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北米MMAを知り尽くした男・水垣偉弥が語る堀口恭司敗戦/平良達郎2週間スライドのポイント(この記事はニコ生配信されたインタビューを構成したものです)
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・【大晦日波乱】井上直樹はなぜ失速したのか■水垣偉弥
――今日は、平良達郎選手のUFCデビュー戦についてうかがう予定でしたが……なんと対戦相手の体調不良により試合直前で延期になってしまいました。水垣さん、非常に語りづらい配信ですね。
水垣 ボクも延期と聞いたとき「Dropkickの放送はどうするんだろう?」と思っちゃいました(笑)。
――水垣さんは早朝から今回のUFCの解説をやられてましたが、その一報を聞いたのは何時頃だったんですか?
水垣 事前の打ち合わせがだいたい1時間前から始まるので、起床はその1時間前の3時ぐらいだったんですけど、ケータイを見たら一報が入ってまして「え……っ!」と。
――こんなこと言うと怒られますけど、起きがけにそんなメールが入っていたら解説もやる気なくなりますよね(笑)。
水垣 いやあ、第1試合目が平良選手の試合ということで、今日は出だしに賭けてたんですけど、リズムが崩されました(苦笑)。
――試合直前の延期はかなり珍しいケースですよね。
水垣 珍しいと思います。計量失敗して中止というのはありますけど、お互いに計量パスして試合の直前ですからね。いままで知っている中でも一番ギリギリのキャンセルのような気が……。
――90年代のUFCで、ケビン・ランデルマンが入場前にバックステージで足を滑らせて、試合直前にタイトルマッチがなくなったという件があったんですけど。
水垣 ホントですか!(笑)。でも、そういうレベルですよね。対戦相手は食中毒での体調不良ということで、本当に厳しい水抜きをして、弱ってるところに食べちゃったものがアレしたのかなと。けっこう脱水したあとに食べると、ボクも戻しちゃうこともあったので。胃腸が弱い人だとやっぱり相当やられるんですよねぇ。
――悪いものを食べたからではなく。
水垣 ボクはしばらく水をチョボチョボ飲むしかできなくて。まだ点滴がOKだったときは点滴で回復して、やっとお腹が空いてきたときに食べるという感じだったんですけど。
――ああ、いまは点滴が禁止なんですよね。
水垣 USADAのドーピング抜き打ち検査が入るようになってからは、注射を打つこと自体が禁止になったので、点滴もダメになりましたね。
――点滴が禁止になって以降は、水垣さんもかなりリカバリーで苦労はされたんですか?
水垣 食べ物は用意しているんですけど、やっぱり食べるタイミングが遅れるというか。いつも点滴を打って回復していたのが、本当に水と薄いポカリから始まって、やっとフルーツを食べられるようになって。やっぱりリカバリーのスケジュールが遅くなりましたよね。
――外国人ファイターのほうがガンガン食べられたりするんですかね?
水垣 どうですかねえ。田中路教とかはけっこう水抜きするんですけど、そのあとは普通に食べたりしてて胃腸が強い印象がありますけど。やっぱり人によって全然違うみたいですね。ボクは本当に食べれなくて、ポカリも濃すぎると全部戻しちゃうんですよ。だから絶妙な調整が必要でした。それだけ弱った状態で無理して食べちゃうと、非常にコンディションを崩す可能性はあるのかなと。今回の体調不良も、そういうことなんじゃないかとボクは予想しています。
――その対戦相手が「キャンセル常習者」みたいに騒がれているんですよ。
水垣 どういうことですか?
――選手の戦績が載っている『Tapology』という海外サイトがあるじゃないですか。そこに、今回の対戦相手であるカルロス・カンデラリオのプロフィールとしてキャンセルバウトが8回あると載っていて。
水垣 えー! そうなんですか? ちょっと知らなかったです。
――でも、『Tapology』って選手が一方的にキャンセルした回数だけじゃなく、主催者や対戦相手の都合でキャンセルされたものも含まれているんですよね。さすがに8回も本人が原因のキャンセルバウトがあったら主催者も契約してくれないと思うので。
水垣 それはもう誰も呼んでくれないと思います(笑)。
――それにしても、2週間後の試合延期は体調調整の面で過酷ですよね。
水垣 いやあ、これは大変だと思います。平良選手はラスベガスで2週間調整しなきゃいけないわけで。そして、もう1回水抜きして計量することになりますが……ホントに大変ですよ。何がイヤって水抜きがなければもっといっぱい試合したかったなというのがボクの現役時代の記憶なので。
――それくらい水抜きはキツイという。
水垣 試合はご褒美で、水抜きは試合に臨むための最後の試練みたいな感覚があったんですけど。ご褒美抜きの試練を受けさせるようなもんです。で、すぐにもう1回水抜きをやるのはダメージが深いと思いますよ。平良選手がどれぐらい水抜きをしているかわからないですけど、170センチ以上ありますし、フライ級にしては身体が大きいと思うんですよね。だから身体への負担は大変なんじゃないかなと。
――最近でいうと、ヌルマゴとのタイトルマッチが決まっていたトニー・ファーガソンが、コロナの影響でヌルマゴが自国から出国できずに試合が中止になったにもかかわらず、試合予定日に向けて勝手に水抜きを続行した例ありましたよね。
水垣 ああ、なぜ自らそんなことしたのかなと思いましたけど(笑)。
――その1ヵ月後にジャスティン・ゲイジーと戦ってTKO負けして、そこから3連敗。30代後半の身体には無駄な水抜きでしたよね。平良選手も大変ですけど、相手選手も食中毒でダウンしたあと2週間後に試合をやれるのかなと。
水垣 ただ、ドクターがOKを出さないとそういうスケジュールは出さないと思うので、一応OKは出ていて回復する見込みということなんでしょうけど。
――いろんな意味で無事に試合が行なわれてほしいと思います。ちなみに、水垣さんも直前で大会を欠場したという経験はあるんですか?<堀口恭司vsミックスなど13000字の北米MMAトークはまだまだ続く>
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