセンスねぇなぁ……そうやってなんとか精神を保ってましたよ(笑)。

――
現代のUは『ハードヒット』にあると。

光留
 プロレスリングマスターズというイベントもあるじゃないですか。ボクはあれは好きなんですけど、マスターズがいまのプロレスの中心にはならないですよね。 

――そこはなつかしさだけに熱狂してるんですね。

光留
 そうじゃなくて、『ハードヒット』は「UWFとはなんぞや?」と思考してきたわけですよ、13年間。

――
UWFの続きをやっていても、Uを待ち望んでいた層がキャッチしない現状はある。 そこは先ほど言っていた「クラスの人気者」というか、新生 UWFのメンバーだった田村潔司さんがいるからLIDET UWFには反響があるわけですよね。

光留
 もちろんですね。対抗戦が決まったあとにGREAT所属のCIMA選手と全日本で戦うことになって。「GREATの人間に教えてやる。思想のある人間、プロレスに嘘の無い人間の怖さを」ってツイートしたら、「田村潔司に思想がないと思ってるのか」みたいなリプが飛んできたんです。もちろん田村さんには思想があるとは思います。 でも、リングの上で動き続けてきた思想と、リングの外にある思想というのはこれはまた別のもので。正直言って(田村潔司は)リングに上がってないじゃん!!って思ってたんですよ(笑)。

――
回転体なのに止まってるじゃないかと(笑)。

光留
 ハハハハハハハ。ホントですよ。見せてくれよ、回ってるところをって常々思ってたんですよ。

――
田村さんって言葉も少ないですし、黙ってるからこそ我々が妄想をたくましくしてるところはありますね。

光留
 そこは悪く言うつもりはないんですよ。ボクらも田村さんの思想を感じたいんですよね。 触れてみたいんですけど……斉藤さんが言うように回転体なのにいまは止まってますからね。それは失礼な言い方になっちゃうんですけど、思想があってないようなもんなんですよね(キッパリ)。

――
動かないかぎり幻想って保てますよね。ずっと動かないと忘れ去られますけど……。

光留
 『ハードヒット』って佐藤光留がやってる時点で拒否反応を示してる人もいると思うんですよね、正直。 佐藤光留は幻想の「げ」の字もないから(苦笑)。でも、ウチには「現実」はあるんですよね。『ハードヒット』は現実路線。 向こうがディズニーランドなら、こっちはドキュメンタリーですよ。

――
さしずめフジテレビの「ザ・ノンフィクション」というか。「♪生きてぇ」の叫びとともに現実が見えてくる。

光留
 登録者数300人程度のYouTuberの「UWFをやってみた」みたいなものかもしれないですけど(笑)。

――
U好きだったら『ハードヒット』は引っかかるはずなんですけどね。

光留
 引っかかりすぎてるから拒絶反応があるんじゃないですかね。

――
「現実」は見たくないってことですね。総合格闘技がなかった時代の、30年前のUWFが見たかったわけで。

光留
 そうですね。夢は夢のままでと思ってる人はもちろんいるし、今回の対抗戦は「夢と現実」ですよね。今回の対抗戦でウチが勝ったら「現実」を突きつけることになるんですよ。LIDET が勝ったら「夢」に飲み込まれるわけですよね。 そんな現場の矢面に立たされることは嬉しい反面、「マジでどうなっても知らねえぞ!」っていう意気込みはありますよ。

――
今回はLIDETのほうから対抗戦のオファーがあったわけですよね
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